筆者を含め、筆者の周囲では発売に合わせて速攻で「Apple Watch」を買った人が相次いで手放している。
アップル教の信者でも、よほどのスマートウォッチのコレクターでもなければ必然的結果なのかもしれない。
伝統的な腕時計のコレクターであればあるほど、購入後半年も経てば、購入した商品が自分向きなのか否かはおのずと分かってくる。
滅多なことでは突然変異が起こらない従来の腕時計と、発展途上か退化途上なのか分からないスマートウォッチならなおさらだ。
何度目かのスマートウォッチであるソニーの「Live View」を買ったのは5年ほど前の秋だった。その後、ソニーの「SmartWatch」や「Pebble」などのユニークOSを基盤にしたスマートウォッチが登場。そして、その後さまざまなメーカーからAndroidウォッチが登場し、ほどなくApple Watchが登場した。
Apple Watchは“腕時計を再定義した”というのがデビューのキャッチフレーズだったが、一般的な腕時計ユーザーやスマートウォッチユーザーにはあまりピンと来ない独りよがりのコピーだった記憶があった。
その頃も今も、まだまだ将来のスマートウォッチの市場がどうなるかは不確かだったが、伝統的な機械式腕時計を作っている欧州系の幾つかの会社から、”俺達もスマートウォッチをやるぞぉ!”っていう気合とも意気込みとも取れる”開発意向表明”が立て続けに出された。
そんな中で、メジャーモデルであるタグ・ホイヤーの「コネクテッド」(CONNECTED)というニューモデルを先日衝動買いした。
タグ・ホイヤー初のスマートウォッチ「コネクテッド」
コネクテッドはAndroid Wearを搭載したスマートウォッチであり、以前本連載でも紹介したLGの「G Watch R」(関連記事)などと同じGoogleのガイドラインに準拠したスマートウォッチの1つだ。
コネクテッドは、前回、筆者が紹介した電子ペーパーを採用したユニークな腕時計である「FES Watch」などとは異なる設計思想の商品だ。コネクテッドは、すでに10種類以上も発表出荷されているスマートウォッチの中で、スイスの伝統的な腕時計製造企業であるタグ・ホイヤーが一般的な腕時計市場に発売した初めてのスマートウォッチである。
それゆえ、市場の注目度も高く、筆者が訪問した時には銀座のタグ・ホイヤーのお店でも、デモ機以外はすでにすべてが売り切れの状態だった。幸い、筆者は運良く翌日入荷分のブラックベルトモデルの予約ができたので何とか入手したという状態だった。
Apple Watchの高額モデルは、高級腕時計と同様な豪華なパッケージで出荷に臨んだが、アナログ腕時計の雄であるタグ・ホイヤーのコネクテッドのパッケージも同じように豪華で、うれしい反面、筆者の様に捨てる気迫のない人間には、何も入っていないのに大きな保管場所が必要でけっこう邪魔な存在だ。
パッケージの中は極めてシンプルだ。コネクテッド本体以外には、USB/ACアダプター、ドッキングステーション、USBケーブル、液晶クリーナー布、クイックスタートガイドの6点だ。
コネクテッドの基本デザインはタグ・ホイヤーの人気腕時計「カレラ」が基本となっている。ハードウェア的には、Intelの1.6GHzデュアルコアCPUを搭載し、ベースメモリーは1GB、記録ストレージは4GBだ。
コネクテッド本体ケースの直径は46mmで厚さは12.8mm。ディスプレーは1.5型の半透過型LTPS液晶(解像度:360×360、240ppi)を使用しており、直射日光を正面から受けないかぎり、省エネモードでも何とか文字盤の時刻の判読は可能だ。
そして操作系は、従来のAndroid系スマートウォッチと同様タッチ対応液晶だ。防水/防塵性はIP67。本体部分の重さは52g、付属するラバー製ベルトは約29g。本体やバックル部分にチタニウムを使用しているので、軽量性と強度を実現している。
2年間のメーカー保証付きで、製品発表時には2年経過後は約1500ドルの追加支払いで、スマートウォッチではない同社の普通の腕時計と交換できるオプションが発表されたようだが、店舗で聞いた限り、その詳細はまだ一切決まっていないらしい。
(次ページに続く、「心拍センサーがないのはちょっと残念」
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