シャープペンシルの発明者であり名付け親の一人でもある早川徳次氏が現在のシャープの創業者であることは、“趣味の文具世界”に多少でも首を突っ込んだ人ならご存知かもしれない。
氏は現在の総合家電メーカー「シャープ」を興し、筆記具からは遠のいたが、同社を訪れた人の中には、初期のシャープペンシルのレプリカ(プラチナ万年筆者が復刻発売)を訪問の記念品として頂いた方もいるだろう。
今から100年ほど昔、実用的な“金属製繰り出し鉛筆”である「シャープペンシル」が登場して以来、シャープペンシルは学生や社会人の使う筆記具の代表のひとつであり、それに関わる多くの筆記具メーカー企業が改善を加え現代の地位を築いている。
シャープペンシルの構造は、三菱鉛筆の「クルトガ」などの新しい発想を除けば、その構造設計や機構設計は安定しており、企業間における差は少なくなってきているのが現状だ。
基本的な機構や構造に安定期を迎えた商品には、オプションによる機能拡張や、新デザインの提案、ブランドの徹底によるライフスタイル商品への変貌などによる差別化が登場してくるのが世の習わしだ。
シャープペンシルが立体ジグソーパズルになった
今回、筆者が衝動的大人買いした「Varacil」はデザインの変革とも言えるが、そこに“エンターテインメントの楽しみ”も付加した面白いアプローチの文具商品だ。パッケージを見れば、これが何を意味しているかは一目瞭然。シャープペンシルの外装を、昨今流行りの立体ジグソーパズルで作ってしまったという文具商品だ。
しかし、立体ジグソーパズルはおろか、二次元のジグソーパズルもやったことのない筆者にとってはなかなか大変な作業になってしまった。筆者は、購入時にパッケージの両側面に「注意と警告」の一部として記述されていた「立体的パズルが苦手な方はご遠慮ください」という重要な一文を見落としていた。
しかし、安い(945円)ことをいい事に売り場の全商品だった3箱を大人買いしてしまった関係上、作らないわけには行かなくなってしまった。
覚悟を決めて、パッケージを開けると、白と黒のプラスティックパーツと細かな文字と挿し絵が満載の8ページに渡る取扱説明書が出てきた。
白と黒のプラスティックパーツには各パーツごとに1~22番までの連続番号がランナー部分に書き込まれている。基本的には、白パーツの次は黒パーツという順序で1から順番に、最後の22番の芯を押し出す機能を受け持つ「ノック部分」までを組み上げると完成だ。
「戦略的衝動買い」とは?
そもそも「衝動買い」という行動に「戦略」があるとは思えないが、多くの場合、人は衝動買いの理由を後付けで探す必要性に迫られることも多い。
それは時に同居人に対する論理的な言い訳探しだったり、自分自身に対する説得工作であることもある。このコラムでは、筆者が思わず買ってしまったピンからキリまでの商品を読者の方々にご紹介し、読者の早まった行動を抑制したり、時には火に油を注ぐ結果になれば幸いである(連載目次はこちら)。

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