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小室哲哉「吉野家おごってくれた、あの人にお礼したい」

2015年09月18日 13時04分更新

文● 盛田 諒(RyoMorita)

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 小室哲哉さんはいまでも探している。浜松町の吉野家で、財布を忘れた小室さんに「いいっすよ、おごります」と笑ってくれた若い店員を──。

 京都ホテルオークラで9月17日、ベンチャーキャピタルB Dash Ventures主催のスタートアップカンファレンス『B Dash Camp 2015 Fall in KYOTO』が開催。600人を超える起業家たちの前に、小室哲哉さんがゲストで登場した。

 B Dash Ventures渡辺洋行代表とのスペシャルトークセッション。「儲かってしょうがなかったんじゃないか」と聞かれ、小室さんが好調すぎておかしくなっていた例として紹介したのが、吉野家のエピソードだ。

 当時、小室さんは「WOW WAR TONIGHT〜時には起こせよムーヴメント」の制作に追われていた。歌手をつとめるダウンタウン浜田雅功さんはお正月にはハワイに行ってしまう。なんとか成田便に間に合わせなければならないと作曲をつづけた。ギリギリまで粘り、完成したのは1月1日の夜明け間際だった。

「浜松町の吉野家に行ったんです。ふらっとひとりで散歩がてら行った。当時の自分を象徴するように何も考えてないから、財布も持ってなかった。入りゃ食べれるもんだと思ってた。完全にどうかしていたんですね」

 しかし、食べ終わったあと、いざわれにかえった小室さんは、ケータイさえ持たずに出てきたことに気づく。連絡をとりようにも手段がない。困った小室さんは、元旦、1人で店番をしていた若い店員に声をかけた。

「『スタジオがすぐそこ。何か置いておくから、財布とってくるの待っててくれる?』とお兄さんに必死に話をしたんです。そうしたら『いいっすよ、おごりますよ』と言ってくれた。『見ててください』と自分の財布から600〜700円を取り出して、レジでチンとやってくれて『終わりましたから大丈夫っすよ』と」

 以来、その店員を探しているのだが見つからないと小室さん。

「探してお礼をしなきゃいけない。タダ食いしたわけだから」

 もし本当に当時の店員さんがいたとしたら、ツイッターあたりから連絡をとってみるといい。きっと昔話のように豪華な「お礼」をしてくれるはずだ。

 けれども、小室さんもいきなりスターダムの頂点に輝いたわけではない。それまでには「市場の隙間をねらう」音楽起業家としての努力があったという。

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