「Oculus Rift」といえば、今、ゲーム業界やガジェットファンから熱い注目を集めているヘッドマウントディスプレーのこと。視野角が110度と視界を覆うほど広く、頭の動きに合わせて映し出す映像を変えられるので、映像やCGの世界に「入る」体験ができるというのがスゴいところだ。昨年5月ぐらいから開発者向けモデルの出荷が始まって技術者の間で話題になり、日本では初音ミクと握手したり添い寝したりと、紳士的な(!?)盛り上がりを見せている(詳細は週アスPLUSの記事で)。
前置きが長くなったが、そのOculus Riftを使った新しいプロジェクトこそが、今回取り上げる「オキュ旅」! 旅行の様子を生配信し、その風景や音を遠隔地にいるOculus Riftをかぶった視聴者が体験できるという代物になる。第1回の目的地は宮古島。12日の23時59分までクラウドファンディングでカンパを募って(すでに達成済み)、2月下旬に実施する予定だ。
旅行に行くのは、日本随一のOculusエヴァンジェリストことGOROmanさんと、古典奇術「手妻」の実演家である藤山晃太郎さんの2人。GOROmanさんは、この1月、新型のOculus Riftを体験するために突然、渡米してCESに行ってきたという猛者だ(週アスPLUSのレポート)。一方、藤山さんは、和楽とネットを結びつけるなど、数々のユニークなコラボを手がけて来た黒幕になる。
この2人が旅して面白くないワケがないでしょ! ということで、どんな意図でこの企画が始まったのか、旅行では何を目指しているのかインタビューしてみた。
生放送と360度映像 2つの体験を提供
── まず、どんな仕組みで旅行を生配信するんですか?
藤山 Oculus Riftの前面に着けて、目の前の映像を見ることができる「Ovrvision」というカメラがあるんですよ。2つのレンズがついてて、視差をとれるのが特徴です。音声はバイノーラル録音で、両耳に着けたマイクで集音するので、音の広がりや反射がリアルに体感できる。視聴者のみなさんはOculus Riftとヘッドホンを着けていただき、ニコニコ生放送で配信する動画を見ると、現地に行っている人と同じ視聴覚で旅を体験できるというものです。
このプランを発表したところ、さらに別の企画が立ち上がりました。ゲームの統合開発環境「Unity」を提供しているユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの伊藤周さんが、小型のアウトドアカメラ「GoPro」を6台組み合わせて360度のパノラマ動画を撮影できるセットを貸してくださるという。さらにHome360°社の中谷孔明さんにまで関連機材をご貸与いただくといったように、どんどん話が大きく面白くなっていった感じです。
── 2本立てとは! GoPro6台のほうは生配信じゃないんですね。
藤山 はい、GoPro6台の画像はそのままでは6つバラバラの動画なので配信には向かないです。撮影した映像をあとでソフトで統合すると360度パノラマ動画ができあがるので、これをカンパして下さった方にダウンロードしてもらいます。この動画をOculus Riftをかぶってみると、上下左右に頭を振って、まさに自分がその環境に入って体験を再現できる。リアルタイムの旅のときには気づかなかったものが見つけられるかもしれません。