富士通四国システムズの「瞬快」は、再起動するだけで変更されたPC環境を復元するというソフトで、教育市場で高いシェアを誇る。最近では、節電支援や電力の見える化機能が高い注目を集めている。担当者に製品概要を聞いた。
瞬快は、もともと大学におけるPC管理のために開発されたメンテナンスソフトで、学生が授業で利用したWindows PCをいち早く元通りに復旧する「瞬間復元」の機能を売りにしている。瞬間復元を行なっても、アンチウイルスソフトのパターンファイルやIMEの辞書等を保持させることも可能だ。
仕組みは、正常環境とシステム更新の環境を別領域に記録しておき、再起動時には正常環境から復元するというもの。シンプルだが、「OSのかなり奧の部分で動くので、信頼性がきわめて重要です。その点、瞬快は完全に国産のソフトウェアで、私たちがサポートしています。こうした点に、ユーザーさんも安心感を感じてくださるようです」(富士通四国システムズ 第一ソリューション事業部 運用管理ソリューション部 森野鉄司氏)という。
10年以上手掛けてきたこともあり、導入数は2万7000社、累積の出荷本数は210万本を超える。特に文教市場でのシェアは圧倒的で、その他ホテルやインターネットカフェ、図書館などでも使われているという。不特定多数のユーザーが利用する端末の裏に瞬快ありといった感じ。メディアへの露出は多くないが、まさに地道に売れ続ける「教育現場のベストセラー」的なソフトといえる。
節電対策支援で問い合わせが急増
当初、瞬間復元だけだった瞬快だが、その後リモート管理、利用情報収集、棚卸し、資源配布、ディスクイメージ配信、ハードディスクの消去などの機能を次々に実装し、PCのライフサイクルを一通り管理できるソフトウェアに成長した。少数の管理者で数多くの端末を管理しなければならない場合に最適だという。
そして、最近特に注目が高いのが、節電対策支援の機能だ。今夏は、電力消費のピークタイムにバッテリ運用に切り替えるピークシフトや省電力モードの導入などが注目を集めているが、こうした節電を支援する機能が瞬快にも搭載されている。具体的には瞬快の管理ツールから省電力やピークシフトのポリシーを一括で反映でき、「一定時間操作がなかったら、自動的にスタンバイにするとか、ピークタイムにバッテリ運用するといった設定を容易に配布できます」(森野氏)。また、節電効果を見える化し、電気料金やCO2排出量のグラフにして省電力設定の有無で比較することも可能だ。
こうした節電対策支援の機能は、従来のVer 8.0から追加されていたが、「以前はあんまり関心をひかなかった」(森野氏)という。しかし、最近ではこの節電対策支援機能を前提とした問い合わせも増えており、一般企業からの引き合いもあるという。長期的なPCの節電対策や管理負荷の軽減を考えるユーザーは、選択肢に入れておきたいソフトだ。