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「VMware NSX」「Virtual SAN」「vCloud Suite」新版などでSDDC基盤を強化

ネットワークもSANも仮想化!ヴイエムウェアが新製品群発表

2013年08月28日 06時00分更新

文● TECH.ASCII.jp

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 ヴイエムウェアは8月27日、同社が提唱する「Software-Defined Data Center(SDDC)」アーキテクチャ実現のための新たな製品/サービス群を発表した。新バージョンの統合クラウド構築/管理スイートのほか、ネットワーク仮想化プラットフォーム、サーバ内蔵ドライブの共有ストレージ化技術などが含まれる。

 これらの製品群は、現在サンフランシスコで開催中の「VMworld 2013」において発表された。

ネットワーク仮想化プラットフォーム「VMware NSX」

 ネットワーク仮想化プラットフォーム「VMware NSX」は、昨年同社が買収したニシラのネットワーク仮想化技術「Nicira NVP」と、仮想化環境のネットワーク/セキュリティ管理製品「VMware vCloud Networking and Security」とを統合した製品。ソフトウェアで実装されたスイッチ、ルーティング、標準API(NSX API)、ファイアウォール、負荷分散、VPNの各ネットワークサービスを提供する。

 NSXによって、管理者はネットワークリソースを必要に応じて消費/再利用できるリソースプールとして取り扱うことができるようになる。また、複雑な仮想ネットワークもプログラムを通じて容易に作成/プロビジョニング/管理することが可能。

 NSXは分散アーキテクチャをベースにしており、ネットワークサービスはハイパーバイザのカーネルと統合されているため、サーバノードの追加によってスケールアウトできる。これにより、最大1TB/秒(32ホストのクラスタあたり)のトラフィックを処理することができる。

 さらにNSXプラットフォームは、NSX APIを通じて、パートナーベンダーが提供するネットワークサービスとも統合する。パートナーベンダーは、例えば物理/仮想環境間を接続するゲートウェイ、ファイアウォールや脅威管理、アンチウイルスなどのセキュリティ、負荷分散やWAN最適化コントローラといったアプリケーション配信といったネットワークサービスを、NSXプラットフォームを通じて提供できる。VMworld 2013では、20以上のパートナーベンダーがNSXへのサポートを表明した。

 VMware NSXは現在ベータ版が提供されており、2013年第4四半期より一般提供を開始する予定。

サーバ内蔵ドライブを仮想共有ストレージ化「VMware Virtual SAN」

 同じく新たに発表された「VMware Virtual SAN」は、サーバ内蔵のHDDやSSD(DAS:Direct-Attached Storage)をクラスタ化した仮想データプレーンを提供し、仮想マシン向けに高いパフォーマンスと耐障害性を備えた共有ストレージを構築可能にする技術だ。「ミッドレンジのストレージ製品と同等のI/Oパフォーマンスを実現する」(ヴイエムウェア発表より)という。

 NSX同様、Virtual SANも独自の分散アーキテクチャをベースとしており、必要に応じてサーバを追加するだけで、リニアに容量とパフォーマンスのスケールアウトが可能。また、仮想マシン視点のポリシーを通じて、ストレージの利用と管理を自動化するポリシーベースのコントロールプレーンを提供する。vSphereのWeb管理コンソールから直接管理が可能。

 ヴイエムウェアでは、Virtual SANによって仮想デスクトップ環境(VDI)やテスト/開発環境のTCO(総所有コスト)が劇的に削減されるとともに、「VMwareのSoftware-Defined Storageビジョンを示した最初の例」だと述べている。

 VMware Virtual SANは、2013年第3四半期に無料のパブリックベータプログラムを通じて提供される予定だ。

「vSphere 5.5」および「vCloud Suite 5.5」の機能強化

 プライベートクラウド構築/管理スイートの最新版「vCloud Suite 5.5」では、スイートに含まれる各ソフトウェアの機能が強化されている。

 vCloudの基盤となる仮想化プラットフォームの「vSphere 5.5」では、アプリケーションやOSの障害を検出して回復する「vSphere App HA」、サーバ内蔵フラッシュを仮想化してアプリケーションのレイテンシを大幅に削減する「vSphere Flash Read Cache」、幅広いアプリケーションのレイテンシを最小化する「vSphere Low Latency Sensitivity」、Hadoopやビッグデータのワークロードをその他のアプリケーションと同時稼働できるようになる「vSphere Big Data Extensions」などの新機能が追加された。

 またvSphere 5.5は、従来バージョン比で2倍の物理CPU/メモリ/NUMAノードに対応したほか、最新プロセッサの「Intel Xeon E5プロセッサ v2」「Intel Atomプロセッサ C2000」もサポートしている。

 vCloud Suite 5.5ではすべてのエディションで、アプリケーション/サービス配信の自動化ツール「vCloud Automation Center」と統合運用管理スイート「vCenter Operations Management Suite」が提供される。そのほか「vCloud Connector」「vCloud Director」「vCloud Networking and Security」「vCenter Site Recovery Manager」の各最新版も含まれる。

 vCloud Suite 5.5の市場想定価格は1プロセッサあたり62万5000円から。2013年第3四半期に提供開始予定となっている。

 なお今回、vSphereに仮想化環境のパフォーマンスや健全性、効率性に関する情報を提供する分析ツールをパッケージした製品の新版「vSphere with Operations Management 5.5」も発表されている。

新しい資格/認定レベル

 新しい資格/認定レベルとして、VCA(VMware Certified Associate)にクラウド(VCA-Cloud)、データセンター仮想化(VCA-DCV)、デスクトップ仮想化(VCA-DT)、ネットワーク仮想化(VCA-NV)のVMware Certified Associate(VCA)などが設けられた。これはVCP(VMware Certified Professional)の認定に進む前に入門レベルのスキルを確認する新しい資格。

 またSDDCアーキテクチャの実現や、IT環境変革によりビジネス価値を生み出す戦略立案をサポートするコンサルティングサービスも発表されている。

 発表の中で米ヴイエムウェアのクラウド インフラストラクチャおよび管理ソリューション担当上席副社長のラグー・ラグラム(Raghu Raghuram)氏は、「VMware NSXやVMware Virtual SANなど本日発表した新しい製品は、データセンターにおけるハイパーバイザとその役割を根本的に再定義する」と述べ、SDDCアーキテクチャのさらなる発展とイノベーションを継続していく方針を強調している。

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