このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第73回

CPU性能向上のトレンド マルチコアの理論と限界

2010年10月18日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

IPCの引き上げは難しい
シンプルな解決策がCPU数の増加

 今回のテーマはマルチコアである。もともとコンピューターの世界では、CPUのコアをいっぱい並べるという技法は、非常に一般的であった。66回でも書いたが、CPUの処理性能は以下の式で表わされる。

  • P=F×IPC

 PがPerformance(処理性能)で、FがFrequency(動作周波数)、IPCは「Instructions Per Cycle」(1サイクルあたりの処理命令数)となる。Pを引き上げるためには、Fを上げるかIPCを上げるかになるが、Fを上げると同時に消費電力も増えることになり、ある程度以上の動作周波数以上に引き上げるのが放熱の観点から困難、という制約があった。

 一方IPCを引き上げるのはもっと難しい、というのはここまでの連載で紹介したとおり。いろいろな策を講じてIPCを引き上げようとしているが、それでもなかなか上がらない。例えばインテルの場合、1989年に「Intel 486DX」がリリースされた頃は、最大33MHz駆動でIPCはほぼ1命令/サイクルであった。

 一方2006年に「Core 2 Duo」がリリースされた際には、Extreme Edition向けは最大2.93GHzまで動作周波数は上がったものの、IPCはやっと3命令/サイクルが実現できた程度である。17年をかけて動作周波数は約90倍になったのに、IPCはたったの3倍でしかないということからもIPCを引き上げることの難しさがわかるだろう。

 そこで次なるアイデアとして出てきたのが「CPUの数を増やす」である。前回のSMT(同期マルチスレッディング)と発想は似ているが、先に登場したのは当然こちらである。複数のCPUがあれば、その性能は以下の式となる。

  • P=n×F×IPC

 ここでのnは「Number of CPUs」、つまりCPUの数である。33MHzのCPUであっても、3つ並べれば見かけ上は100MHzのCPU1個と同じ処理性能になるという、これまた単純なアイディアである。

 そんなわけで、x86の場合、P54C世代の「Pentium」で、初めてCPUの数を増やした構成がサポートされた。図1の左が通常のシングルCPU構成とすると、最初のデュアルCPUは図1右のようになる。FSBを共有する、という形で2つのCPUが同時に動作するようになったわけだ。

図1

図1 Pentium世代での基本的なシングルCPU構成(左)とデュアルCPU構成

 この構成、「Pentium Pro」では図2のように、最大4CPUまでを標準サポートするようになった。「標準サポート」という微妙な言い方をしたのは、4つという制限はあくまでインテルの提供するチップセットを使った場合で、サードパーティの中には6~8CPUまでの構成をサポートする製品もあった。

図2

図2 Pentium Pro世代の4CPUのシステム構成

 ちなみに、8個までのCPUをサポートするチップセットに「Profusion」という製品があった。Corollary社というチップベンダーが開発したのだが、インテルは1997年に同社を買収。その後インテルでも発売したにも関わらず(関連リンク)、今では黒歴史扱いされているという、ちょっと可哀想な運命をたどっている。

