顧客のビジネス変革を狙うIBM、企業向けの「AppleCare」も提供
iOSアプリで“現場に力”を、「IBM Mobile First for iOS」披露
2015年04月15日 09時00分更新
「ビジネスIT領域におけるIBMの経験と実績に、アップルのエレガントなユーザー体験が加わる」――。日本IBMは4月14日、アップルとの提携に基づき開発されたiPad/iPhone向けビジネスアプリ群、「IBM MobileFirst for iOS」の紹介イベントを開催した。
アップルとの提携の主眼にあるのは“顧客のビジネス変革”
日本IBMでは先月、7種類のIBM MobileFirst for iOSアプリについて、日本語化を完了したことを発表した(関連記事)。今回のイベントでは、6業界/職種向け、14種類のアプリが披露された。
狙いはモビリティの導入を通じた“顧客のビジネス変革”にある。IBM内でこのプロジェクトを牽引しているのは、製品やテクノロジーの担当部門ではなく、企業のIT戦略立案やビジネス分析などを手がける「グローバル・ビジネス・サービス(GBS)事業本部」だ。同事業本部長のアート氏は、IBMがアップルと提携した狙いを次のように説明した。
「ビジネス変革、システム統合、コンサルティングなど、これまでIBM GBSが培ってきた資産が、アップルのエレガントなユーザー体験と融合する。アップルとの提携によって、(IBMは)企業にモバイルの機能性をもたらすことができる。本当にユニークな提携だ」(アート氏)
さらにIBM MobileFirst for iOSは、ビッグデータやアナリティクスといった先進的なITの力を従業員一人ひとりの手元に届け、ビジネスに対する想像力をかき立てるものになると、アート氏は語った。
また、GBS事業本部 モバイル事業統括部 事業部長の藤森氏は、小売店舗の販売員や事件現場の警察官を例に挙げながら、「情報を必要としている『現場』の人に、バックエンドの情報を届けられるようなモバイルシステムを提供していく」と説明した。
さらに藤森氏は、アプリ専業ベンダーにはないIBMならではの強みとして、アプリの設計から開発、テスト、バックエンドシステム構築、頻繁なアプリアップデートにも対応する維持管理業務まで、IBMがエンドトゥエンドで対応できる点を強調した。日本IBMでは、モバイルアプリ開発のテスト作業を代行するセンターも開設している(関連記事)。
「(IBM MobileFirst for iOSは)企業システムのユーザビリティにフォーカスして開発している。日本市場におけるモバイル活用をどんどん加速させていきたい」(藤森氏) 」
アナリティクスなどの力を現場にもたらし“業務変革”を促進
同イベントでは、6つの業種/職種(航空、銀行、保険、フィールドエンジニア、小売店舗店員、ケースワーカー&警察官)に対応したアプリが展示され、デモが披露された。
たとえば、冒頭に写真を掲載した航空業/乗務員向けの「Passenger+」は、運航中の機内において、フライトアテンダントがきめ細かな乗客サービスを行うためのアプリだ。搭乗機の運航が遅延している場合、乗り継ぎ便に間に合わない乗客が何名いるかを表示し、各乗客の行き先に応じて代わりの乗り継ぎ便を提案、予約手配までを機内で済ませることができる。
そのほかにも、個々の乗客情報や、地上スタッフが聞いた特別なリクエスト(ペットを連れているので水を用意してほしい、など)も、機内から参照できるようになっている。このアプリは、すでにエアカナダで導入されている。
そのほかにも、バックエンドシステムにあるビッグデータやアナリティクスなどのテクノロジーを、iOSデバイスを通じて各業界の“現場”に届け、業務改革を支援するさまざまなアプリが披露された。
企業向け「Apple Care」も提供、IBMによるオンサイト保守も
なお今回、iPad/iPhoneを導入する企業向けのテクニカルサービス/保証サービス「AppleCare for Enterprise」もスタートしている。アップルが提供、IBMなどが再販し、およそ2000台以上の導入規模の顧客企業を対象としている。
AppleCare for Enterpriseでは、アップルからIT部門、およびエンドユーザーへの24×7サポートデスクを提供するほか、解決しない場合は日本IBMスタッフがオンサイトでの解決にあたる。また、iPad/iPhoneのデバイス破損時には、全契約台数の最大10%まで無償交換が受けられるサービスもある。
参考価格は、新規2000台導入の場合で、2年間1万6200円/台、3年間2万4300円/台となっている。正規価格は個別見積もり。