フランスのパリ郊外にある「シルバーバレー」で老人向けIT産業がこぞって育成されているという。そのなかから、日本のパートナーを求めて13社が来日。フランスの貿易発展を担うフランス大使館企業振興部のユビフランスが主催した11月25日のイベントをレポートする。
成長分野「シルバーエコノミー」とは?
フランスでは、近年の高齢化社会を支えるための老人向け市場を「シルバーエコノミー」と名付けて、今後の経済で重要なセクターとして発展させようとしている。
シルバーエコノミーに含まれるのは、健康、住まい、コミュニケーション、交通、セキュリティ、サービス、年金、レジャーなどの産業だ。そのなかでも、銀行や保険サービス、観光業、ITサービスの3つは最重要産業として、位置づけられている。今回来日したような、老人向けのITサービスでは、老人の自宅でのホームケアサービス、インテリジェントな操作のできるデジタルインフラの充実を目指し、家の中でのオートメーション化、介護用ロボット、家と病院をつなぐメディカルサービスを産業として育成しようとしている。
産官学で連携した「シルバーバレー」という老人向け市場のビジネス生態系を目指す拠点もパリの郊外に立ち上げ、国として助成金を提供するなど、シルバーエコノミーに従事する企業が研究に注力できるようバックアップしているという。
13社中2社は日本への進出にすでに成功
今回来日した13社のうち、メンシア・テクノロジーズとシティズン・サイエンスの2社が日本への進出にすでに成功している。メンシア・テクノロジーズのリアルタイム脳波信号測定・分析ソフト開発はオムロンと、シティズン・サイエンスはアシックスとそれぞれ提携に向けた協議を進めているという。
メンシア・テクノロジーズの代表取締役社長のジャン・イープ カンテル(Jean-Yves Quentel)氏が同社の製品の説明をしてくれたので紹介したい。同社は医者の指導のもと、在宅で脳のリハビリトレーニングを行なうための、ヘッドセットと脳波信号を測定するアプリケーションを開発した。ここでいう測定データは、同社が準備する「メンシアクラウド」を経由して、医師などのメディカルスタッフと脳はトレーニングを行なう患者の家族に送ることができる。
来日した13社のプロフィールは以下のとおりだ。
- MENSIA TECHNOLOGIES(メンシア・テクノロジーズ http://www.mensiatech.com/) 『リアルタイム脳波信号測定・分析ソフト開発』
- ENOVACOM(エノヴァコム http://www.enovacom.com/en/)『医療機関のインターオペラビリティ、情報セキュリティー専門のソフト開発』
- DUPONT MEDICAL(デュポンメディカル)社『高齢者用在宅および介護施設向け介護医療機器製造販売』
- RB3D(http://www.rb3d.com/)『産業用協働ロボット・コボット、パワードスーツ開発』
- CITYZEN SCIENCE(シティズン・サイエンス http://www.cityzensciences.fr/) 『Tシャツとテクノロジーを結びつけた、スマートテキスタイルDシャツ開発』
- BURGER & CIE(ブルジェ http://www.burger.fr)『高齢者向け室内園芸キット、及び手すり・柵などの住居設備』
- DORO(ドロ http://www.doro.fr)『シンプルな機能に特化した携帯電話/スマートフォン、遠隔支援関連製品メーカー』
- PHARMAGEST(ファーマジェスト http://www.pharmagest.com/)『調剤薬局向けシステムソリューション開発』
- MEDICAL LOCA SERVICES(メディカル・ロカ・サービス)『ホームケア用薬飲み忘れ防止ソリューション開発』
- VIGILIO(ヴィジリオ http://www.vigilio.fr/) 『転倒自動検知バイオセンサーパッチ及び遠隔見守りシステムベンダー』
- KRG CORPORATE(KRGコーポレート http://senioradom.com/) 『在宅高齢者遠隔見守りシステムベンダー』
- DATACET (データセット http://www.d7mobile.fr/) 『高齢者遠隔見守りシステム/シニア向けモバイル端末ディストリビューター』
- MGS CONSULTING OUEST(MGSコンサルティング・ウエスト http://www.mgsconsulting.fr/)『マルチモーダル位置情報をベースとする運動機能障害を有する歩行者用マップ製作ソリューション・ルート検索モバイルアプリベンダー』