目のつけどころがシャープなシャープの再強化
中期経営計画では、これまでの2ビジネスグループ8事業本部体制から、5つのカンパニーへと体制を再編する。
2015年10月1日付けで、コンシューマーエレクトロニクスカンパニー、エネルギーソリューションカンパニー、ビジネスソリューションカンパニー、電子デバイスカンパニー、ディスプレイデバイスカンパニーの5つのカンパニーを新設。権限を大幅に委譲するとともに、不採算事業からの完全撤退、成長分野へのリソース集中、各事業領域での新規分野への取り組みを進める。
そうした方針を示すなかで、高橋社長は、ひとつのキーワードを掲げみせた。
それは、「目のつけどころがシャープなシャープの再強化」だ。
高橋社長は、「シャープには、シャープな目のつけどころがある。シャープが長年に渡って培ってきた独自技術と、シャープな目のつけどころにこだわり、人に一番近いところで、人がよりよく生きるために、必要なものはなにかといったことを追求していきたい。人に寄り添い、新たな価値を提供する企業を目指すことで社会に貢献したい」と語る。
シャープは、1990年から2009年までの20年間、「目の付けどころがシャープでしょ」というスローガンを使っていた。
これは多くのユーザーの間に、いまでも定着しているシャープのキャッチフレーズだ。
だが、2010年1月からは、「目指してる、未来がちがう。」にスローガンを刷新。それ以来、「目の付けどころがシャープでしょ」のキャッチフレーズは使用しないでいた。
だが、高橋社長はここで、5年ぶりにこの言葉を使ってみせた。
さらに、商品デザインのコンセプトについても全面的に刷新し、「美しさと愛着」「予期せぬ驚き」「家電たちとの情緒的なつながり」という観点から、新たなデザインビジョンを策定する方針も示した。この詳細は、今後明らかにするというが、ここにもシャープな目の付けどころが盛り込まれる。
新たな中期経営計画のなかで、どんな「目の付けどころがシャープ」な製品が登場するのか。それは、シャープ復活にとっても、重要な意味を持つだろう。
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