「Cyber3 Conference Okinawa 2015」で政府、民間、識者が語り合う
沖縄の国際会議で共有されたサイバーセキュリティの課題
2015年11月12日 06時00分更新
内閣府は、サイバーセキュリティに関する国際会議「Cyber3 Conference Okinawa 2015-Crafting Security in a Less Secure World-」を、2015年11月7日、8日の2日間、沖縄県名護市の沖縄万国津梁館で開催した。協力は世界経済フォーラム(World Economic Forum)。
政府や企業のセキュリティ担当者、経営者など350人が参加
Cyber3 Conference Okinawa 2015には35の国と地域から、政府や企業などのセキュリティ担当者、経営者をはじめとする約350人が参加。サイバーコネクション、サイバーセキュリティ、サイバークライムの3つの観点から議論を行ない、世界が直面するサイバーに関する問題を理解するともに、それらの解決策を模索するのが狙いだ。
2年前にIT政策担当大臣を務めていた山本一太議員が、サイバー空間に関する議論を行う国際会議を沖縄で開催することを企画、検討。山口俊一前大臣の時代に予算化し、今回の開催へとつながった。
会議初日には、サイバーコネクション、サイバーセキュリティ、サイバークライムの3つのトラックを用意。各トラックで議論を行なったのちに、2日目の最終セッションで、各トラックでの議論のポイントをまとめ、サマリーセッションで総括した。
サイバーコネクションのトラックでは、産業革新機構代表取締役会長であり、日産自動車副会長である志賀俊之氏が議長を務めたほか、サイバーセキュリティでは笹川平和財団米国会長であり、元米国家情報長官のデニス・ブレア氏が議長を務めた。また、サイバークライムでは、国際刑事警察機構(インターポール)IGCI総局長の中谷昇氏が議長を務めた。会議では、政策リーダー、テクノロジーリーダー、アカデミックリーダーが議長を補佐する形で議論が進められた。
ひとつの国の法律、政策などが通用しない世界がやってくる
内閣府参与であり、世界経済フォーラム グローバル・アジェンダ・カウンシルの齋藤 ウィリアム 浩幸氏は、「ネットワークで接続された世界が訪れており、これからどんなことが起こるのか、だれも知らない世界がやってくる。モノがネットワークにつながるサイバーコネクションが広がり、それを生かすためにはサイバーセキュリティが必要。そして、サイバークライムを防がなくてはならない状況にある。インターネットが経済になり、もはや、そこから戻ることはできない。国や企業を超え、ひとつの国の法律、政策などが通用しない世界がやってくる。つまり、インターネットが大きな岐路に立っており、お互いに協力する必要があるタイミングが訪れている。ICTがコミュニケーションのすべてを成り立たせることはできない。時には、物理的に集まる必要がある。世界のサイバーに関する専門家が集まったこの会議を通じて、双方向による活発な討論をしてほしい」と述べた。
同会議の開催にあわせてビデオメッセージを送った安倍晋三首相は、「世界のサイバー専門家が一堂に会し、サイバーセキュリティに関する議論が行なわれることは時期を得たものである。2016年の伊勢志摩サミット、2020年の東京オリンピック/パラリンピックを成功に導くためにも、サイバーセキュリティへの取り組みが重要になる。日本では、昨年11月にサイバーセキュリティ基本法を制定したのに続き、サイバーセキュリティ戦略を閣議決定。サイバーセキュリティ対策に全力をあげて取り組んでいる。今回の会議での議論が実りあるものとなり、安全なサイバー空間の実現を期待したい」などとした。
また、内閣府特命担当大臣(沖縄および北方対策、科学技術政策、クールジャパン戦略)の島尻安伊子氏は、「サイバー空間は、経済成長やイノベーションを推進するために必要な場であり、欠くことができない経済社会の活動基盤になっている。イノベーションが創出され、経済社会の活力向上に寄与するためには、不必要な規制がない、自由が保障された空間でなくてはならない。一方で、今後、サイバー攻撃により、重要インフラなどの社会システムが機能不全に陥るような事態が生じれば、国民生活、国際社会が危機にさらされる。本会議では、世界中の人たちが、『自由かつ公正なサイバー空間』の恩恵を安全な形で享受することができる社会の実現に向けて、実りのある議論が展開されることを期待している」と挨拶。
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