Wi-Fi&Bluetooth対応もスゴイが本当にいいのは音質!
ソニーの「STR-DN840」
ソニーの「STR-DN840」はエントリーモデルではあるが、先月発売されたばかりの新機種である。AVアンプは上位機種の機能が最新の下位機種に搭載される傾向があり、エントリーとは言ってもあなどれないのだ。
本機を見てみると、本体のデザインがフラットな面構成のモダンなものに変更された。これまでは操作ボタン類が多めで、ヤボったい印象を持つ人もいたようだが、この顔付きならば最近の薄型テレビやBDレコと組み合わせてラックに置いても、変に目立ってしまうようなことはないだろう。
背面の入出力端子は、6系統のHDMIを中心としたもので、デジタル音声入力やアナログ映像入出力は最小限となっている。昔からのAVアンプと比べると端子類はずいぶんすっきりしていると感じるが、逆に言えば端子が少ないので接続がしやすいし、わかりやすい。その分、スピーカー端子は7ch分が横に並ぶ配置となり、接続がしやすくなっている。
これだけでも驚かされるのだが、実はこのモデルの本当の魅力は音にもしっかりとこだわっている点にある。
シャーシは新設計となり、従来モデルよりも剛性を高めたものになっている。もちろん、エントリークラスの価格だから高級な部材を多用することはできないが、ベースシャーシの補強のための凸凹の形状を最適化するなど、低コストでもしっかりとした作りになっている。
さらに驚くのはパワーアンプ基板。普通は高級モデルでしか使わないガラスエポキシ基板をぜいたくに採用。ガラスエポキシ基板は強度が高く振動にも強いが、基板の両面にパーツを実装できる点も特徴だ。
これを生かし、7chのパワーアンプ回路はディスクリート構成で基板に両面実装されている。回路設計も見直され、信号経路やグラウンド経路の最短化などを行なっている。
このほか、基板に数多く使われる抵抗器もオーディオ専用に新開発。これまでのノウハウを元に塗料の材質や生産工程まで吟味して音質のいい抵抗器を作ったという。電源トランスも巻線にムラなくワニスを塗布するため真空含浸処理を行なうなど、音質にこだわったものになっている。
実売で5万円未満のAVアンプは、現在一番の売れ筋になってきており、今年のソニーはそのクラスにめがけてラインナップを強化したわけだが、その力の入れ具合が圧倒的だ。まさに出血サービスという感じで、利益が出るのかと心配になるくらいだ。
目に付く部分でコストダウンを感じさせるのはGUIだろう。テキスト主体のシンプルな表示で、上位機のグラフィカルな操作メニューとは差を感じる。とはいえ、従来のこのクラスのモデルではGUIさえ省略されることが少なくなかったので、画面操作ができるだけでもよしとすべきだろう。
まあ、もっとグラフィカルな操作メニューがほしいという場合は、スマホ用のリモコン操作アプリとして「TV Side View」に対応しているので、こちらを使うといいだろう。
接続や設定も、付属のマイクを使った自動音場補正機能「アドバンスト D.C.A.C.」が搭載されており、自動音場補正に加えて、自動フェーズマッチングも行なえる。測定時間は約30秒ほどとすばやいので手軽にスピーカー設定が行なえる。
さらに、小音量時でも豊かなサラウンド効果を味わえる聴感補正技術「サウンド・オプティマイザー」を備えているので、大音量で再生しにくい夜間などの視聴も安心だ。
その音は、低音の力強さが印象的で、安定感のあるバランス。それでいて各チャンネルのセパレーションも良好で、きめ細やかな音もきちんと再現できる。情報量の豊かな再現は映画だけでなく音楽もじっくりと鑑賞できるレベルのものとなっている。
「マクロスプラス」では、シャロン・アップのライブの包み込まれるような音場感にうっとりとさせられるし、スピード感あふれる空中戦の広々とした空間再現に加え、過大なGに耐えるパイロットの声も生々しく、テンションの高い緊迫したバトルをしっかりと再現した。
機能だけでなく、音質の点でも1クラス上の実力を獲得したことは驚嘆に値する。サラウンド再生はもちろんだが、スマホやネットワークオーディオ機能での音楽再生も楽しめる機器として、ステレオ再生派にもぜひ注目してほしいモデルだ。
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