JEDECによる標準化を経て
30pin SIMMがPCの主流に
SIMMはSIPに比べて、専用ソケットが必要になるのでコストがやや上がる。その反面、機械的強度に優れて着脱もはるかに容易になった。
このSIPとSIMMは最終的に、電子部品規格の標準化団体「JEDEC」で標準化された。だが、JEDECによる標準化までに多くの独自規格が生まれており、それをそのまま取り込んでしまったため、いくつかの似たような仕様が併存することになった。例えば仕様書「JEDEC Standard 21-C」(JESD21-C)の「4.2 One Byte Memory Modules」では、以下の4種類(厳密には9種類)のSIP/SIMM/ZIPが定義されている。
- 4.2.1 - 22/24/30pin SIP/SIMM DRAM MODULE
- 4.2.2 - 30pin SIP/SIMM DRAM MODULE FAMILY
- 4.2.3 - 23/25/26/28pin ZIP/SIMM DRAM MODULE FAMILY
- 4.2.4 - 60/70pin ZIP/SIMM SRAM MODULE
ちなみに、「ZIP」(Zig-zag In-line Package)とはSIPに似たモジュールで、DRAMチップを搭載した基板から出たピンが、1列ではなく千鳥足になっているというものだ(参考リンク)。
この当時、SIP/SIMM/ZIPは単にPCのみならず、ワークステーションなどでも利用されていた。当時はメーカー間での互換性がない独自モジュールであっても、それほど困らなかった。と言うよりも、標準品を使えるようにしてしまうと顧客が安い互換品を買ってしまうので、あえて独自規格の高価な純正品を買わせよう、なんてメーカーも結構多かったわけだ。しかしPC/AT互換機に関して言えば、その後は30pinのSIMMを使う製品が圧倒的多数となる。
ちなみに当時のSIMMは、先に挙げたJEDEC仕様書での表記にもあるように1byte、つまり8bit幅のメモリーモジュールである。その内部構造は、例えば4bit幅のDRAMチップを使った場合、図1のように2個で1組の構成となる。2bit幅のチップなら4つ、1bit幅のチップなら8つ搭載する。アドレスバスやCAS/RASなどの信号線は全チップで共有し、一方でデータバスはチップごとに分割する。
1byte SIMMが登場してしばらくすると、「もう少しデータ幅の広いSIMMが欲しい」という要望が出てきた。例えば386の世代では、まだ32bitバス(386DX系)と16bitバス(386SX系)が混在していたが、486以降はバス幅が32bitになっている。8bit幅のSIMMでは増設の単位が最低でも4枚になり、不便な状況にあった。
これを受けてJEDECでは、16bit幅の「40pin SIP/SIMM DRAM FAMILY」や「60pin DRAM CARD FAMILY」、68pinの「MULTIPLE TECHNOLOGY MEMORY CARD FAMILY」といった規格を制定していった。しかしこれらを使った場合でも、32bit幅を実現するためには最低2枚1組の増設になるので、あまりメリットがない。結局この16bit幅の製品はほとんど普及せず、32bit幅となる「72pin SIMM」が広く普及することになった。

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