11月4日まで幕張メッセで東京モーターショーが開催中だ。大幅な出展企業の縮小(海外量産メーカーが不参加)、来場者数が100万人に満たない見とおしなど、明るい話題が不足している一方で、情報通信とカー・インフォマティクスの連携は成熟期を迎えている。
現在の自動車とケータイの関係性を紹介しながら、未来の人、ケータイ、クルマの関係について考えてみたいと思う。
ケータイが狙う次の市場は自動車通信
東京モーターショーのプレスデーに合わせて10月20日~22日に開催されていた第1回国際自動車通信技術展(ATTT)では、カーモビリティとモバイル通信の融合というテーマに関する最新事情を見ることができるイベントとなった。
自動車と通信というテーマには、さまざまな切り口がある。
通常カーナビなどクルマに乗る人が扱うパーソナルな情報通信を思い浮かべがちだが、交通監視や最適化などをつかさどるシステム、車両のメンテナンス管理をするシステムもある。またこれからの時代は環境負荷を減らす取り組みやスマートグリッドなどの新しい切り口が控えている。
中でも評価が高かったのは本田技研工業のインターナビ。地方自治体とともに防災情報を共有する仕組みや、エコドライブ支援や情報交換が可能な仕組みをカーナビに搭載するなど、いち早く通信と融合したカー・インフォマティクスの未来を見ることができる。またトヨタのG-BOOKにもエコドライブ支援システムである「ESPO」の展示があった。
ケータイの加入者数が頭打ちになる一方、日常生活で利用する端末が通信機器になるという未来像の中で、カーナビを通じてその一端に触れることができる。一方で車に乗っていないときの手元にはケータイやスマートフォン、そして自宅にはノートパソコンがあり、より汎用的な情報手段やコミュニケーション手段として使っている。
ちなみに、ATTTにはマイクロソフトブースがあり「なぜだろう」と思っていた。これは僕が知らなかっただけではあるが、アルパイン、クラリオン、日本ビクター、パイオニア、パナソニックといった国内の主要カーナビメーカーが、Windows CEをベースとした「Windows Automotive」と呼ばれるOSを製品に採用しているのだ。
また海外メーカー製品ではWindows CEベースのPNDも数多く存在しており、日本国内で利用できるナビの多くがマイクロソフト製OSを搭載していることがわかった。ただ各社カスタマイズを施しており、同じプラットホームで動いているとは気付かなかったのだ。
では先進的なカー・インフォマティクスの手前にある、既存の端末との連携の姿はどこまで進んでいるのだろうか。次ページでヤフーが取り組む、ケータイをリモコンとしたカーナビゲーションの仕組みについて取材したので紹介したいと思う。
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