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ゲームは難しくするだけが“進化”じゃない

iPhone神ゲー「GROOVE COASTER」はこうして生まれた

2011年08月25日 12時00分更新

文● 盛田諒/ASCII.jp編集部

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タッチパネルと悪戦苦闘
“ボタン押した感”求めつづけた半年間

―― GROOVE COASTERの制作期間はどのくらいなんですか?

石田 去年の12月くらいに発案して、そこから半年間くらいです。

―― 半年間こだわりぬいてきたところはどこでしょう。

石田 手ざわりですね。タップしたときの感覚、気持ちよさ。ボタンがないけど、ちゃんと押した感を出すというところです。

―― “押した感”ですか?

石田 はい。普通に何もないところをたたくと、「タンッ……」と、ただガラス面の固さだけが伝わってくるじゃないですか。そうじゃなくて、ちゃんと押せているよという感覚を作らなきゃいけなくて。

ゲームで重要だったのは“押した感”。これを半年かけて調整しつづけた

―― やっぱりそこがないとダメですか。

石田 ゲームとしては映像の疾走感も重要だったんですけど、最後まで調整していたという意味ではやっぱりそこになってきますね。そこがないと、やってる感じがしないということになってしまって。

―― やってる感じがしない! ゲームなのに!

石田 そうなんです。インフィニティジーンの場合なら「十字キーのように思ったように操作できているか」が重要だったんですけど、GROOVE COASTERの場合は「ボタンを押せているような感覚になっているか」が大切でした。

―― たしかにガラケーもふくめて、ゲームのコントローラーって十字キーとボタンの組み合わせですよね。それがスマートフォンというかタッチデバイスになったことで、もう一度作らなければならなくなったと。

石田 逆に言えば、なんでもできちゃうんですよね。画面の中でどんなコントローラーでもバーチャルに再現できるんです。その代わり、入力のさせ方とか感触まで、全部ソフトを作る側にゆだねられるので、こっちはそこから作りはじめなきゃいけない。ある意味、ゲームを作るのにコントローラーを作るところから始めなければいけないわけですよ。

スマートフォンアプリの開発はスマートフォンをコントローラーとして“開発する”ところからスタートする。「それはどのアプリ開発者も同じことだと思います」と石田さんは語る

―― 楽器アプリは、ピアノやギターやシンセをインターフェースとして“再現”することが多いですよね。

石田 入力デバイスが違うということを気にせずに、バーチャルコントローラーとしてやるというのもあると思います。バーチャルコントローラーの精度がどんどん上がれば、できるとは思いますし。ただそれでもやっぱりデバイスがちがうので、ソフトかコントローラーなのか、いずれかに合わせたチューニングが必要になってくると思います。

―― ところでその“押した感”って、どうやってつくるんです?

石田 ものすごい原始的な話なんですが、エフェクトとサウンドです。あと、画面にふれたときに反応をとる取り方があって、画面にふれた瞬間にとるのか、画面から離した瞬間にとるのか。それを操作によって使い分けるということがありました。

“押した感”で重要なのはサウンドとエフェクト。ボタンを押した瞬間にフラッシュしたり、長押しした後にキラッとしたり、その強度やタイミングを調整していった

―― タップや長押しでセンスするタイミングが分かれているということですか?

石田 そうです。たとえば「長押し」であれば離したときに反応を取るとか。

―― 調整ってどんな感じなんですか?

石田 結局は感覚です。「やってよかった!」とか、「前の方がよかったな」とか言われて直していく。「あ、前の方がよかったんだ」ってガッカリしたりとか……。

―― それでもいつかは、これでいこうと決めないといけないんじゃないですか。

石田 決めたのはビックリするくらい最後の最後ですよ。だってこれゲームとしてユーザーがやることってそれしかないですもん。

―― すごい! いや、そうですよね。プレイしてて本当に気持ち良かったですから。

石田 あー、そう言ってもらえると本当にありがたいです……。

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