SSDのインターフェースとして
注目されるM.2の仕様
次はM.2である。元々はNGFF(New Generation Form Factor)と呼ばれていたが、M.2という名称で正式化された。M.2もSATA Express同様にSATAとPCI Expressの両方に対応しており、どちらか片方で接続されることになる。
ソフトウェアの構成などはSATA Expressと同じであり、その意味ではSATA Expressと同じ方法で組み込むことになる。SATA Expressと異なる点は以下のとおり。
- M.2はPCI Express Mini Cardの後継規格としても考えられており、SSDのみではなく拡張カードとしても使われる可能性が高い。そのためコネクター側にも配慮がされている。
- M.2は、最大4レーンのPCI Expressをサポートする。またPCI Express Gen1もサポートする。
- M.2はSATA-IOではなく、PCI-SIGが策定する。
まず1つ目にあるコネクター側の配慮について説明しよう。M.2は複数のサイズ(幅は一定で長さが異なる)をサポートしており、用途に応じて使い分けることになる。また、コネクターも3種類ある。具体的には、キーなし、Bキーあり、M/Bキーありとなっている。
SATA 3.2によれば、このBキーとMキーはSSDのものとされている。つまりM.2ベースのSSDでキーなしは存在しないようだ。
M.2のコネクター | |
---|---|
Bキー+Mキー | 1x SATA SSDもしくは1x/2x/4x PCIe SSDでの接続。SSD専用 |
Bキーのみ | 1xのSATAもしくは1x/2x PCI Express SSD、及びWWAN接続用 |
2つ目の違いは、PCI Express x4での接続をサポートしたことだ。省電力のためにPCI ExpressをGen1相当で稼動させるケースは特にモバイルでは珍しくなく、この場合にSSDの帯域を確保するためにx4接続ができるようにしたのではないかと思われる。
SATA ExpressではPCI Express Gen2以上なのに、M.2ではPCI Express Gen1をサポートしているあたりがこれを裏付けている。もちろん、単純にI/Oデバイスとして広い帯域が必要な場合も想定しているだろう。
3つ目であるが、もともとSATA ExpressにしてもM.2にしても、仕様策定はPCIやPCI Expressの仕様策定を行なっているPCI-SIGとSATA-IOという2つの標準化団体の共同作業となっている。だが、SATA ExpressはSATA-IOが最終的な仕様のとりまとめを行なっているが、M.2はPCI-SIGが最終的な仕様策定を行なっている。
このため、SATA 3.2においては、M.2に関する部分はSATAに絡む部分だけであり、前述のM.2コネクターの画像にはすべて“informative”(参考情報)という注釈が付けられている。つまりこれらに関する最終的な仕様は、PCI-SIGのまとめているM.2 Specificationを確認する必要がある。
問題は、まだM.2 Specificationが公式にリリースされていないことだ。6月末の時点では「まもなくRev 0.9が(メンバーに)リリースされる」段階で、最終的に仕様が決まるのは2013年第4四半期になる。
つまり今あるM.2カードや、M.2をサポートするホストは、ドラフト(リビジョン0.9がまだ6月の段階で出ていないので、おそらくリビジョン0.7あたり)をベースにしたものとなる。これらが、1.0の仕様を元に作られた製品と互換性があるかどうかは「天のみぞ知る」状態なのが、現状のM.2の不安材料ということになるだろう。
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