「WPC 2015」で新たなパートナープログラム発表、一気にビジネスの加速を図る
パートナー施策拡充で新段階へ、マイクロソフトのクラウド戦略
2015年07月22日 09時00分更新
先週、マイクロソフトが米国フロリダ州オーランドで開催したパートナー向けイベント「Worldwide Partner Conference(WPC) 2015」では、CSP(クラウド・ソリューション・プロバイダー)プログラムの拡張が大きな目玉となった。「モバイルファースト、クラウドファースト」を掲げるマイクロソフトが、クラウドビジネスを一気に加速するための“起点”と位置づける戦略的施策だからだ。
戦略的プログラム「CSP」の拡張がもたらすもの
CSPは、昨年7月に開催されたWPC 2014(関連記事)において初めて発表されたプログラムで、「Office 365」および「Enterprise Mobility Suite(EMS)」をパートナーが再販できる仕組みである。それ以前は、シンジケーションパートナーと呼ばれるごく限られたパートナーだけが再販を行うことができた。日本では大塚商会、リコージャパン、ソフトバンク コマース&サービス、NTTコミュニケーションズ、KDDIの5社だったが、日本は異例であり他の国では1~2社に留まっていた。
今回発表されたCSPの拡張施策では、このシンジケーションパートナー制度を廃止する一方で、CSPが世界131カ国に幅広く展開されることになった。また、再販対象を「Microsoft Azure」や「Dynamics CRM Online」にも拡大する。
日本では約20社がCSPに参加する予定であり、ここにはソフトバンク コマース&サービス、ダイワボウ情報システムの2社が含まれている。この2社は「2Tearパートナー」と呼ばれ、日本マイクロソフトのクラウドサービスを2次店にも卸すことができる。「2次店が用意している導入支援サービスなどのサポートメニューや、ソリューションを組み合わせて流通することができる」(ダイワボウ情報システム 販売推進本部販売推進3部SW1グループ・井沢哲也課長代理)。
ダイワボウ情報システムでは、Office 365にOffice導入支援サービスや延長保証サービス「のびるくん」を組み合わせて提供する一方、販売パートナー向けのサービスとして「事前相談窓口」や「購入後サポートセンター」を新設することで、2次店の販売前から導入後までをサポート。また、同社が開催するイベントでCSP関連セミナーを実施し、2次店のリクルート活動を行っていくという。
一方、ソフトバンク コマース&サービスでは、「主力となるOffice 365に加えて、Azureなどにも範囲が拡充されたことで、ビジネスチャンスが広がる。誰でも導入しやすい環境が整い、マイクロソフトのクラウドサービスがコモディティ化したともいえる。月額課金によるビジネスを促進でき、まさに真打ち登場というイメージがある」(ソフトバンク コマース&サービス ICT事業本部MD本部長・原山健一執行役員)と、CSPの拡張に期待を寄せている。
このように、従来のシンジケーションパートナー制度と比べると、「新地域への展開」と「参加企業の敷居を下げる」という横方向への拡大、そしてディストリビューターを通じた「2次店網の活用」という縦方向への拡大、の2つの側面を持つ戦略的制度がCSPだと言える。
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