「ソワカちゃん」DVDは仏具屋から生まれた
―― LOiDからDVD化の話がきたときはどう思われましたか。
kihirohito 「これ、そのままDVDにしちゃっていいのかな」って(笑)。でも、なっちゃいましたね。初めは迷ったんですけど、「単純に人気があるみたいだから来ました」って感じじゃなくて、今後のこととかも考えて話してくれたのでお願いしました。
LOiDむらた うちのエンジニアで礒村という人間がいて、彼から「ソワカちゃん見て」って言われたのがきっかけですかね。もともと彼は友達の仏具屋さんに勧められたみたいですね。だから仏具屋からできたDVDなんですよ。
―― 今回、もともとの動画からは修正がかなり入っていますよね。それはレーベルの担当者として、作者としてどう感じているんでしょうか。
LOiDむらた 明らかにヤバいものは難しいなと思うんですけど、そうでないところも会社的に色々いじられたところがあって、個人的には悔しい思いをしてますね。12月には第2弾が出るんですが、そこでは頑として意見を通したいです。
kihirohito まあ、ある程度は覚悟はしていましたよね。それに、ネットで見られればいいんじゃないかなって思っていて。ただ、修正されたところは、わざとらしくアピールしたりとか、嫌なことをしてます(笑)。誰に対しての嫌がらせか分かりませんけど。
―― これだけ注目を集めると、ユーザーからの声も多くなりますよね。
kihirohito メールとかはそんなに来ないですね。動画のコメントも今では量が多くなって見きれてないですけど、最初は「なんじゃこりゃ!」って感じでしたよ。それで意外と評判が良かったので、調子に乗って続けちゃった、という感じですね。
だからユーザーの要望に応えたいというより、一緒になって調子に乗るっていう感じです。あんまり応えすぎても疲れる気がするんですよ。でもやっぱり応援のメッセージなどは力になるので、ユーザーの声がきっかけになっていることはあると思うんですよね。
―― DVDも発売され、こうして取材を受けていると、意識が変わってくるところはないですか。
kihirohito いや、これはあくまでソワカちゃんの取材で、自分の取材じゃないって感じがしますね。なんだろう、自分のステータスが上がっているとかって意識があまりなくて、ソワカちゃんを隠れ蓑にして生きている感じなので、気は楽ですね。
ネットの匿名性というか、匿名文化っていうところに対する親和性というか。その中でやっている意識があるので、「私が作者です」っていうのも違うかなって気がするんですよ。だからあえてパロディー化しているっていう意識があるんですけどね。
―― kihirohitoさんの中心にあるのは、その「パロディ」ということなんじゃないかと思うんです。kihirohitoさんにとってのパロディとは何なんでしょうか。
kihirohito うーん……もともと空っぽなんですよ、自分が。それでいて、何かを忠実にコピーすることが出来ない。どうしてもアレンジがかかる。そこで初めて「自分」っていうのが出るんですよね。技術的には本当は何かをコピーしてやっていかないとだめだと思うんですけど、それがどうしても出来ない。
ある種、シラケつつ乗るみたいな、そういう時代の薫陶を受けているというか。まあそれはあんまり認めたくないんですけどね。80年代野郎じゃないかと(笑)。そこから脱却しようという努力もしてないので、しょうがないですよね。矛盾してますけど。だから、何でも相対化して見せるみたいなところは、時代の影響があるかもしれないですね。