このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

年末恒例!今年のドメイン名ニュース 第7回

IANA監督権限移管は議論まとまらず延期へ

新gTLDが800種類以上に!2015年「ドメイン名ニュース」

2015年12月24日 06時00分更新

文● 渡瀬圭一

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

3位 DNSの信頼性確保へ、「電気通信事業法等の一部を改正する法律」が成立

 3位の話題は、DNSの運用が電気通信事業法の規律対象となったことである。その対象となるのは、公共性の高いサービスであるccTLDおよび地理的名称gTLDのレジストリと、大規模なDNSホスティング事業者に限定されている。総務省からは、その背景の一つとして、新gTLDの開始によりノウハウの少ない新たなレジストリオペレータ(登録管理事業者)が参入してくることへの対応といった事情などが説明されている。

 電気通信事業法等の一部を改正する法律案は今年4月に国会に提出され、5月に可決成立している。この法律の施行は公布日(2015年5月22日)から1年以内とされており、対象となる具体的な役務などは今後省令として定められていく予定となっている。

 余談めくが、今回の法改正にはキャッシュDNSサーバーは含まれていない。電気通信回線設備を設置する電気通信事業者と総務大臣から指定を受けた電気通信事業者が管理・運用するキャッシュDNSサーバーは、すでに規律の対象となっている。

4位 IETF、APRICOT-APAN、W3C、ネット関連の国際会議が日本国内で開催

 4位の話題は、日本国内でIETF、APRICOT-APAN、W3Cといった名だたるインターネット関連の国際会議がいくつも開催されたことである。詳細については「ドメイン名重要ニュース」を見ていただきたいが、これほど多くのインターネット関連の国際会議が日本で集中して開催されることは、これまでなかった。開催地も、東京や首都圏における一極集中ではなく、横浜、福岡、札幌と多様である。海外出張と異なり、国内であれば参加のハードルは低くなる。この機会に、これら国際会議に参加した関係者も多かったのではないだろうか。

5位 JPドメイン名の登録数が140万件を突破

 5位の話題は、2015年9月1日にJPドメイン名の登録数が140万件を突破したというものである。「○○○.jp」という形式の汎用JPドメイン名が全体の67.6%と全体の3分の2近くを占めたことは、その登録のしやすさ・使いやすさが受け入れられたということなのだろう。1位の話題を解説したところに書いたが、日本国内に設置されたキャッシュDNSサーバーに対するクエリーの割合でJPドメイン名が多くを占めるのは、やはりこれまでの安定運用や実績の積み重ねがその背景にあるからだと考えられる。何年にも渡って継続し、安定したサービスを提供できることは重要だ。

番外編 新gTLD「.jprs」におけるISPとの共同研究を開始

 番外編は、JPRSが「.jprs」という新gTLDを創設し、さまざまな組織と協力しつつ、インターネットに関する共同研究を推進していこうという話題である。新gTLDでは、自分自身が運営・提供するサービスか、あるいはドメイン名ビジネスで使われるものが多いのに対し、.jprsは純粋に実験を目的としているという点が特徴的である。.jprsを使った研究内容として、大規模災害などの際に特定地域がネットワーク的に孤立し、ルートサーバーやTLDのDNSサーバーへの到達性が失われる状況を想定した実験など、従来では困難であった実験が計画されている。今後の成果に期待したい。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事