顧客中心の“IoC”を、セールスフォース「Dreamforce 2015」レポート 第2回
関係を強めるSFDCとMS、「Dreamforce 2015」基調講演レポート
「MSの3つの野心」ナデラCEOがセールスフォース講演で語る
2015年09月18日 14時00分更新
機械学習やコルタナアナリティクス、Holorensもナデラ氏自らデモ
“マイクロソフトの3つの野心”2つめの「インテリジェクトクラウド」について、ナデラ氏は、コンピューティング技術を「空気のように、どこにでもあるように」使えるようにすることだと説明した。「なおかつ、シンプルでインテリジェントなものを目指したい」(ナデラ氏)。
その具体的な例として取り上げたのは、機械学習(Machine Learning)だ。機械学習機能を搭載した「Cortana Analytics Suite」を活用したデモストレーションを行いながら、次のように語った。
「いまや、データは、企業にとって重要な資産と位置づけられている。こうしたデータから、自然言語を使って必要なデータを抽出できるようにすることでデータのパーソナル化が実現し、同時にダッシュボードでビジュアル化したものが提供できる。しかも、これは短時間で実行できる。さらには機械学習を活用して、ある案件が制約する可能性がどのくらいあるのかを、データに基づいて予測することができる」(ナデラ氏)
3つめの野心、パーソナルコンピューティングでも、あらためてWindows 10プラットフォームに言及した。「Windows 10はすでに7000万人に利用されており、ひとつのプラットフォームで、PCからスマホ、タブレット、ゲーム、大画面ディスプレイデバイスにまで対応する。この仕組みができたことで、パートナーやデベロッパーとの関係が変わってくることになる」(ナデラ氏)。
さらに、Windows 10対応の最新デバイス(開発中)であるヘッドマウントディスプレイ「Holorens」をビデオで紹介した。Holorensの開発キットを来年から、まずはエンタープライズを対象に提供していくという。
「Holorensは、リアルの世界とデジタルの世界を組み合わせた“ミックスド・リアリティの世界”により、これまでにない体験ができる。世界が大きく変わる」(ナデラ氏)
コンピューターサイエンス教育への投資も積極的に行う
ヘンペル氏からは、ナデラ氏に幾つかの質問がなされた。その1つ「眠れなくなる理由があるとすれば何か?」に対して、ナデラ氏は、CEOの仕事とは「文化を創る役割」であると考えており、「私が眠れなくなって、エネルギーを蓄えられないということになってはいけない」と答えた。
また「最近、アップルのイベントや、セールスフォースのイベントに出席している理由は?」との質問には、「顧客に価値を与え、問題を解決していくうえで、ゼロサムでの解決策はない。幅広い選択肢を提供することが必要で、パートナーシップを組むことがそれにつながる」と応じた。
最後にナデラ氏は、ベニオフ氏が常々「教育が大切である」と語っていることに賛意を示し、マイクロソフトとして今後3年間にわたり、コンピューターサイエンス分野の教育活動に7500万ドルの寄付を行うと語った。
「これ(教育への投資)は、コンピュータ業界にとっても、広く経済界にとっても重要なことである。マイクロソフトでは、当社社員が講師となってコンピュータサイエンスに関する教育を行う『テクニカル・エデュケーション・ラーニング・サービス(TELS)』と呼ぶ活動をしており、コンピュータサイエンス分野の教員不足の問題を解決している。すでに130校、6000人が受講しており、今後3年以内には4万人に受講してもらう予定である。TELSの受講生が、今度は先生となっている例もある。こうした活動は、時間がかかるかもしれないが、業界全体でやらなくてはならないものであり、すべての子供たちに明るい未来を提供するものになる」(ナデラ氏)
この連載の記事
-
第4回
ビジネス
「IoC(顧客のインターネット)」でセールスフォースが考える世界 -
第3回
ビジネス
セールスフォースの新製品群はどんなインパクトを持つのか -
第1回
ビジネス
ベニオフCEO、Dreamforceで「顧客のインターネット」を語る -
ビジネス
顧客中心の“IoC”を!セールスフォース「Dreamforce 2015」レポート - この連載の一覧へ