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松下電器産業、有効400万画素、光学12倍ズームの“LUMIX”『DMC-FZ10』など3製品を発表――フルマニュアルデジカメの開発表明も

2003年10月03日 22時25分更新

文● 編集部 内田泰仁

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松下電器産業(株)は2日、ドイツのライカカメラ社との協業によるデジタルカメラ“LUMIX”シリーズの新製品として、有効400万画素CCDと光学式手ぶれ補正機構付きの12倍ズームレンズを搭載する『DMC-FZ10』、コンパクトタイプのデジタルカメラに初めて光学式手ぶれ補正機構を搭載させた『DMC-FX5』および『DMC-FX1』の計3製品を発表した。 また、フルマニュアル操作が可能な開発中のモデルを、7日より開催される“CEATEC JAPAN 2003”に参考出品することも公表した。

『DMC-FZ10』

『DMC-FZ10』は、9月に発表された光学手ぶれ補正機能付き光学12倍ズームレンズを搭載する『DMC-FZ2』の上位モデルにあたる製品。CCDは1/2.5インチ、総画素数423万、有効400万。レンズは新設計の“ライカDCバリオ・エルマリートレンズ”。光学式手ぶれ補正機能搭載の光学12倍ズームで、ED(特殊低分散)レンズを採用した8群13枚構成、開放絞り値は全域F2.8、焦点距離は3~72mm(35mmフィルム換算で35~420mm)。本機でも画像処理LSIには、原色CCDのR(レッド)やB(ブルー)からも輝度信号を生成することで従来よりも高解像度(斜め解像度で同社従来比約1.5倍)を実現し、露光から表示用YC分離/記録用YC分離/液晶表示などの並行処理を行ない、メモリーカードへの書き込みも同時に処理することでシャッター間隔の高速化を図る自社製のLSI“VENUS(ヴィーナス)エンジン”を採用する。

光学式手ぶれ補正機能を搭載した『DMC-FZ1』『DMC-FZ2』では、手ぶれ補正使用時は常に手ぶれ補正機構を動作させてフレーミング時の手振れを抑える方式が取られていたが、『DMC-FZ10』ではこの方式に加えて、シャッターを押して撮影する瞬間だけ手ぶれ補正機構を動作させる方式も選択できるようになった。この新方式は、従来方式よりもより確実な手ぶれ補正効果と高画質が得られるという。撮影モードとしては、“P(通常撮影)”“マクロ”“ポートレート”“スポーツ”“流し撮り”“夜景ポートレート”“動画”のほか、マニュアルモードの“絞り優先AE”“シャッター優先AE”“マニュアル露出”を搭載(露出補正、オートブラケット装備)。また、“マニュアルフォーカスモード”を持ち、このモードではレンズに取り付けられたフォーカスリングを回すことにより、手動でピントを合わせることができる。なお、マニュアルフォーカスモード操作時は、モニター液晶ディスプレー/電子ファインダーの中央部分を3倍拡大表示することが可能で、これにより精度の高いピント合わせが可能となっている。このほか、撮影時の露出状態をリアルタイムにグラフ表示する“リアルタイムヒストグラム表示”、300K刻みで±1500K範囲で微調整可能な“ホワイトバランス微調整機能”、被写体の構図を決める際に役立つ“撮影ガイドライン表示機能”も搭載する。

記録メディアはSDメモリーカード/マルチメディアカード。画像の記録サイズは、静止画が最大2304×1728ドット、動画が320×240ドット(30または10コマ/秒、QuickTime Motion JPEG形式)。静止画撮影サイズには、同社のプラズマテレビ“VIERA”シリーズなどのSDメモリーカードスロットを搭載したハイビジョンテレビで撮影した画像を再生するのに最適な、画像サイズ1920×1080ドット/縦横比16:9の“HDTV(ハイビジョン)”モードも用意されている。また、10または5コマ/秒(最大記録時間10または20秒)のコマ撮りアニメを本機内で作成することも可能となっている。

