「情報はウイルス」、ではバイラルメディアとはなんなのか?
風邪である。しかも酷い。幸いインフルエンザでもノロウイルスでもないようだが(たぶん)、お腹は壊すし、喉は痛いし、鼻は出るし、咳は止まらないしで、もう散々な日々が続いている。
ちょっと前、担当編集者と「もう少し寒くなって風邪が流行ってきたら情報=ウイルスというテーマで一本書いときますかねー」などと笑って話していたところ、当の本人が風邪でダウンしてしまうという、まるで「ミイラ取りがミイラになる」ような体たらくだ……。しかし、まぁ、何事においてもリアリティーというのは大切だから、風邪でもうろうとした意識を鼓舞しつつ、今回は「情報はウイルスである」という話を書いてみようと思う。
今年も残すところあと10日ほどで、いよいよ年が明けると2016年ということらしい(もう最近は年齢のせいか今年が何年かとか気にしなくなってきた)。
で、最近とんと聞かなくなった言葉に「バイラルメディア」というものがある。
過去にも何度か述べたが、筆者は2012年の暮れに某企業の支援を受けて「UPLOAD」という動画系のウェブマガジンを創刊し、2年ほど編集長をつとめたことがある。当時はまだ“バイラルメディア”という言葉はほとんど流布しておらず、2014年あたりから「今年はバイラルメディア元年だ!」といった煽り文句が目に付くようになってきた。そして、あろうことか「UPLOAD」もそのひとつに数えられるようになってしまった。
そもそも「バイラルメディアとはなにか?」という定義をめぐってはなかなか一筋縄ではいかない部分があり、解釈も人それぞれ、肯定的/否定的な印象も含めて十人十色というのが正直なところだろう。「UPLOAD」が“バイラルメディア”のひとつにくくられるようになったときも、立ち上げた当人である筆者が「ああ、そうなのか」と思ったくらいだから、なんだか曖昧な言葉には違いない。
ひとまず無難に定義しておくと、「タイムリーな話題や多くの人の注目を集めそうな記事、写真、動画などを、刺激的なタイトルとともにソーシャルメディアを介して作為的に拡散させていくメディア」といったニュアンスだろうか?
(次ページでは、「バイラルメディアは下火なのか?」)
この連載の記事
-
最終回
トピックス
「これほど身近な時代はない」ネットと法律はどう関わるのか -
第27回
トピックス
著作権法に対するハックでもあるクリエイティブ・コモンズ -
第26回
トピックス
なぜクルマほしいのか、水口哲也が話す欲求を量子化する世界 -
第25回
トピックス
「Rez」生んだ水口哲也語る、VRの真価と人の感性への影響 -
第24回
トピックス
シリコンバレーに個人情報を渡した結果、検索時代が終わった -
第23回
トピックス
「クラウドファンディング成立低くていい」運営語る地方創生 -
第22回
トピックス
VRが盛り上がり始めると現実に疑問を抱かざるをえない -
第21回
トピックス
バカッター探しも過度な自粛もインターネットの未来を閉ざす -
第20回
トピックス
人工知能が多くの職業を奪う中で重要になっていく考え方 -
第19回
トピックス
自慢消費は終わる、テクノロジーがもたらす「物欲なき世界」 -
第18回
トピックス
なぜSNS上で動物の動画が人気なのか - この連載の一覧へ