薄型テレビの主流である液晶テレビの仕組みから始まって、今後の8K/4K放送のロードマップやそれにともなって登場する新しい技術や規格を紹介してきたこの特集。
第3回は、主要な薄型テレビメーカーの最新4Kテレビに採用された新技術を詳しく紹介していこう。特に、前回紹介した高輝度表示技術「HDR」については、すでに各社が類似の技術を独自に盛り込んでいるので、HDRへの対応状況にも触れていく。
OSにAndroidやFirefoxを採用!
スマホとの連携がよりシームレスに
まずは最初にGUIの話を軽く紹介しよう。最新薄型テレビは、番組表は録画機能はもちろん、インターネットの動画配信サービス、DLNAベースのネットワーク再生機能などなど、多彩な機能が盛り込まれており、それらを操るためのGUIが採用されている。
いわゆるホームメニューなどと呼ばれているものだ。これらはもともとデザインや機能を含めて各社が独自に開発したもので、おおむねOSとしてはLinuxベースとしたものが使われていた。ところがここ最近は、各社が続々とGUIに使うOSを変更してきている。
目立つところでは、ソニーのBRAVIAで採用されたAndroid TVだろう。これはスマホ用のAndroidのTV版と言えるもので、Android TV用のゲームなどをテレビの画面でプレイできる。国内ではソニーがいち早く採用しているが、国内外のメーカーでも複数が参入を表明している。
これ以外では、HTMLベースのOSを採用するメーカーもある。パナソニックはFirefox OSを採用。LGエレクトロニクスはweb OS 2.0を採用している。東芝は従来通り独自OSを採用するが、クラウドベースの「TimeOn」を大幅にバージョンアップする。こうしたGUIの変化はどんなメリットがあるのだろうか?
Android TVのメリットはわかりやすい。AndroidやAndroid TV用に開発されたアプリを追加することで、テレビの機能を比較的容易に増やすことができる。
モバイル端末と家の中で使う据え置き機では、役に立つソフトもそうでないソフトもあると思うが、ユーザーが自分の使いたい機能を自由に追加できるというのは、スマホなどを使っている人なら容易に理解できるはず。
現在のところ、Android TV向けの主要なアプリはソニーが開発したものが多いが、サードパーティーからもアプリが登場するようになれば、より多彩な機能が増えるのは大きなメリットだろう。
デメリットがあるとすれば、複数のメーカーがAndroid TVを採用するようになったとき、独自性をアピールしにくくなる可能性がある点だ。
パナソニックが採用したFirefox OSや、LGエレクトロニクスのweb OS 2.0はどうだろうか? どちらもアプリを追加する形でさまざまな新機能に対応が可能な仕様になっている。HTMLベースなので、アプリの開発が比較的しやすいことがメリットと言えそうだ。
ただし、こちらは今のところ他社が同じOSを採用するという話は聞こえてこない。現状では、GUIを開発するプログラム環境が変わったという点だけで、ユーザーへの特別なメリットがあるわけではないが、メーカーが独自のアプリを開発することで他のOSの製品にはない独自性を打ち出せる可能性はある。
これらのOSの採用により、新しいテレビの楽しみ方が生まれる可能性はある。たとえば、クラウドのデータベースを活用することで、音声認識の精度が大幅に向上。これから放送されるテレビ番組はもちろん、動画配信のコンテンツ、YouTubeの動画などを横断的に検索できる機能などもある。今後の動向が気になるところではある。
(次ページに続く、「4Kパネルで8K相当の高精細表示を実現したシャープ」
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