モニターは2インチ/13万画素/視野率約100%の低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレー、ファインダーは視度調整付きの0.33インチ/11.4万画素/視野率約100%の電子ファインダーを装備する。インターフェースは、USB 1.1、アナログのビデオ出力端子とモノラル音声出力端子。電池はリチウムイオンバッテリーで、駆動時間は液晶ディスプレー使用時で200枚/100分、液晶ファインダー使用時で240/120分。本体サイズは幅138.5×奥行き105.7×高さ87.2mm、重量は約550g(バッテリー、メモリーカード含む)。本体カラーはシルバーとブラックの2種類で、従来モデルと同じくレンズフードが付属する。

価格はオープンプライスで、編集部による予想実売価格は7万5000円前後。発売日は10月24日。

1.5倍テレコンバージョンレンズ『DMW-LTZ10』(写真上)と0.8倍ワイドコンバージョンレンズ『DMW-LWZ10』(写真下)

なお、『DMC-FZ10』用のオプションとして、1.5倍テレコンバージョンレンズ『DMW-LTZ10』と、0.8倍ワイドコンバージョンレンズ『DMW-LWZ10』も発表された。発売日は12月19日で、価格は『DMW-LTZ10』が4万8000円、『DMW-LWZ10』が3万3000円。

『DMC-FX5』『DMC-FX1』

『DMC-FX5』『DMC-FX1』は、『DMC-F7』『DMC-F1』の流れを汲むコンパクトタイプのデジタルカメラ。コンパクトタイプの製品としては初めて、光学式手ぶれ補正機構を内蔵したレンズを採用した。松下によると、コンパクトカメラは、その本体サイズや用途(自分撮りやしっかりと撮影時の姿勢を固定しない状態での撮影など)のため手ぶれを起こしやすいというが、この機構を搭載することで、手ぶれを抑えた高画質な撮影が簡単にできるようになり、コンパクトデジタルカメラの楽しみ方をより広げることが可能になるとしている。なお、手ぶれ補正機構の動作モードは、『DMC-FZ10』と同様に、常時動作と撮影時のみ動作の2モードが用意される。

『DMC-FX5』『DMC-FX1』のレンズ構成

搭載するCCDは、『DMC-FX5』が総画素数423万/有効400万、『DMC-FX1』が総画素数334万/有効320万。レンズは共通で、光学3倍ズーム、6群7枚構成の“ライカDCバリオ・エルマリートレンズ”。開放絞り値はF2.8~4.9、焦点距離は5.8~17.4mm(35mmフィルム換算で35~105mm)。画像処理LSIには“VENUSエンジン”を採用する。撮影モードは、“簡単”“通常撮影”“マクロ”“ポートレート”“風景”“夜景ポートレート”“動画”“自分撮り”を備える。“自分撮り”モードでは、レンズ上部に取り付けられたLEDの点灯により合焦が通知される。露出はプログラムAEのみ(露出補正、オートブラケット装備)。このほか、『DMC-FZ10』にも装備されている“リアルタイムヒストグラム表示”“ホワイトバランス微調整機能”“撮影ガイドライン表示機能”も持つ。

記録メディアはSDメモリーカード/マルチメディアカード。画像の記録サイズは、静止画が『DMC-FX5』は最大2304×1728ドット、『DMC-FX1』は最大2048×1536ドット、動画が320×240ドット(30または10コマ/秒、QuickTime Motion JPEG形式)。両機とも、画像サイズ1920×1080ドット/縦横比16:9の“HDTV(ハイビジョン)”モードも持つ。また、4または2コマ/秒(『DMC-FX5』は最大7枚、『DMC-FX1』は最大8枚)のコマ撮りアニメを作成できる(『DMC-FX5』は最大7枚、『DMC-FX1』は最大8枚)。

モニターは1.5インチ/11.4万画素/視野率約100%の低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレー、ファインダーは実像式光学ファインダー。インターフェースは、USB 1.1、アナログのビデオ出力端子とモノラル音声出力端子。電池はリチウムイオンバッテリーで、駆動時間は液晶ディスプレー使用時で120枚/60分、液晶ディスプレー未使用時で240/120分。本体サイズは幅107.7×奥行き27.4×高さ50.9mm、重量は約185g(バッテリー、メモリーカード含む)。本体カラーは、『DMC-FX5』が“ユーロシルバー”“ノルディックブルー”“ボージョレーレッド”の3色、『DMC-FX1』が“シャンペンシルバー”“アズーラブルー”“スパニッシュレッド”“カリビアンオレンジ”“モンタナグリーン”の5色。

