この記事は『「KORG DS-10」iPhone版にビンゴモード搭載、なぜなのか』の続きです。合わせてご覧ください。
昨年末にリリースされた「KORG iDS-10」はソフトウェアシンセサイザーとしては世界で初めてミステリービンゴを内蔵したことで話題となったが、開発者インタビュー後編は、新機能の「ボイス・シンセサイザー」「アナログ・ドラム・マシン」について。
ニンテンドーDS時代の「KORG DS-10」と言えば、一部のマニアの間では「歌うシンセ」としても知られていた。フィルターなどの設定で、アナログのモデリングシンセなのに、ボーカルシンセばりに歌わせることもできたのだ。
その神業的設定を、各種イベントやデモ曲で披露してくれたのが、コルグの金森さんだった。今回のiDS-10はその系譜を受け継ぎ、ついにボイス・シンセサイザーが内蔵された。まずほかのiOSアプリやDS-10との機能面の違いから話はスタートする。
気になるオーディオファイルの書き出しは対応予定
―― 第一印象としては、まずDSに比べると音がいいですね。
中島 ハードウェアが違うので、印象は変わってくるかなと思います。エフェクトも種類が増えています。リバーブが2タイプ、あとEQが増えています。
金森 シンセの中身では、矩形波のパルスワイズが調整できるようになっています。
―― でも、VCFのカットオフはグリッドが荒くなってません?
中島 いや、同じですよ。段階の数は変えていないので。
金森 指で、こう素早くなぞっちゃうからじゃないかな。実はフリックで微調整が効くんですよ。こんな風に、シャカシャカシャカっと。
―― おお、なるほど。あと、スケールがだいぶ省略されてませんか? モードがなくなっていますよね。
金森 簡単にするということですよね。あんまり使わないものはふるい落とし、そのかわりにScaleStepというパラメータを追加しました。マイナーやメジャースケールは、ScaleStepを5に設定することで「ペンタトニック・スケール」になります。
―― それでもRagaは入っているわけですよね。
金森 RagaとRyukyuですよね。人に説明しやすいですし、スケール的におもしろいなと思えるものは残しています。
―― モードはつまらんと(笑)。
金森 ダイアトニック・スケールは、ルートを替えることで再現できるので大幅に減らしました。すみません。
―― iDS-10は、ほかのiOSアプリではサポートしているオーディオファイルの書き出しや、Audiobusはサポートしていません。アプリのコンセプト的に、あえて外したんでしょうか?
中島 いいえ。時間的な関係もありましたし、もちろんいま付いている機能で十分楽しめると思って出してはいるんですが、要望が多いものに関しては検討して、アップデートで出そうと相談をしている最中です。Audiobusはv1.1.0で対応しました。オーディオファイルの書き出しも対応予定ですので、楽しみにしていただければと思います。
(次ページでは、「サンプラーじゃなくなったアナログ・ドラム・マシン」)
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