ヴイエムウェアは10月16日、“Software-Defined Data Center”ビジョンに基づくクラウド管理ソリューション群、および仮想デスクトップ製品などエンドユーザーコンピューティングのソリューション群全体におよぶ機能強化、新機能/新製品追加を発表した。
「IT as a Service」を実現するクラウド管理ソリューション
クラウド管理ソリューションでは、「vCloud Automation Center 6.0」「vCenter Operations Management Suite 5.8」「IT Business Management Suite」「vCenter Log Insight 1.5」の各製品が発表された。これらの新しいソリューション群は2013年第4四半期から提供開始予定。
vCloud Automation Centerは、ITサービス提供を自動化するITセルフサービスソリューション。新版の6.0では「vCloud Application Director」との統合により、アプリケーションリリースの自動化、DevOps自動化ツールのサポート、“Hadoop-as-a-Service”などあらゆるカスタムITサービスを数分で設計できる機能などが追加された。また、マルチプラットフォーム/マルチクラウドの機能も拡張され、ヴイエムウェアの「vCloud Hybrid Service」「NSX」やRed Hat Enterprise Linux、「OpenStack」ベースのクラウド環境にも新たに対応する。
パフォーマンスやキャパシティの分析と自動運用管理を提供するvCenter Operations Management Suiteの新版では、「Microsoft Exchange」「SQL Server」「SharePoint」などのビジネスクリティカルなアプリケーションに対応したダッシュボードが追加された。また、幅広いベンダー/デバイスに対応し、ホストバスアダプタ(HBA)、ファブリック、アレイ全体のトポロジーや統計情報、イベントを表示できるストレージ分析機能も追加され、設定エラーやリソース不足、ボトルネックといった問題個所を特定しやすくなった。さらにHyper-VおよびAmazon Web Service(AWS)環境も単一コンソールで監視可能となっている。
vCloud Automation Center 6.0、vCenter Operations Management Suite 5.8の機能はスイート製品のvCloud Suite 5.5に含まれるほか、スタンドアロンでも購入できる。vCloud Suite 5.5の市場想定価格は1プロセッサあたり62万5000円から。
ITサービスコストおよび品質を可視化するIT Business Management Suiteでは、従来のエディション(Advanced、Enterprise)に加えて「Standard」が登場した。Standardエディションはクラウドインフラ管理者を対象としており、プライベート/パブリッククラウド全体のインフラコストや利用状況を把握可能にする。またAdvanced/Enterpriseエディションの新版(8.0)では、CIO、IT担当CFO、ITプロジェクトマネージャーなど、ユーザーの担当任務に応じてカスタマイズされたダッシュボードが追加された。なお「IT Benchmarking」ツールも統合されており、自社サービスと他社競合サービスとのコストを継続的に比較できる。
IT Business Management Suiteのライセンスは、Standardエディションでは仮想マシン(VM)単位で、Advanced/Enterpriseではユーザー単位で提供される。
また、「EMC Avamar」をベースとした中小規模企業向けのvSphereバックアップソリューション「vSphere Data Protection 5.5 Advanced」では、ネットワーク効率の高いデータレプリケーション機能、「EMC Data Domain」との統合、SharePointエージェントなどの新機能が搭載されている。1プロセッサあたりの市場想定価格は13万7000円から。
なおヴイエムウェアでは、同社や同社パートナーが提供する管理ソリューションのオンライン販売サイト「VMware Cloud Management Marketplace」も発表した。このサイトから同社やサードパーティが提供する管理用プラグインやソリューションパッケージをダウンロード、利用することができる。
仮想デスクトップ/モバイル領域では仮想GPU、仮想SANなど
エンドユーザーコンピューティングの領域では、「VMware Horizon Suite」を構成する「Horizon View」「Horizon Mirage」「Horizon Workspace」の各新版が発表された。いずれも2013年第4四半期より提供開始予定。
仮想デスクトップ(VDI)ソリューションのHorizon View 5.3では、仮想デスクトップがサーバーに搭載されたエヌビディアのGPUリソースを占有するvDGA(Virtual Dedicated Graphics Acceleration)を利用して、高度な3Dグラフィック機能を利用できるほか、動画再生品質の向上、タイピング応答の高速化など、ユーザーエクスペリエンスの向上が図られている。またサーバー内蔵ドライブを仮想的なSANとして扱う「Virtual SAN」(関連記事)を利用することで、VDIの初期投資コストを大幅に削減できるとしている。なお、新しい「Horizon View Agent Direct Connect」プラグインによって、Horizon View接続サーバーが利用できない場合でも、仮想デスクトップへのセキュアなリモート接続が可能になっている。
PCイメージ管理およびOS移行をサポートするHorizon Mirage 4.3は、Horizon Viewと統合され、複数のユーザーグループの仮想デスクトップ/物理デスクトップをより効率的に管理できるようになった。また、古いOSからWindows 7への移行機能も強化されており、2つの移行方法(OSのインプレース移行、およびハードウェア更新)の両方をサポートしている。Web管理コンソールも追加された。
さまざまなデバイスから任意のデータ/アプリケーションへのアクセスを可能にするHorizon Workspaceでは、スマートフォン上で業務用環境と私用環境とを隔離する「デュアルペルソナ機能」対応デバイス(VMware Readyスマートフォン)として、新たにソニーの「Xperia Z1」「Xperia X Ultra」が追加された。これによりVMware Readyスマートフォンは全12機種となったが、「日本市場での提供時期は未定」としている。