ATI初のDirectX 7対応GPU「R100」コア
そのATIが3Dゲーム向けに本腰を入れた最初の製品が、2000年7月にリリースされた「R100」コアの「RADEON 256」である。もっともこの名称はすぐに使われなくなり、「RADEON 32/64」(数値はメモリー搭載量)と表記したり、後には「RADEON 7200」といった名称で発売された。これらは同社としては初のDirectX 7対応GPUで、Hardware T&Lユニットを1基搭載している。
このR100コアに続き、低価格向けにパイプラインを削減したのが、2001年4月に登場した「RV100」コアの「RADEON VE」である。DirectX 7準拠といいながら、RV100ではHardware T&Lも省かれてしまったので、厳密にはこれはDirectX 6相当のGPUになる。R100コアはあまり応用製品も出ないまま消え去ってしまったが、RV100コアは、これをベースにAMDの「K7」アーキテクチャーCPU向け統合グラフィックチップセット「RADEON IGP 320」が作られたほか、後にRV100がそのままモバイル向けの「Mobility RADEON」になるなど、比較的息の長いモデルであった。また、R100搭載カードにTVチューナーも積んだ「RADEON AIW」(All-In-Wonder)も後から発売されている。
これに続くのは、DirectX 8.1に対応した「R200」コアである。2001年11月に投入されたR200コアは、「RADEON 8500」として発売されるのだが、実はこれに先んじて、R200のコアに使われている技術をフィードバックした「RV200」コアが、2000年10月に「RADEON 7500」という名称で発売開始されている。
RADEON 7500はDirectX 7相当(Hardware T&Lも搭載)の構成で、R200のサブセットというよりは、「R200の技術でRV100を作り直した」という形に近い。要するに、RADEON 256とRADEON VEでは性能のギャップがありすぎたので、少しバリュー向け製品の性能の底上げが必要だったという事だろう。なのでコード名こそRV200となっているが、実際にはR1xx世代と同じ扱いを受ける事が多い。このRV200も、チップセット「RADEON IGP 340」に搭載されたり、テレビチューナーを搭載して「RADEON AIW VE」として発売されたりと、息が長い製品になった。
話をR200に戻すと、RADEON 8500はハイエンド向けとして、NVIDIAの競合製品である「GeForce 4 Ti」シリーズとほぼ互角の性能を発揮して、やっと同じ土俵に立った。次にATIが取り掛かったのは、メインストリーム向けの製品である。まずR200をベースに、パイプラインを半減させた「RV250」というコアを開発。これを「RADEON 9000」シリーズとして2002年7月に投入する。
さらに2003年4月には、AGP 8Xへの対応と、ファウンダリー(製造業者)を台湾UMC社に切り替えた「RV280」コアを開発。これを「RADEON 9200」シリーズとして発売する。このRADEON 9000/9200シリーズのターゲットは、言うまでもなくNVIDIAの「GeForce 2/4 MX」である。
RV200ベースのRADEON 7500では性能的にやや見劣りしていたが、RV250/280では完全にGeForce 2/4 MXに追いついた。しかもDirectX 8.1対応(GeForce 2/4 MXはDirectX 7対応)という優位性もあり、これをフルに生かしてマーケットの切り崩しに成功する。
もっとも、NVIDIAがこれを黙って見ていたわけではもちろんなく、さまざまな動作周波数やメモリー構成の製品を各カードベンダーが大量に出荷。ラインナップの豊富さと価格で勝負を挑む方向に切り替えた。ATI陣営もこれに対抗して、やはり大量のラインナップをそろえた結果、大量の製品が世の中に氾濫することになった。このラインナップの多さはこのあともっと激化するが、そもそもの始まりはこのRV250のあたりからではなかったかと筆者は記憶している。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第869回
PC
半導体プロセスの新たな覇権! インテルのDNNプロセッサーはAMDやMetaを凌駕する配線密度と演算密度 -
第868回
PC
物理IPには真似できない4%の差はどこから生まれるか? RTL実装が解き放つDimensity 9500の真価 -
第867回
PC
計算が速いだけじゃない! 自分で電圧を操って実力を出し切る賢すぎるAIチップ「Spyre」がAI処理を25%も速くする -
第866回
PC
NVIDIAを射程に捉えた韓国の雄rebellionsの怪物AIチップ「REBEL-Quad」 -
第865回
PC
1400WのモンスターGPU「Instinct MI350」の正体、AMDが選んだ効率を捨ててでも1.9倍の性能向上を獲る戦略 -
第864回
PC
なぜAMDはチップレットで勝利したのか? 2万ドルのウェハーから逆算する経済的合理性 -
第863回
PC
銅配線はなぜ限界なのか? ルテニウムへの移行で変わる半導体製造の常識と課題 -
第862回
PC
「ビル100階建て相当」の超難工事! DRAM微細化が限界を超え前人未到の垂直化へ突入 -
第861回
PC
INT4量子化+高度な電圧管理で消費電力60%削減かつ90%性能アップ! Snapdragon X2 Eliteの最先端技術を解説 -
第860回
PC
NVIDIAのVeraとRubinはPCIe Gen6対応、176スレッドの新アーキテクチャー搭載! 最高クラスの性能でAI開発を革新 -
第859回
デジタル
組み込み向けのAMD Ryzen AI Embedded P100シリーズはZen 5を最大6コア搭載で、最大50TOPSのNPU性能を実現 - この連載の一覧へ











