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パプアニューギニアのダーウィン進化論的自然選択が不治の病のカギに

クロイツフェルト·ヤコブ病やBSEなどのプリオン病に治療の可能性

2015年06月12日 18時34分更新

文● 行正和義/ASCII.jp

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プリオン

 ロンドン大学神経医学研究所(Institute of Neurology at University College London)は6月11日、自然なヒトの遺伝的変異がクロイツフェルト·ヤコブ病などのプリオン病に耐性を持つと発表した。

 クロイツフェルト·ヤコブ病(CJD)やウシのBSE(牛海綿状脳症:狂牛病)は、異常プリオンが脳や中枢神経系に蓄積することが原因とされているが、いまだに治療法が存在しない不治の病として知られている。

 プリオン病を研究するチームは、パプアニューギニアにおける風土病「クールー(kuru)」に着目。同地では近代まで死者を弔う儀式での食人習慣があり(1950年代以降は行なわれていない)、クールーはこれに起因する異常プリオンの蓄積が原因とされる。研究チームはクールーにもかかわらず生存してきた現地の人の遺伝子を調査し、プリオンタンパク質に対する耐性と見られる変異を発見した。

 ヒト遺伝子改変マウスにこの遺伝的変異を組み込んだところ、CJDやBSEなどのプリオン病に対して100%の耐性を持つことが判明した。研究チームでは、これはプリオン病にさらされた環境で抵抗を持つ人だけが生き残ったというダーウィン進化論の明確な例として注目するとともに、アルツハイマー病やパーキンソン病など他の神経性疾患への治療法開発に重要な手がかりになるとしている。

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