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事

ASCII倶楽部

注目ニュース

  • 角川アスキー総合研究所

プレミアム実機レビュー

ピックアップ
1
Anker PowerLine III Flow USB-C & USB-C ケーブル Anker絡まないケーブル 240W 結束バンド付き USB PD対応 シリコン素材採用 iPhone 17 / 16 / 15 / Galaxy iPad Pro MacBook Pro/Air 各種対応 (1.8m ミッドナイトブラック)
Anker PowerLine III Flow USB-C & USB-C ケーブル Anker絡まないケーブル 240W 結束バンド付き USB PD対応 シリコン素材採用 iPhone 17 / 16 / 15 / Galaxy iPad Pro MacBook Pro/Air 各種対応 (1.8m ミッドナイトブラック)
¥1,390
2
KIOXIA(キオクシア) 旧東芝メモリ microSD 128GB UHS-I Class10 (最大読出速度100MB/s) Nintendo Switch動作確認済 国内サポート正規品 メーカー保証5年 KLMEA128G
KIOXIA(キオクシア) 旧東芝メモリ microSD 128GB UHS-I Class10 (最大読出速度100MB/s) Nintendo Switch動作確認済 国内サポート正規品 メーカー保証5年 KLMEA128G
¥2,273
3
Anker USB Type C ケーブル PowerLine USB-C & USB-A 3.0 ケーブル iPhone 17 / 16 / 15 /Xperia/Galaxy/LG/iPad Pro/MacBook その他 Android 等 USB-C機器対応 テレワーク リモート 在宅勤務 0.9m ホワイト
Anker USB Type C ケーブル PowerLine USB-C & USB-A 3.0 ケーブル iPhone 17 / 16 / 15 /Xperia/Galaxy/LG/iPad Pro/MacBook その他 Android 等 USB-C機器対応 テレワーク リモート 在宅勤務 0.9m ホワイト
¥660
4
KIOXIA(キオクシア)【日本製】USBフラッシュメモリ 32GB USB2.0 国内サポート正規品 KLU202A032GL
KIOXIA(キオクシア)【日本製】USBフラッシュメモリ 32GB USB2.0 国内サポート正規品 KLU202A032GL
¥1,080
5
エレコム 電源タップ 6個口 3m 雷ガード 個別スイッチ ほこりシャッター付 耐熱 PSE技術基準適合 ブラック T-K6A-2630BK
エレコム 電源タップ 6個口 3m 雷ガード 個別スイッチ ほこりシャッター付 耐熱 PSE技術基準適合 ブラック T-K6A-2630BK
¥1,590
6
Anker iPhone充電ケーブル PowerLine II ライトニングケーブル MFi認証 超高耐久 iPhone 14 / 14 Pro Max / 14 Plus / 13 / 13 Pro / 12 / 11 / X/XS/XR / 8 Plus 各種対応 (0.9m ホワイト)
Anker iPhone充電ケーブル PowerLine II ライトニングケーブル MFi認証 超高耐久 iPhone 14 / 14 Pro Max / 14 Plus / 13 / 13 Pro / 12 / 11 / X/XS/XR / 8 Plus 各種対応 (0.9m ホワイト)
¥990
7
【Amazon.co.jp限定】 ロジクール 静音 ワイヤレス トラックボール マウス M575SPd Bluetooth Logibolt 無線 windows mac iPad OS Chrome トラックボールマウス ブラック M575 M575SP 国内正規品 ※Amazon.co.jp限定 壁紙ダウンロード付き
【Amazon.co.jp限定】 ロジクール 静音 ワイヤレス トラックボール マウス M575SPd Bluetooth Logibolt 無線 windows mac iPad OS Chrome トラックボールマウス ブラック M575 M575SP 国内正規品 ※Amazon.co.jp限定 壁紙ダウンロード付き
¥5,680
8
KIOXIA(キオクシア)【日本製】SDカード 32GB SDHC UHS-I Class10 読出速度100MB/s 国内正規品 メーカー保証5年 KLNEA032G
KIOXIA(キオクシア)【日本製】SDカード 32GB SDHC UHS-I Class10 読出速度100MB/s 国内正規品 メーカー保証5年 KLNEA032G
¥1,061
9
NIMASO ガラスフィルム iPad 第11世代(A16) 2025用/iPad 10.9インチ 第10世代 2022用 衝撃吸収 強化 ガラス 保護フィルム 指紋防止 ガイド枠付き NTB22I574
NIMASO ガラスフィルム iPad 第11世代(A16) 2025用/iPad 10.9インチ 第10世代 2022用 衝撃吸収 強化 ガラス 保護フィルム 指紋防止 ガイド枠付き NTB22I574
¥1,359
10
【Amazon.co.jp限定】 ロジクール ワイヤレスマウス 無線 マウス M185CG 小型 電池寿命最大12ケ月 M185 グレー 国内正規品
【Amazon.co.jp限定】 ロジクール ワイヤレスマウス 無線 マウス M185CG 小型 電池寿命最大12ケ月 M185 グレー 国内正規品
¥999

Amazonのアソシエイトとして、ASCII.jpは適格販売により収入を得ています。

デジタル用語辞典

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン