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本当はエロい浦島太郎 亀は××のことだった

2015年08月25日 12時54分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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写真:Hjalmar Gislason

 むかしむかし浦島が、助けたカメに連れられて竜宮城に行ってみれば。

 現在よく知られている浦島太郎は、じつは巌谷小波さんが書いた児童小説がベース。しかしお話のもとをたどると、8世紀の日本書紀に登場するお話『浦嶋子』につきあたる。そしてその内容はかなり大人っぽい。

 これは週刊アスキー福岡俊弘元編集長に教えてもらったお話。『情報の取り扱い説明書』高橋幸治さんが開催している勉強会「Editor's Lounge」(Facebookページ)で7月18日、浦島太郎をもとに編集の機能を説明した。浦嶋子はこんな話だ。


五色の亀が美人に化けた

 むかしむかし、水の江の浦島子さんという男性がいた。丹後国の沖合で釣りをしていると、五色の亀が釣れた。亀は絶世の美人に化け、島子は結婚することにした。美人の名前は亀姫といい、天上界から来たという。

 島子は美女と海中御殿に潜っていき、夫婦生活をすごすことになる。

 亀姫の兄弟・姉妹たちも御殿を訪れ、一緒にお酒を飲んだ。近所の少女たちも、きれいな恰好で遊びに来たりした。島子と亀姫は身を寄せ合い、肩を並べ、袖を重ね、夫婦のことわりをなした(要はセックスした)。

 やがて島子が故郷を離れて亀姫と一緒になってから、三年の月日が流れた。

 ふと島子は故郷の両親が恋しくなる。島子が訥々と思いを語ると、亀姫は涙を流した。しかし両親に会いたいという思いを知り、別れを受け入れる。そして別れの印にと、櫛などを入れるきれいな玉匣(たまくしげ)を島子にプレゼントした。

「わたしを忘れることなく、ふたたびここに戻ってきたいと思うのなら、けっして箱を開けてはいけません」

 亀姫はそう言いおき、島子は故郷に戻ってくる。

 ところが、故郷の様子は昔とはすっかり変わってしまっていた。自分の家族はどこにいるのか島子が村人に尋ねると、その家があったのはもう300年も前のことですよ、と驚かれる。島子もびっくりしてしまう。

 島子は呆然としたまま村を歩くが、両親はおろか、知っているものも1人もいない。10日間が過ぎ、島子は別れた亀姫に思いをはせる。島子はつい、あの約束を忘れて、玉匣をひらいてしまった。

 あっというまに島子の体は老いてしまう。亀姫にも二度と出会えないことを悟り、島子は悲しみを歌にする。すると海の彼方から、亀姫の歌が返ってくる。島子は悲しみにたえず、海の向こうに歌を返すのだった──


浦島太郎は恋物語だった

 というわけで浦島太郎の原典は、美しいラブシーンもある大人の恋物語だ。

 しかしその後、室町時代の『御伽草紙』などいくつもの「別バージョン」が生まれてきた。原典をもとに、二次創作をくりかえしてきたわけだ。そして現在、子供も楽しめるファンタジーという形で伝わっているわけ。

 ここで編集というのは削除機能を指している。

 原典をもとに、伝えなくてもいい情報を削除する。あるいは言葉を置き換える。この記事も同じく、メディア関係者はそうした情報の取捨選択をするのが仕事だ。しかし、じつはあらゆる行為が編集と無縁ではない。

 企業が、人が、誰かに大切なことを伝えようとするときは、つねに編集行為が関係してくる。では編集の正体とはいったい何であろうか、というのが、Editor's Loungeでの福岡さんの講義内容になるそうだ。

 ソーシャルメディアやらオウンドメディアやら、何をするにも「メディア」が必要不可欠になったインターネットメディア時代。編集のイロハは、もしかしたらすべての人が必要とする知識になってくるのかもしれない。

 個人的には『浦島太郎』より『浦嶋子』のほうが好きだったな。あとこれ本論関係ないけど、日本眼科学会によれば浦島太郎は典型的な眼病の症状なんだとか。そういう見方を加えるのも1つの編集かもしれない。

 第2回勉強会は9月26日にデジタルハリウッド大学で開催予定。気になったらEditor's Lounge公式ページを。


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