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80年代とネットが生んだ「護法少女ソワカちゃん」

2009年09月18日 18時00分更新

文● ノトフ

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「ソワカちゃん」DVDは仏具屋から生まれた

―― LOiDからDVD化の話がきたときはどう思われましたか。

LOiDから発売されている「護法少女ソワカちゃん 乗の巻」。「ポニョ」や「劇場版エヴァ」とならんでamazonDVDランキング第6位にランクインしたこともあった

kihirohito 「これ、そのままDVDにしちゃっていいのかな」って(笑)。でも、なっちゃいましたね。初めは迷ったんですけど、「単純に人気があるみたいだから来ました」って感じじゃなくて、今後のこととかも考えて話してくれたのでお願いしました。

LOiDむらた うちのエンジニアで礒村という人間がいて、彼から「ソワカちゃん見て」って言われたのがきっかけですかね。もともと彼は友達の仏具屋さんに勧められたみたいですね。だから仏具屋からできたDVDなんですよ。


―― 今回、もともとの動画からは修正がかなり入っていますよね。それはレーベルの担当者として、作者としてどう感じているんでしょうか。

LOiDむらた 明らかにヤバいものは難しいなと思うんですけど、そうでないところも会社的に色々いじられたところがあって、個人的には悔しい思いをしてますね。12月には第2弾が出るんですが、そこでは頑として意見を通したいです。

kihirohito まあ、ある程度は覚悟はしていましたよね。それに、ネットで見られればいいんじゃないかなって思っていて。ただ、修正されたところは、わざとらしくアピールしたりとか、嫌なことをしてます(笑)。誰に対しての嫌がらせか分かりませんけど。

左がLOiDレーベルのむらた氏。「100万再生の作家を売るのは簡単だけど、それだけじゃ何もインパクトがない。10~20万再生でも面白いことをやっているクリエイターをリリースすることで、ネットのインパクトを出せれば」と熱く語った


―― これだけ注目を集めると、ユーザーからの声も多くなりますよね。

kihirohito メールとかはそんなに来ないですね。動画のコメントも今では量が多くなって見きれてないですけど、最初は「なんじゃこりゃ!」って感じでしたよ。それで意外と評判が良かったので、調子に乗って続けちゃった、という感じですね。

 だからユーザーの要望に応えたいというより、一緒になって調子に乗るっていう感じです。あんまり応えすぎても疲れる気がするんですよ。でもやっぱり応援のメッセージなどは力になるので、ユーザーの声がきっかけになっていることはあると思うんですよね。


―― DVDも発売され、こうして取材を受けていると、意識が変わってくるところはないですか。

kihirohito いや、これはあくまでソワカちゃんの取材で、自分の取材じゃないって感じがしますね。なんだろう、自分のステータスが上がっているとかって意識があまりなくて、ソワカちゃんを隠れ蓑にして生きている感じなので、気は楽ですね。

 ネットの匿名性というか、匿名文化っていうところに対する親和性というか。その中でやっている意識があるので、「私が作者です」っていうのも違うかなって気がするんですよ。だからあえてパロディー化しているっていう意識があるんですけどね。

LOiDによるネットラジオ「LOiD RADiO」第9回にはゲストとして出演。「収録時は酔っていたから、聞きなおすの恐ろしい」という


―― kihirohitoさんの中心にあるのは、その「パロディ」ということなんじゃないかと思うんです。kihirohitoさんにとってのパロディとは何なんでしょうか。

kihirohito うーん……もともと空っぽなんですよ、自分が。それでいて、何かを忠実にコピーすることが出来ない。どうしてもアレンジがかかる。そこで初めて「自分」っていうのが出るんですよね。技術的には本当は何かをコピーしてやっていかないとだめだと思うんですけど、それがどうしても出来ない。

 ある種、シラケつつ乗るみたいな、そういう時代の薫陶を受けているというか。まあそれはあんまり認めたくないんですけどね。80年代野郎じゃないかと(笑)。そこから脱却しようという努力もしてないので、しょうがないですよね。矛盾してますけど。だから、何でも相対化して見せるみたいなところは、時代の影響があるかもしれないですね。

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