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DMP、ビッグデータ、ジオフェンスなど全部のせO2O施策 エブリイ×リレーションズ

無印良品・東急ハンズを超えろ 地方スーパーに異変

2015年10月28日 07時00分更新

文● 北島幹雄/大江戸スタートアップ 撮影●青野文幸

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地方のアップデートこそ、スタートアップができる役割がある

 企画がそもそも提案されたのは今年の7月。エブリイの経営層に持ち掛けてみたところ、反応は上々だった。取り組みの話が始まった翌8月から2カ月足らずの期間で、サービスが始まった。

 「日本でトップクラスのスーパーを探していた。規模というより成長性、ビジョンとして世の中になさそうなものを生み出している価値が重要だった。先進的なコミュニティとデータマーケティングの取り組みを地方のレガシーなスーパーを舞台に行えたなら、そのインパクトは大きいはず。やるなら、まずO2Oだろうと」(宮原氏)

 他業種との競争がより激化している流通業の中で勝ち抜くためには、顧客の購買動機をより作るしかない。地域に根ざした経営、一人一人の顧客と向き合ったスーパーこそ、O2Oアプリを展開するにふさわしい。生鮮での差別化をはじめ、”ここだけの価値”をつくっていたのがエブリイだった。

 既存の大型スーパーのようなサービスの均質化では、結局コンビニやドラッグストアと変わらない。だがエブリイのような、顧客が何を望んでいるかを把握して適切なサービスをつくるといった購買体験の向上には、ローコスト・ローオペレーションではない道筋が求められる。コスト増ではあるものの、従業員の質といった差別化も必要となってくる。

 スーパーマーケット1店舗の進出で、エブリイの場合およそ100名の雇用が生まれる形だ。地元に愛される企業がもっと良くなり地元に還元できるのであれば、経済に与える意味は大きい。衣食住といったビジネスのアップデートは、その商圏に関わる多くの人に影響が与えられる。

 

 「地域の消費者の食を支えるとともに、生産者に対して適切な報酬を支払いたいというエブリイの考え方には共感している。今回をきっかけに、地方を活性化させることで地域にとって良い方向に持って行きたい。日本の地方にはそこまで時間が残されていないという危機感も持っている」(宮原氏)

 エブリイでも、既存のスーパー業界がITをいかに活用するかという課題に対しての着眼点や漠然としたイメージがあったが、実際のマーケティングシステムにまで落とし込めはしなかった。だが同様の話は、東京にある企業の側にも言えるようだ。

 「リレーションズは若い企業であるにもかかわらず、地方に対して強い顧客接点があったが、1社だけではこのようなサービスは実現できなかった。インティメート・マージャーやブログウォッチャーなど、地方の素晴らしい企業をアップデートさせるために集結してもらえた形。もちろんただ集まっただけではだめで、利用する側、さらにアップデートされる側自身も”道具の使い方”がわからないといけない。お互いに実績の結果が見えたら、中身を教えあって、より使いやすく高める仕組みができるはず」

 古い慣習の残る業界かつ地方都市での興味深い挑戦はまだ始まったばかり。実際、数値としてのマーケティング効果、集まるデータの絶対数はどれほどなのか、そして実際に活用できるのか、ファンを集めた次の段階にどのような活用を行うのか……結果が見えるのは先だが、そもそもこのような取り組みが始まっている点が重要だ。決して情報格差を利用して地方をただ食い物にするのではない、お互いが納得をもって進めていける取り組み実現にぜひ期待したい。

 「スタートアップ・ベンチャー企業はどうしてもディスラプト(既存のビジネス制度の崩壊)的な考えになりがちだが、社会への影響度を考えた場合、既存企業をアップデートする方が近道だと考えている。ある意味では今回の取り組みは、1つの実験。いいスタートアップがあったら、そういうことをやってほしいし、逆に呼びかける地方企業があってもいい。社会を前進させるスタートアップは地方にもっと関わるべき。こういうものが進んでくれたら、日本はもっとよくなると思う」

■関連サイト
エブリイ
リレーションズ
エブリイ(アプリ)

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