アプリケーションプラットフォーム「MEAP」もさらに進化
キヤノンのオフィス向け複合機には「MEAP」と呼ばれるアプリケーションプラットフォームが搭載されている。MEAPは、Java2ベースのプラットフォームで、専用「MEAPアプリケーション」を複合機上で動かすことができるというものだ。
例えば、「ICカード認証 for MEAP」を利用すれば、入退室管理用の社員証など既存のICカードを利用して、個人認証を行い、デバイスの管理が可能になる。また、「imageWARE Accounting Manager for MEAP」を利用すれば、各個人の利用枚数やカラー率などの利用状況を把握することができる。
このようにMEAPは、キヤノンのオフィス向け複合機をフルに活用するために、非常に重要な存在である。MEAPの強みは、デバイス(複合機)内で完結したソリューションであり、サーバーを必要としないことや、キヤノンMJでパッケージングや販売、一次サポートまで行ってくれることである。
しかし、その半面、メモリやパフォーマンスなどデバイス特有の仕様制限があることと、1台ずつの管理負荷がかかること、Windowsアプリケーションとの連携ができないこと、ベリフィケーションが必要で、開発から提供までに時間がかかるといった課題もあった。
MEAP ADVANCEで何が変わるか?
imageRUNNER ADVANCEでは、MEAPが「MEAP ADVANCE」へと進化しているが、MEAP ADVANCEは、従来のMEAPの強化版(リソース/機能拡大)に、新たに「MEAP Connector」と「MEAP Web」が加わり、三本柱から構成されることになる。MEAPの強化点としては、メモリサイズが20~32MBから4倍以上の128MBになるなどリソースの拡大、画面サイズや色数などの向上、コマンド体系の改善といった基本機能の強化に加えて、機能別認証やFAX送信、デバイスの宛先表の参照といった新機能が追加された。
MEAP Connectorは、スキャン、プリント、送信などの一連の動作を組み合わせて定型業務化するWorkflow Composerに、外部システムとの通信機能を追加するものだ。MEAP Connectorを介することで、SMBサーバーやFTPサーバー、Office SharePointサーバーなどとの連携が可能になる。MEAP Connectorは、2009年10月にConnector SDKの提供が開始され、ほぼ同時期にキヤノンから5つのConnectorがパッケージ製品として販売される予定になっている。
メリットは、デバイス側ではウェブブラウザのみを動かせばいいため、デバイスのリソースの制限をほとんど受けず、より高度で複雑な処理を行うアプリケーションが開発できることと、ベリフィケーションが不要で、アプリケーションを作ったらすぐに利用でき、UIの変更なども柔軟に対応できることだ。使い慣れたウェブ開発環境を利用して開発ができ、ライセンス管理も不要なので、システムインテグレータ独自のソリューションをすばやく開発・提供するのに最適だ。
MEAP Webは、ウェブサーバー上のアプリケーションでデバイス(imageRUNNER ADVANCE)の機能を利用して、imageRUNNER ADVANCEをシンクライアント化する新しいアプリケーションプラットフォームである。imageRUNNER ADVANCE側にオプションのウェブブラウザと追加モジュール(MEAPアプリケーション)を追加するだけで、サーバー上で動作するウェブアプリケーションを利用できるようになる。
MEAP Webを利用することで、紙の資料を扱うさまざまな業務の効率を上げることが可能になる。例えば、出張費精算をする場合なら、まず、出張者がPCから出張申請を行い、上司の承認を得る。出張から帰ってきたら、imageRUNNER ADVANCEで領収書をスキャンし、そのデータを添付して上司に送れば、再度上司が承認して、人事にその情報が送られ、出金処理が行われることになる。MEAP Webを利用すれば、領収書のスキャンとデータの送信を、imageRUNNER ADVANCE上のウェブブラウザから行えるわけだ。
また、大学などで、成績証明書や在学証明書、行事予定表、カリキュラムなどの書類を発行してもらう場合も、MEAP WebとICカード認証機能を使うことで、imageRUNNER ADVANCEの液晶画面で、必要な書類をタッチして選ぶだけで、校内ネットのサーバーに保存されているデータにアクセスし、そのimageRUNNER ADVANCEから必要な書類が印刷されて出てくるといったサービスも実現できる。
このように、MEAP Webは柔軟な活用が可能であり、さまざまな業務の効率化を実現できることが利点だ。MEAP Web SDKは2010年中頃にリリースされる予定で、キヤノンがMEAP Webのパッケージ製品を販売する予定はなく、システムインテグレータに自由に開発してもらいたいとのことだ。
まさに新世代のオフィス向け複合機と呼ぶにふさわしい製品
このように、imageRUNNER ADVANCEは、オフィス向け複合機メーカーとして高いシェアを誇るキヤノンの最新モデルだけあって、高機能と使いやすさを両立させており、複合機としての完成度は非常に高い。
オフィスで利用している複合機が古くなり、リプレースを考えているのなら、imageRUNNER ADVANCEは有力な選択肢としてオススメできる。ファームウェアのインターネット経由のアップデートにも対応しているほか、HDDの増設なども可能であり、拡張性や将来性も十分だ。さらに、MEAP ADVANCEによって、imageRUNNER ADVANCEの可能性はさらに大きく広がる。ネットワーク環境が整ったオフィスにおいて、imageRUNNER ADVANCEはその真価を最大限に発揮できるのだ。