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杉原体制2年目となる日本オラクルの事業戦略とは?

2016年度は「POCO」の下、日本オラクルを作り替える

2015年07月01日 06時00分更新

文● 大河原克行

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日本オラクルは、2016年度の事業戦略について説明した。日本オラクル 取締役代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏は、「POCO(ポコ)」をキーワードにクラウドビジネスに邁進する方向性を強調。また、顧客やパートナーとのパネルディスカッションも行ない、クラウドビジネスの進展をアピールした。

ミッションクリティカルなクラウドサービスを提案

 戦略説明会で登壇した日本オラクル 取締役代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏は「日本オラクルは今年10月に30周年を迎え、第2創業期へと突入する」と前置きし、「米オラクルのラリー・エリソンやマーク・ハードとの話し合いのなかで、日本オラクルをまったく新しいものを作り替えてほしいといわれた。クラウドといえば、オラクルと認知される会社になりたいと宣言してから2年目に突入する。2016年度はPOCO(ポコ)が最重点施策になる」と語った。

日本オラクル 取締役代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏

 POCOは、杉原社長が打ち出した造語でThe Power Of Cloud by Oracleを意味する。「私がポコっというと、多くの人がニコっとする」というように、杉原社長特有のセンスから作られたメッセージだ。

杉原社長の造語「POCO」をメッセージの中心に

 そして、POCOにおいては、「SaaS/PaaS/IaaS事業の拡大」、「システム事業の拡大」、「エンタープライズ営業の強化」、「地域ビジネス成長に向けた支社体制の再編と拡充」に取り組むとした。

 「SaaS/PaaS/IaaS事業の拡大」では、「Oracle Marketing Cloud」、「Oracle HCM Cloud」、「Oracle ERP CloudおよびOracle EPM Cloud」、「Oracle Service Cloud」、「Oracle Sales Cloud」の5つのSaaS事業と、PaaS事業を専任組織化するとともに、営業、サポート担当者を増員して、オラクルダイレクトを拡充。国内へのデータセンター開設などに取り組む。また、クラウドビジネスの成長に向けては、200人規模の人材を採用。中堅企業向けのクラウドサービスの提供を強化することも明らかにした。

POCOの具体的な施策

 「SaaSを提供する元気な会社とは異なり、ミッションクリティカルとしてどこまで使えるかのか、といったことに、オラクルはクラウドサービスを通じて真剣に取り組む。オラクルが提供するクラウドはこういうものである、ということを提案していきたい」と語った。

 また、「システム事業の拡大」では、エンジニアド・システムズの拡販、EXAやZFSなどによるストレージビジネスの強化、ソフトウェアとハードウェアの組織統合などを図る。「ミッションクリティカルなシステムは誰が担保するのか。これを担保するのはオラクルになる」と話した。

 「エンタープライズ営業の強化」においては、直販営業力の強化、グローバル事業戦略室の新設などにより、顧客の海外事業展開の支援に取り組む。「日本の企業は、大なり、小なり、海外の国や企業との取引で成り立っている。そうした企業に対するサービスレベルをあげていく」と語った。

 さらに、「地域ビジネス成長に向けた支社体制の再編と拡充」では、中部支社を東海支社と北陸支社に再編。西日本支社を関西支社と中国・四国支社に再編することを発表した。

 「日本全国のGDP分布と比較すると、日本オラクルは、東京圏の売り上げ比率が高い。まだ地域には行けていないところがある。POCOを推進していくと地域格差はなくなる。日本を7つの支社体制でカバーし、地域ビジネスの成長に向けた支社体制の拡充を図る」とした。

 そのほか、「新たな組織体制によって、わかりやすいものにした。また、人材を募集中であり、革命、改革をしていきたい人にはぜひ来てほしい」などと述べた。

2015年度は売り上げ、利益ともに成長

 また、過去5年間に6つのSPRACプロセッサーをリリースしていることに触れ、「オラクルは、研究開発投資に売上高の13%を投資している。2015年には、M7と呼ぶ新たなSPRACを投入する。これは、ソフトウェアから生まれた究極のチップになる。クラウドが普及すればするほど、パフォーマンスとセキュリティ、キャパシティが必要になる。それに対応したプロセッサーであり、ハードウェアとソフトウェアの融合による無分別知を実現したものだ」と述べた。

過去5年間に6つのSPRACプロセッサーをリリース

 さらに、クラウドストレージサービスにおいては、ギガバイトあたりの単価は、オラクルがもっとも安いことを示したほか、145カ国以上でオラクルのクラウドサービスを提供できる体制が整っていることを強調した。

 また、2015年度の業績についても総括。2015年度の売上高1610億円、営業利益は470億円、純利益が302億円となったことに触れ、「2015年度は売り上げ、利益ともに成長し、わずかだが、コミットした数字を上回ることができた。就任時には、ハードウェアの杉原がなにをやるのかと言われたり、クラウドを伸ばせるのか、その一方でオラクルのコアコンピテンシーはどうなるのかともいわれた。私は、コアコンピテンシーを継続的に伸ばすことにも力を注ぎ、データベースでは49.9%のシェアを獲得した」などと語った。

(次ページ、3者が語るオラクルのクラウドサービス活用)


 

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