価格はオープンプライスで、編集部による予想実売価格は『DMC-FX5』が5万5000円前後、『DMC-FX1』が4万5000円前後。発売日は『DMC-FX5』が11月22日、『DMC-FX1』が11月28日。

“CEATEC JAPAN 2003”に参考出品予定の次期製品。レンズ部のマニュアル操作リング/ダイヤルが特徴的だ

発表の最後には、7日より開催される“CEATEC JAPAN 2003”に参考出品される予定の開発中モデルが紹介された。これは、主に銀塩カメラ愛好家をターゲットとした製品で、広角28mmの“ライカDC VARIO-SUMMICRONレンズ”(新開発、光学3.2倍ズーム、開放絞り値F2.0)、500万画素CCDを搭載し、リング/ダイヤルによるフルマニュアル操作(マニュアルズーム、マニュアルフォーカス、絞り操作、シャッタースピード)を実現するとしている。発売は2004年春を目指すという。

松下電器産業(株)・パナソニックマーケティング本部本部長の牛丸俊三氏

製品発表に合わせて行なわれた新製品発表会では、パナソニックマーケティング本部本部長の牛丸俊三氏が壇上に立ち、現在のデジタルカメラ市場の動向を紹介。この中で氏は、今年はDVDビデオレコーダーやDVカムコーダーなどのAV家電機器が順調に売り上げを伸ばしているが、この流れを牽引しているのがデジタルカメラであり、国内需要は今年度中に810万台に達すると述べた。また、2000年にはデジタルカメラ購入ユーザーに占める女性の割合が19%だったのに対し、今年の調査では31%に拡大しており、人数ベースでは約4倍になっているとした。さらに、50~60代の“シニア層”のユーザーも増えており、同社としては女性やシニアにもアピールする展開を今後も続けていくという。

ドイツ・ライカカメラ社のCOO、ラルフ・ケーネン氏

また、発表会にはドイツのライカカメラ社(Leica Camera AG)の最高執行責任者(COO)、ラルフ・ケーネン(Ralf Coenen)氏も出席。現在のカメラ市場を「変革の真っ只中の時代」と述べ、「パナソニックが最前線で戦っている写真文化のデジタル革命であり、同時にレンズの革命の時代でもある」とし、デジタルカメラにおけるレンズの重要性と、ライカレンズの性能、品質基準の高さをアピールした。

松下電器産業(株)・パナソニックAVCネットワークス社DSC事業担当の清水久雄氏

続く質疑応答のセッションでは、発表会で各製品の解説を行なったパナソニックAVCネットワークス社DSC事業担当の清水久雄氏が、事業規模や今後の展開についての質問に答え、現在300億円強の事業規模を2005~2006年を目標に1000億事業にしたいと述べた。また、デジタルカメラの普及が早い日本において、需要拡大の成長期から需要が頭打ちになり買い替えや買い増しが中心となる安定期になることを見越し、2005年には全世界で10%程度のシェアを獲得できるよう、今後は海外展開も積極的に進めたいとした。また、“ライカブランドのデジタルカメラ”についてライカカメラ社のケーネン氏は、“LUMIX”シリーズから2製品をこれまでにライカブランドの製品として発売したが、時期や具体的な製品名は未定ながら今後もこの枠組みで製品をリリースする予定でいることを述べた。

発表会場前に設けられていた展示スペースではサンプル画像展示も行なわれたが、その中にはキューバ出身のカメラマンで、“グルッポ・フォトルラフィコ・ライカ(Gruppo Fotografico Leica)”会員のルイス・カスタネーダ(Luis Castaneda)氏が『DMC-FZ10』で撮影した作品も展示された。会場にはカスタネーダ氏本人が来場し、説明を行なっていた

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