数字の中でも「7」は特別扱いされることが多い。ラッキーセブンはいわずもがな。七福神、「7人の侍」、「007」シリーズ……。ウルトラマンでもセブンが一番玄人好み!? 実はタブレット端末でも7インチが絶妙な画面サイズで、「やっぱりこれじゃないと!」と選んでいる人も多い。
台湾Camangi(カマンジ)のブランドに迫った前回に続き、今回は7インチ液晶という観点から、タブレット端末「Mangrove 7」の魅力に迫っていこう!
Camangi(カマンジ)とは何ぞや!?
ズバリ、世界で初めて7インチタブレットを世に送り出した台湾メーカー、それがCamangi(カマンジ)だ。2009年12月に世界初の7インチAndroidタブレット「WebStation」を発売、その後も2010年8月に同じく7インチの「FM600」、そして満を持して昨年発売したのが“第三世代 7インチ”こと「Mangrove 7」というわけだ。
海外メーカー製品にありがちな独自規格のカタマリではなく、Androidタブレットとしてグーグルに正式認定されているほか、日本の技術基準適合証明(TELEC)も取得済み。現状では販路が限られているので、購入にはビーエム・イーショップなど通販サービスを使うのがベターだ。
持ち運べるギリギリの大画面、それが7インチ!
ここ数年、ケータイの世界ではスマートフォンが破竹の勢いで販売台数を伸ばしている。周囲がどんどん乗り換えているので、興味を持って購入したという人も多いはず。タッチパネルを指で触って直感的に直感的し、アプリやパソコン向けのネットを楽しめるというのは今までのケータイでは難しかった体験だ。最新モデルでは処理速度も十分なので、出先でも「小さなパソコン」として大活躍してくれる。
しかし、人間は贅沢なもので、ある程度その快適さに慣れてしまうと、今度は細かなところに不満を感じてきてしまう。特にディスプレーの小ささはいかんともしがたいところ。例えばウェブページを読む際、細かい文字を見るために目を近づけたり、いちいち画面を拡大/縮小するのは意外と面倒だ。写真や映像を見るにしても、なんとなく迫力に欠けてしまう。
そんなスマートフォンの画面に関する「できない」を「できる」に変えてくれるのが、タッチパネルのタブレット端末だ。
覚えておいてほしいのは、タブレットの使い方はスマートフォンと競合しないということ。出先ではスマートフォンで済ませて、家や会社ではタブレットで楽に情報をやりとりする──。日々、デジタル機器の使い方を追求しているアスキー・メディアワークス社内をぐるりと取材してみると、そんな上手な使い分けを実践している人々がいた。
彼らに共通するのは、タブレットの中でも7インチを選んでいるということ。こちらやこちらの記事で「7インチ原理主義」を声高に訴えるアスキー総研の遠藤所長は、「スマートフォンのように目線を独占しないし、持ち運びも楽」と評価する。
アスキー総研・遠藤所長が語る
「7インチは『紙の領域』だ!」
スマートフォンが難しいのは、画面が小さいから目線を独占してしまうということ。そもそもデジタルの情報はパソコンやタブレットに表示するものが本来のサイズで、スマートフォンは小さい画面に合わせていろいろ圧縮している。自分の頭をスマートフォンモードに切り替えて見る必要があるから、より「入っている」感じになってしまう。一時期、国会議員が議会の最中にケータイをいじってるって話が出ていたけど、会議中に触っていると遊んでいるように見えてしまう。ケータイはスマートフォン以上に「入ってる」感じだし。
「見入る」と「眺める」が違うように、タブレットやパソコンはそうした感じにならない。圧縮がない上、パソコンとほとんど変わらない状態で情報を引き出せるのが「7インチ原理主義」の根幹にある。決しておすすめしないんだけど、周りが目に入るから歩きながら見ることだってできてしまう。
あとはとにかく楽なのは、屋内での利用なんだよね。メールを見るときとか、パソコンを置いた机に座ってるときですら、7インチタブレットを選ぶこともある。本来手紙ってのは、机に座って固定された画面を見つめるものではなく、ソファーに座ったり、イスを倒して反りながら読んでもよかった。そこがアナログの紙に対する、デジタル端末が負けていたポイントだったんだけど、タブレットでついに「紙の領域」に到達したのでは。
今、「セカンドスクリーン」って言葉がキーワードになりつつある。例えば、ディズニーは、ボーナスコンテンツを配布する「セカンドスクリーン」ってサービスを始めている。本編はテレビの大画面で見てもらい、メイキングやコンセプトアートはBlu-rayに付いてるコードを専用のiPadアプリに入力して楽しむという。セカンドスクリーンがあることで、テレビを見ながら手元で番組の中身を検索したり、誰かに伝えることもできる。もちろん仕事のパソコンでもあり得る。そんな屋内で使うセカンドスクリーンにぴったりなのが、7インチタブレットというわけ。
タブレットには、iPadのような10インチ前後のものもあるが、実際に所有してみると、意外とサイズが大きいことが分かる。端末を持ち上げるためには、一辺の下に手を滑り込ませて親指で挟んで持ち上げることになる。一方、7インチでは端末の両端を握って、ひょいと取り上げられる。
この気軽さの感覚差は案外大きくて、「タブレットって、なんか常に持ち歩くのが面倒……」という挫折感を生むことも多い。筆者もiPadを持っているのだが、家の中ですら持ち歩く気にならず、ベッド脇に置いて寝る前にネットをチェックするぐらいだ(出張など、特別なときは移動中に映画を観るために持っていくが)。
スマートフォンのように持ち運べる気軽さと、パソコンのように無理せず情報を摂取できる利便性。それが7インチの醍醐味だ。遠藤所長が「さすがに風呂には連れてかないけど、ここ1年ほどは起きてから寝るまでほとんど持っていってます」とハマる理由も何となく分かる。