5月20日、ヴイエムウェアは仮想デスクトップサービス(DaaS)である「VMware Horizon Air」の提供を国内で開始した。さまざまなデバイスでの利用をサポートしつつ、インフラの運用をヴイエムウェアに任せることで、迅速性や管理負荷の軽減などさまざまなメリットが得られるという。
グローバル対応のDaaSがいよいよ日本でスタート
VMware Horizon AirはVMwareのクラウド基盤「VMware vCloud Air」とデスクトップ仮想化製品群「VMware Workspace Suite」をベースにした仮想デスクトップサービス。仮想デスクトップを提供する「Horizon Air Desktops」を中心に、災害時にデスクトップを提供する「Horizon Air Desktop DR」、アプリケーションを提供する「Horizon Air Apps」などが提供され、デバイスや場所を問わずアプリケーションやデータを利用できる。これまで米国の4箇所、欧州の3カ国でサービスを提供しており、今四半期中に日本でもサービスを開始することになった。
VMware Horizon AirのベースとなるWorkspace Suiteはビジネスモビリティを実現すべく、デスクトップの変革やBYOD、モバイル管理などの提供を実現する。ヴイエムウェア マーケティング本部 シニアプロダクトマーケティング マネージャー 本田豊氏は、「多種多様なアプリケーションがハイブリッドクラウドで提供されるようになった昨今、デバイス問わずアプリケーションにアクセスできる環境が求められている。IT部門としては管理やコンプライアンスの要件を満たす必要がある」と語る。
こうしたニーズに対応するクラウドホスト型DaaSとして提供されるHorizon Air Desktops。日本向けパッケージとしては、ナレッジワーカー向けの「Standard(1vCPU、2GB vRAM、30GB HDD)」、パワーユーザー向けのAdvanced(2vCPU、4GB vRAM、60GB HDD)、開発エンジニア向けのEnterprise(4vCPU、8GB vRAM、120GB HDD)のほか、Windows Server 2008 R2のRDSH(Remote Desktop Service Host)のサーバー環境を提供されるHost Apps Server(20 vCPU、30GB vRAM、100GB HDD)も提供される。その他、3ヶ月間有効な「Business Starter Pack」のほか、追加ストレージやダイレクト接続用のポート(1/10Gbps、回線費用は別途必要)も提供される。価格は12ヶ月のサブスクリプション契約を締結した場合の1デスクトップ当たりで月額予想価格4300円(税抜)となるという。
利用できるデスクトップの種類はWindows XP/7/8のほか、Windows Server 2008 R2/Server 2012などで、データを保持するパーシステントのほか、データを残さないノンパーシステントが選択できる。最低購入数は50デスクトップで、契約期間は1ヶ月、12ヶ月、24ヶ月、36ヶ月が選択できる。支払い回数もプリペイド、月払い、年払いが可能になっている。
オプションとしてはDRに対応するHorizon Air Desktop DRが提供される。基本的にはPCの電源を落としているのと同じで、クラウド上にイメージとアプリケーションを確保し、自然災害や停電、サイバー攻撃時のサイトダウン時に非常用のデスクトップを利用できる。ユーザーがDRを宣言してからデスクトップのキャパシティがスタンバイ状態から復帰するまでの時間で3つのSLAが用意。北米ではオンプレミスのVDIのバックアップとしての利用が多いが、DR以外にもテストなどで使えるという。
エンドユーザーには使い勝手を、IT部門には管理負荷の軽減を
VMware Horizon Airはどのようにメリットが提供できるのか? ヴイエムウェア ハイブリッドクラウドサービス本部本部長の巨勢泰宏氏がまず挙げたのは、優れた利用環境。WindowsやMac、LinuxなどのPCやHTML5対応のWebブラウザはもちろん、シンクライアント、iOSやAndroid対応のモバイルデバイスなど幅広いデバイスで利用できる。また、ネットワーク状態の変化でクライアントを自動的に調整したり、ヘビーな3Dグラフィックスのレンダリングも可能で、「まったくストレスない優れたユーザー環境を利用できる」(巨勢氏)という。
また、ソフトウェア、ハードウェア、サポート、データセンターなどの運用管理をすべてヴイエムウェア側で行なうので、IT部門はデスクトップやアプリケーションの管理に集中できるというメリットもある。IT部門は仮想デスクトップを作成し、Active Directoryの環境からユーザーを割り当てればログインが可能。「仮想デスクトップの障害も運用に長けた弊社のエンジニアが担当する。ユーザーにかかる負荷は劇的に削減すると考えている」と巨勢氏は語る。
その他、運用や拡張にかかるコスト予測が可能になるほか、単一コンソールでのセキュリティや管理の統合、オンプレミスとパブリッククラウドを連携させたハイブリッドクラウドの柔軟性などさまざまなメリットが得られるとのこと。SLA99.9%や業界最高クラスのサポートを提供し、エンタープライズクラスのDaaSとして安心して利用できるという。