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「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO 2015」基調講演で語る

人工知能、IoTなどの技術を社会価値創造へ、NEC遠藤社長

2015年11月16日 06時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 NECおよびNEC C&Cシステムユーザー会は、11月12日、13日の2日間、東京国際フォーラムにおいて「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO 2015」を開催した。開催初日には、NECの遠藤信博社長がICTを通じたNECの社会価値創造への取り組みについて基調講演を行った。

NEC 代表取締役執行役員社長の遠藤信博氏。「Orchestrating a brighter world 世界の想いを、未来へつなげる~お客さまとの共創により実現する新たな社会~」と題した基調講演を行った

顔認識技術や人工知能におけるNECの実績やビジョンを紹介

 遠藤社長は、地球や日本社会の抱える課題から講演をスタートした。

これからの地球が抱える課題に、ICTでどう解決を与えていくか

 世界人口は、2050年には90億人に及ぶと予測されている。そのうち、都市に住む人口は現在の1.8倍である68億人となり、必要なエネルギーは現在の1.8倍、食料需要は1.7倍、水需要は1.6倍にふくれあがる。一方で、日本では人口が減少し、業務の効率化やインフラの経年劣化への対応、パブリックセーフティへの対応が必要となってくる。

 遠藤社長は、こうした世界/日本の未来が抱える課題を、NECではICT技術を活用して解決していくことができると強調する。ICTは「コンピューティングパワー」「ソフトウェア/ソリューションケーパビリティ」「ネットワーク」の3要素で構成されるが、NECはそのすべての技術/アセットを有しており、それぞれ「リアルタイム性」「ダイナミック性」「リモート性」という価値を提供できることを示した。

NECは「コンピューティングパワー」「ソフトウェア/ソリューションケーパビリティ」「ネットワーク」のすべての技術とアセットを有している

 「コンピューティングパワー」について見ると、この20年間でスーパーコンピューターの処理能力は57万倍になり、モバイルネットワークの伝送速度は10万倍に向上している。またデジタルデータの生成量は毎年1.3~1.5倍の増加を続け、20年間では6500倍となり、2020年には44兆GBに増えると見込まれている。遠藤社長は「これら(のリソース)を価値として使い切ることができるかが、今後の重要な要素になる」と述べる。

 コンピューティングパワーを生かしたソフトウェア進化の例として、遠藤社長は顔認識技術を紹介した。NECの顔認識技術は、高並列処理技術の活用で136個のCPUを並列化し、最大限の効果を発揮させた場合、従来技術で26.74秒かかっていた認識処理時間を、ほぼリアルタイム(わずか0.41秒)に短縮できる。

 「多くの人の中から迷子を探したい場合にも、リアルタイムで処理ができれば、人が移動したり、横を向いて顔が認識できないという問題もなくなり、すぐに探し出すことができる。リアルタイムが価値を持つことになる」

 また、人工知能への取り組みについても触れた。人工知能は、1950~1960年代の第一次ブーム、1980年代の第二次ブームに続いて、現在、第三次ブームを迎えているという。過去のブームではリアルタイム性や認識精度が十分でなかったが、機械学習技術と認識技術の高まりによって、活用できるようになっていると遠藤社長は語る。

 「人工知能(AI)を活用することで、生の『データ』が価値を持った『情報』となり、それに分析を加えることで『知識』になる。さらに、知識をより高度化することで『知性』へとつながり、広い範囲で価値のあるものとなり、将来予想もできるようになる。人間の判断をAIが支援し、さらには発想を支援したり、より高度な判断の支援へと進化することになる」

データから情報へ、情報から知識へ、そして知識から知性へ

 その一方で、「知性を持つということは、倫理観が必要になるだろう。『倫理観を持った知性』にならなくてはならない」とも語った。

 また人工知能の高度化を実現していくためには、より進化したコンピューティングアーキテクチャが必要となると遠藤社長は述べ、NECが研究に注力している「ベクトル型コンピュータ」や、FPGA技術による非ノイマン型コンピュータへの取り組みなどを紹介した。

(→次ページ、IoTは「未来予測」とつながることでさらなる価値を生む

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