ネットワーク担当CTOのカサド氏は「NSXは“ネットワーク版のESX”に」と語る
“SDDCはここまで実現した”今年のVMworldを総括
2013年09月19日 12時00分更新
ヴイエムウェアは9月18日、今年8月に米国サンフランシスコの「VMworld 2013」で発表した新製品群に関する記者説明会を開催した。同社ネットワーキングおよびセキュリティ担当CTO(最高技術責任者)であるマーティン・カサド(Martin Casado)氏も出席し、ネットワーク仮想化プラットフォーム「VMware NSX」の目指すものについて語った。
冒頭で挨拶した日本法人代表取締役社長の三木泰雄氏は、今年のVMworldについて「昨年のVMworldでコンセプトを発表したSoftware-Defined DataCenter(SDDC)を中心として、デモも交えながら『SDDCがここまでできている』を示すものだった」と総括した。VMworld 2013では、SDDCを構成するための重要な要素であるネットワーク仮想化プラットフォームのVMware NSX、サーバー内蔵ドライブ(DAS)を仮想共有ストレージ化する「Virtual SAN」、仮想化/クラウド環境の管理/自動化スイート「vCloud Suite 5.5」などが発表されている(関連記事)。
三木氏によると、すでにヴイエムウェアの顧客の77%は、サーバー仮想化だけでなく次のネットワークおよびストレージの仮想化へ、つまりSDDC実現の方向へと仮想化戦略を拡大しているという。
また、米国での一般提供開始が発表されたパブリッククラウドサービス「vCloud Hybrid Service」についても紹介された。vCloud Hybrid Serviceは、オンプレミスで「VMware vSphere」仮想化プラットフォームを利用する顧客がそのままハイブリッドクラウド環境として利用できるように、VMware vSphereベースで構築されている。
VMworld 2013では同サービス一般提供開始のアナウンスのほか、米国内のデータセンターを3カ所に拡充したこと、クラウド/ホスティングサービスプロバイダーのSavvis(CenturyLink傘下)とのパートナーシップを拡大したことを発表している。また、クラウドを利用したDR(災害復旧)サイトと自動復旧機能を提供する「Disaster Recovery as a Service」、PaaS「Cloud Foundry Platform as a Service」、仮想デスクトップ(VDI)サービス「VMware Horizon View Desktop-as-a-Service」などの新機能も登場している。
なお三木氏は、日本市場におけるHybrid Serviceサービスの提供については、クラウドサービスプロバイダーとの協業なども含め「来年(2014年)以降に検討する」と述べている。
VMware NSXは“ネットワーク版のESX”になる
続いて登壇したネットワークCTOのカサド氏は、ネットワーク仮想化プラットフォームのVMware NSXについて紹介した。
カサド氏は、「仮想マシンのプロビジョニングは3、4分で済むようになったのに、ネットワークのプロビジョニングには1~2カ月もかかってしまう」と述べ、顧客のITインフラにおける現下の課題は「ネットワークのプロビジョニング」であることを指摘した。
「(VMwareのハイパーバイザである)ESXはサーバマシンの課題を仮想化技術で解決した。同じようにNSXはネットワークの課題を解決する」(カサド氏)
カサド氏は、NSXはヴイエムウェア製品だけでなく、幅広いクラウド管理プラットフォームとハイパーバイザに対応することを目指していると説明した。「ハイパーバイザではESX、KVM、Hyper-V、XenServerもサポートする。またvCAC(vCloud Automation Center)、OpenStack、CloudStackなどの管理プラットフォームにも対応」(同氏)。
さらにNSXは、サードパーティパートナーによるさまざまなネットワークアプリケーションを統合して機能を拡張できることも紹介された。これは例えばネットワークセキュリティ、WAN最適化、物理ネットワークとの管理統合といったもので、VMworldでは20社以上のパートナーがサポートを表明している。
NSXの登場によって、ネットワーク仮想化はいよいよ本番環境への適用段階へと進んだとカサド氏は語る。すでにCiti Group、eBay、GE Appliancesなどが早期導入顧客として名を連ねており、10万規模の仮想マシン環境への適用実績もあるという。
