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動画配信システム大手・米ウーヤラがビッグデータ分析を公表

日本の「動画元年」はまだ遠い?VODはテレビに並ぶメディアとなるか

2014年05月28日 09時00分更新

文● ナカムラ/ASCII.jp編集部

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キース・バッジ ヴァイスプレジデント

 映像ストリーミング・ビッグデータ分析・収益化プラットフォームを提供する米ウーヤラが5月27日、世界および日本のネット動画ユーザーがどのように視聴しているかについての記者説明会を開催した。

ウーヤラは毎月、世界130カ国約2億人のユーザーの、毎日数十億にものぼる動画視聴を分析し、四半期ごとにデータを公表している。

 米ウーヤラは、動画CMS、配信機能、ユーザー分析機能が統合された高機能な動画配信サービス「BACKLOT(バックロット)」を提供しており、米国では1000社以上が導入しているという。日本でもIIJ、ヤフージャパン、NTTに提供している。

 また同社は、提供する動画サービスから得たユーザーの視聴傾向を分析し、データを公表している。今回の発表によると、スマホ・タブレットの普及にともない、モバイル端末からの動画視聴はここ3年で7倍以上増加したという。PC、スマホ、タブレット、すべてのデバイスにおいて、10分以上の長尺のコンテンツが視聴時間の過半数を占めている。長尺コンテンツの中でも、3分の1は1時間以上のビデオとなっている。

30分以上の長尺コンテンツが人気を集めている。

 さらに、ライブ配信はVOD(ビデオ・オンデマンド)よりも人気で、その傾向はスポーツ番組において顕著だ。スポーツコンテンツはライブ配信・VOD、デバイスを問わず人気を集めている

ライブ配信コンテンツ、特にスポーツが人気を集めている。

 日本においては、スマホからの動画視聴が平均の3倍近く多く、動画視聴全体の約20%を占める。中でもスマホによるライブ視聴の割合は海外に比べて高い。視聴端末はiPhoneが圧倒的に多く、スマホ全体の約80%を占めている。

日本の動画ユーザーは、スマホでライブ配信コンテンツを見ることが多いという結果に。

日本のネット動画は無料の広告サポート型が主流。

磯崎順信 日本カントリーマネージャー

 欧米では、コンテンツオーナーがユーザーに直接コンテンツを届けて収益を上げるモデルが増えているという。日本でVODがテレビと並ぶメディアとなるには、コンテンツ自体で収益を上げる構造が必要だろう。最近は日本でもhuluなどの定額制サービスの利用者が増え、オンライン動画に料金を支払うことに抵抗を持たないユーザーが増えてきたが、「インターネットの動画は無料」というユーザーの意識はいまだに根強い。

 磯崎順信 日本カントリーマネージャーは、「日本のビデオ事業者は定額制(SVOD)、広告サポート型(AVOD)など様々な形で収益化を図っているが、権利処理などの障壁がある。まだまだ無料の動画サービスが主流で、ビデオ単体の事業で黒字になる企業は少ない。動画だけで黒字になれば本当の『動画元年』が来るのではないか」とコメントした。

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