iPadは、Amazonの「Kindle」と比較して紹介されることがあるほど、電子書籍リーダーとして期待されている。何百冊ものデータを入れても、重さは700gで変わらず、省スペース化も実現できる。日本の住宅事情にぴったりのデバイスだ。第2回は、iPadを電子書籍リーダーとして活用するツボを紹介しよう(連載目次はこちら)。
iPadは最強の電子書籍リーダーだ!
電子書籍を購入できるアプリとサービスがいくつも登場している。多数のコンテンツを揃える書店型と、タイトル単体で購入できるアプリがあり、コミックスから小説、雑誌にいたるまで何でも手に入る。いくつか購入して読んでみたが、期待通りにiPadは最高のデバイスだった。雑誌の誌面をカラー表示できるのは、大きな強みだ。バッテリーも10時間持つので、気軽に持ち出せる。重量は他の電子書籍リーダーと比べるとやや重いものの、無理な持ち方をしなければいいだけ。
9.7型の液晶はコミックスや小説はもちろん、雑誌もそのまま表示できる。やや表示が細かくなるが、ピンチ操作で拡大やスクロールも自由自在だ。電子書籍ビューワーも多数公開されており、アップデートにより使い勝手はどんどん向上している。動画や画像を併用したり、イラストの一部が動くなど、マルチメディア端末ならではの効果を取り入れた電子書籍もある。
しかし、AmazonやiBooksでコンテンツを購入できる状態にはならなかった。大規模な書店型は百花繚乱といえるほど登場し、それぞれ魅力的な仕組みを持っているが、購入したコンテンツをまとめて管理することができない。iPad用iOSはバージョン3.xでフォルダー機能を備えていないため、電子書籍アプリを集めると何ページも埋まってしまうのはいただけない。筆者は、すでにどのアプリで何を買ったのかがわからなくなってしまった。競争状態とはいえるものの、日本の出版社がガラパゴス化を始めてしまったのかと驚いている。書店と同レベルの品揃えを持つアプリがひとつあれば、大ブレイクするのは想像に難くないのだが……。
電子ブック関連サービスアプリ(8月13日現在)
※タイトルのクリックでApp Storeが開きます。
どこかが統一したサービスを打ち出すまでは、もう自分で電子書籍化するしかない。ドキュメントスキャナーで書籍を取り込む、いわゆる「自炊」だ。デジタルデータを印刷した書籍を、自分でデジタル化するなど、不条理かつエコに反しているが、いたしかたない。
なお、書籍をスキャンした自炊データは、個人的な範囲でのみ使用できる。友達に片っ端からメールしたり、P2Pソフトで配布するといった行為は法律違反なので行なわないよう注意してほしい。
裁断機とドキュメントスキャナーを買うか買わぬか
雑誌/書籍をばらばらにして電子化するには、裁断機とドキュメントスキャナーが必要だ。個人ユーザー向け製品の価格帯は、ドキュメントスキャナーは2万円後半から5万円、裁断機は1~5万円といったところ。日本の住宅事情を考慮するなら、本棚1~2個が消えれば、このコストは十分取り返せる。しかし、裁断機はかさばるのだ。折りたたんだり、使わないときにタンスの上に置いたり、もしくはほかの物を載せることができない。筆者が購入したのは、中国製で500枚を一度にカットできる中型機。サイズは38×53cmで、重量は17kgと重い。
裁断サービスもオススメ
代替案としては、裁断サービスを利用する手がある。「フェデックス キンコーズ・ジャパン」では、250枚までの断裁を105円で請け負っている。薄ければ2冊同時に切ってくれるし、分厚い本は2回に分けることもある。ホチキスや背表紙を外すのは別料金なので、あらかじめ外してから持ち込む必要がある。近くにキンコーズがあって、雑誌を数冊裁断してもらう程度なら便利に使える。仕上がりも上々だ。ただし、書籍の場合は持って出かけるのが面倒だ。
大量の書籍を宅配便で送り、裁断して送り返してくれるサービス「スキャンブックス」も人気だ。料金は1冊110円で、60冊以上なら送料を負担してくれる。ここは、100冊以上裁断する場合高性能機ドキュメントスキャナーを6日間無料で貸し出してくれる(スキャン代行は一切行なっていない)。手持ちの書籍がそれほど多くなく、普段あまり書籍を購入しない人に向いているといえる。スキャナーと裁断機を家に置く必要がないので省スペースだ。
裁断機とドキュメントスキャナーを買うべき人は?
しかし、500冊以上の雑誌や小説、コミックなどを持っており、毎月何冊も書籍を購入するような人は、裁断機とドキュメントスキャナーを購入したほうが安い。気が向いたときにスグ電子化できるのもメリットだ。筆者としては、購入をお勧めする。ドキュメントスキャナーは書籍の自炊だけでなく、各種契約書や領収書、メモ書きなどもデータ化できる。免許証やクレジットカードだってOKだ。裁断機が邪魔なことは確かだが、本棚をなくせばそのくらいのスペースは確保できるだろう。
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