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「ソフトウェアとブロードバンドが次の10年を変える」とビル・ゲイツ氏――“ITU Telecom World 2003 ”で

2003年10月14日 00時00分更新

文● 末岡洋子

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米マイクロソフト社の会長兼チーフソフトウェアアーキテクトのビル・ゲイツ氏は現地時間の13日、スイス・ジュネーブで開催中の通信業界のイベント“ITU Telecom World 2003 ”で講演を行なった。4年に一度ITU(国際電気通信連合)が主催する、通信業界最大規模を誇る同イベントでは今回、米IBM社やサン・マイクロソフト社などがスピーカーとして参加しておらず、マイクロソフトにとってはライバル不在。参加者の注目を一身に集めたスピーチの壇上で、ゲイツ氏はいまだに新参である通信分野における同社の取り組みやビジョンを披露した。

ゲイツ氏4年間、テレコムはもとよりIT業界でも多くの企業が苦しんだのとは対象的に“勝ち組”となったマイクロソフト。ゲイツ氏によると、同社の研究開発予算は4年前の30億ドル(約3280億円)から現在68億ドル(約7435億円)に拡大したという

ゲイツ氏は冒頭、「ソフトウェアはインターネット全体のプラットフォーム」と述べてソフトウェアの重要性を強調した。そして、音声とデータの橋渡し役としてのソフトウェアは、テレコム業界にとってますます重要になると続けた。

今回のTelecom Worldにおいて、数少ない明るい話題となったブロードバンドや無線LANでは、ユーザーの経験はこれまでのダイアルアップ接続とは大きく異なる。ゲイツ氏は、ここでソフトウェアが大きな推進役を果たしていると言い、「今後も、予期しないようなサービスが数多く登場するだろう」と予想した。それは、通信業界にとっては新しいチャンスを意味する。そして、ソフトウェアとブロードバンドにより、職場や家庭、外出先でのアクセスや情報共有を可能にしていくうえで、ITとテレコムが協力し合う必要があると続けた。

マイクロソフトのブース今回も巨大なブースを構えたマイクロソフト。派手さでアジア系企業と争っていた米企業は同社とインテル社ぐらい?

この日同社はいくつかの発表を行なった。その中には、英ボーダフォン社とのモバイルウェブサービス推進での提携、モバイル向けOS『Windows Mobile 2003』を採用した仏オレンジ(Orange)社の次世代携帯電話機“SPV”の最新版、ホットスポットサービスの安全かつ容易な実装を実現する“Microsoft Wireless Provisioning Services(WPS)”などがある。

ボーダフォンとは、XMLを利用したウェブサービスの取り組みをモバイルアプリケーションにおいても進めていく。ウェブサービスに関して、ゲイツ氏は、「情報、人、システム、そして端末を接続する中央のエレメントだ」と述べて同社が進めている.NET構想を紹介し、テレコム業界にとっても収益や機会をもたらす重要なものであることを強調している。今回、最大手オペレーターのボーダフォンと提携してモバイル分野における.NET戦略の足がかりを築くことで、J2EE陣営のライバルであるIBMらからのリードを狙う。講演中に行ったデモでは、課金や認証、位置情報、SMS(Short Message Service)などのアプリケーションをパソコン(PC)と携帯電話で利用して、車の故障に対応するCRMサービスを披露した。

『SPV E200』仏オレンジの『SPV E200』

また、欧州市場で昨年末、仏オレンジがSPVの最新機種『SPV E200』を発表。カメラ機能、Bluetoothをサポートしており、これはWindows Mobileベースとしては世界初となる。

オレンジによると、SPVにおいて、非音声からの1ユーザーあたり平均収益は15ユーロ(約1900円)で、インターネットにアクセスする回数は1日平均5回。この数値は、WAPに失敗した欧州では成功と受け止められている。E200は英・仏などオレンジが展開する欧州主要5ヵ国で来月に提供される予定だ。

WPS技術は、Windows XPのPEAP(Protected EAP)などの既存技術をベースに、自動認証や暗号化機能を付加したもので、Windows XPおよびWindos Server 2003向けに提供される。これにより、XPユーザーは無線LANホットスポットの検出から接続までの作業を安全かつシームレスに行なえ、無線LAN提供者はホットスポットのプロビジョニングや管理が容易になるという。WPSは、XPユーザーはWindows Updateで、Windows Server 2003にはService Pack 1として、いずれも2004年前半に提供されることになっている。

残念なのは、関心が寄せられているセキュリティーに関して、ゲイツ氏はスピーチ中、表面的な発言しか行なわなかったことだ。ゲイツ氏は、セキュリティーのインフラ構築、アンチウイルスへの投資、スパム・イニシアティブ、シームレスなソフトウェアアップグレードなどの取り組みを列挙したにとどまった。

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