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Huawei Europe Innovation Dayで明かされたIT、OT、CTの融合

インダストリー4.0の「神経系」を担うファーウェイの戦略

2015年06月29日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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無線インフラからサーバーまで包括的なICT技術を要するファーウェイ・テクノロジーズはドイツ・ミュンヘンで開催した欧州のプレス向け年次イベント「Huawei Europe Innovation Day 2015」を開催。今年のテーマはインダストリー4.0となった。

ネットワークはIT、CT、OTと融合する

 日本でも「インダストリー4.0」(第4次産業革命)という言葉が聞かれるようになったが、最初にこの言葉を提唱したのは製造業と中暑規模企業が伝統的に産業を支えてきたドイツだ(ドイツ語では「Industrie 4.0」)。インダストリー4.0で欠かせないのが、”つなぐ”を担うIoT(モノのインターネット)だ。

 欧州はエリクソン、ノキアネットワークスなど、ファーウェイが競合するネットワークインフラ技術ベンダーのお膝元ではあるが、ボーダフォン、BT、オレンジといった主要な欧州テレコム企業がファーウェイを採用しており、ここ数年研究開発センターの設置などを通じて、地元経済への貢献も行なっている。そんな同社にとって、法人分野のシステムが一新するインダストリー4.0はまたとない好機となる。

ファーウェイ・テクノロジーズ 西欧州ソリューションマネジメント担当ディレクターのジジン・ルオ(Jijin Luo)氏

 イベントでHuaweiのインダストリー4.0を説明した同社西欧州ソリューションマネジメント担当ディレクターのジジン・ルオ(Jijin Luo)氏は、インダストリー4.0はデジタル経済、デジタル産業そのものであり、「(複数の)システムのシステム」とする。そして、ネットワークはその要であり、人間の体でいうところの「神経系」にあたるという。

「垂直型のビジネスと水平型のネットワークの組み合わせが進むことで、スマート工場、スマート物流、スマートなサプライチェーンなどがすべてなんらかの形でつながり、連携し、最大限の効率化や生産性を得る」とルオ氏。ネットワークはIT(情報技術)、CT(通信技術)、OT(運用技術)と融合し、「物理世界、産業界、エンタープライズ、それぞれのコミュニケーション技術と公共のワイドエリアのネットワークと結びつくことでシナジーが生まれる」と説明する。

スマートファクトリーでインダストリー4.0を実装するとシステム的にはこのようになる

IoTのプラットフォームから通信技術まで

 この中で、神経系がきちんと機能するように技術開発や支援を行なうのがファーウェイら技術ベンダーの任務となる。Huaweiはここで、ストレージ、クラウド、固定・無線の両ネットワーク技術を提供し、これにSAPなど提携企業のERP、PLMなどのITソリューションが組み合わさり、ソリューションとして共同提供するという提携戦略をとる。たとえば、2015年3月のCeBITではSAPと提携を発表している。

 具体的には、土台のインターフェイスでは最新技術となるIoT向けのプラットフォーム「LiteOS」を、アクセス部分では無線インフラ機器とIoTルーターを持ち、その上にプラットフォームが載る。プラットフォームはクラウドデータセンター、デバイス管理などの共通土台となる。アクセス部分はファーウェイが以前から持つ無線インフラ技術だが、ここではLTE、5Gなどのさまざまなセルラー技術や無線技術を統合することで、効率化を図るという。

 「毎日4700万のセンサーが新たに接続されている。拡張性と効率性に優れた”ユニファイド”インフラでなければ対応しきれない」とルオ氏。ファーウェイのLiteOSとチップ技術などを組み込むことで、シグナルの損失がなく、10年の電力持続も可能という。「地下にあるセンサーはそうそう掘り起こすことができない」とルオ氏は自社技術の優位性を強調した。

インダストリー4.0でのファーウェイのソリューション

マインドセット、接続性、自動化などの課題

 だがインダストリー4.0は構想が大きいだけに、課題もさまざまだ。ルオ氏が最初にあげたのは、マインドセットだ。ワークフロー、ITプロセスなどの変化にわれわれがどれぐらいオープンかが問われている。このほか、接続インターフェイスをはじめとしたさまざまな部分での「標準化」と「セキュリティ」、それにIoTの普及レベルに依存するという「自動化レベル」などが課題に挙げられた。アプローチとしては「大きく考えて、小さなところから行動する」とルオ氏はアドバイスした。

 「重要なことは、トランザクションベースのプロダクションからサービスベースに移行しており、これをどのように実現するかだ」とルオ氏、最初のステップとしてプロダクションをインテリジェンスにすることだとした。これにより「企業が(出荷後も)製品を追跡して、遠隔から故障につながる情報や管理に必要な情報を得てサービスを提供できる」という。

 「インターネットは人から、モノとサービスのインターネットへと拡大している」と語るルオ氏。2014年のモバイルデバイスの利用者は80億人、ファーウェイでは2025年には1000億の人、そしてモノが利用すると予想している。

 米政府がセキュリティ上の懸念を示したことなどから、同社は米国ではインフラ事業を展開していない。逆に欧州ではファーウェイの受け入れは進んでおり、同社が設立する研究センターによる雇用創出などで関係を深めている。ファーウェイは約15年前に欧州に進出、これまでの間に19のジョイントイノベーションセンター、18のリサーチセンターを設立している。また、インダストリー4.0はドイツのイニシアチブではあるが、同様のイニシアチブは中国政府も「China 2025」として掲げており、ルオ氏はこれらのプログラムでの取り組みが強調しあうだろうとの見通しも示した。

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