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エイリアス・ウェーブフロントからエイリアスへ――日本法人代表取締役社長アレックス・ケリー氏に聞く

2003年08月01日 01時51分更新

文● 千葉英寿

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Mayaをはじめとする3DCGソフトの世界におけるメインプレイヤーであるエイリアス・ウェーブフロント社(本社:カナダ・トロント市)が創立20周年を迎えた。同社はこれを機に、社名をエイリアス・ウェーブフロントから“エイリアス(Alias)”(正式名はエイリアスシステムズ社)へ社名変更し、社名ロゴも一新した。社名変更の経緯とそれにともなう同社の動きについて、同社の日本法人であるエイリアス システムズ(株)の代表取締役社長であるアレックス・ケリー(Alex Kelly)氏にお話をうかがった。(聞き手:千葉英寿)

■ 3DCGのトップを駆け抜けた20年

新社名は“エイリアス”
新社名は“エイリアス”。社名もロゴもシンプルになった

まず、20年におよぶ同社の歴史を振り返ってみよう。
同社の前身であるエイリアス・リサーチ(Alias Reserch)社がカナダ・トロント市に設立されたのが1983年、その翌1984年には米国カリフォルニア州サンタ・バーバラにウェーブフロント(Wavefront)社が設立された。その後の10年あまり、両社はAliasやPowerAnimatorといった優れた製品を開発し続けた。そして、1995年、両社はシリコングラフィックス(Silicon Graphics:SGI)社に買収され、合併してエイリアス・ウェーブフロント(Alias|Wavefront)社としてスタート、これまでにMayaやStudioToolsといった業界を代表する製品を開発してきた。

映画の分野においては、 ビジュアル・エフェクトの最高品質を持つものとして、同社のソフトウェアが採用されてきた。『トロン』や『アビス』、『ターミネーター2』、『ジュラシックパーク』をはじめ、最近では『ロード・オブ・ザ・リング:ふたつの塔』、『マトリックス』、『シュレック』など最新映画のCG制作に使用されている。ゲームの分野では、『ドンキーコング カントリー』(任天堂)、『Star Control II』、『Quake』といった1980年代の作品から同社のテクノロジーが採用され、『ファイナルファンタジー』、『グランツーリスモ3』といった作品も『Maya』で制作されている。

また、一般には馴染みの薄いかもしれないが、工業デザインの世界でも同社のテクノロジーが生かされている。日本におけるほとんどの自動車会社では、そのカーデザインおよびエクステリア・デザインにおいて『StudioTools』が導入されている。なかでもホンダや三菱自動車では、アーリーアダプターとして20年にわたる実績がある。さらに製品デザインの分野では、米ゼネラルモータース(GM)社、アップルコンピュータ(Apple)社、ナイキ(NIKE)社など、数々の著名企業が同社のカスタマーとなっている。

■ 社名はシンプルに“エイリアス”

このように業界内外で信頼を獲得してきた同社だが、この(Alias Reserch社の設立より)20周年という節目の今年、社名変更を行なうという。その意味とそれによって同社の体制がどのように変化するのか、今後をどのように捉えているのか、を日本法人であるエイリアス システムズ代表取締役社長のアレックス・ケリー氏、ならびにマーケティングディレクターの坪田寛氏にお話をうかがった。

アレックス・ケリー氏新生エイリアス システムズ(株)を率いる代表取締役社長のアレックス・ケリー氏
[チバ] まず、なぜこの時期に社名変更を行なうのでしょうか?
[ケリー] ソフトウェア会社で20年という歴史は長いほうではないかと思います。3DCGの世界でトップを走り続けてきて、20年目という大きな節目に“20周年を機して”社名およびロゴを刷新し、新しいブランド作りをしよう、ということです。そして、より製品開発を加速させていきます。
[チバ] 社名を“エイリアス”とした理由を教えていただけますか? また、正式な社名は“エイリアスシステムズ”ということですが、“エイリアス”とだけ呼ぶのはどのような意味があるのでしょう?
[ケリー] 社名については、社内外で何度もリサーチし、大いに議論されました。シンプルに“エイリアス”としたのは、これまでプレスのみなさんも含む社外の方から“エイリアスさん”と呼ばれることがかなり多かったことによります。このことは、国内だけではなく海外でもそのように呼ばれることが多くありました。つまり、長い呼び方ではなく、短く“エイリアス”と親しんでいただいていたことで、シンプルにしたほうがよいだろう、という結論が導きだされました。“システムズ”をつけない呼び方にしているのは、ごくシンプルに覚えていただきやすくしたかったということです。
新シンボル
エイリアス社の新しいシンボル
[チバ] 今回、ロゴも刷新されましたが、新しいロゴにはどのような意味があるのでしょう?
[ケリー] まず、中心の赤い球体は地球を表現しています。その周りを取り囲む動きのある部分は、革新性を表わしています。地球を中心としたグローバルな企業であるということを示しています。ロゴのデザインは、Mayaのロゴデザインも担当してくれたルイ・フィッシュイホフ氏にお願いしています。彼は、アドビのロゴ・デザインも担当するなど、著名なデザイナーです。ロゴを制作するにあたって、彼がAdobe Illustratorでデザインしたものを、metal Ray for Mayaを使って、社内でレンダリングしたものを使っています。

■ “Alias”を冠した製品名に統一

[チバ] 社名変更に伴って製品名などに影響はあるのでしょうか?
[坪田] 製品の名称についてですが、今回、『Alias StudioTools 11』、『Alias ImageStudio』、『Alias PortfolioWall 1.6』の3製品を発表させていただきましたが、このように今後、弊社の製品は“Alias XXXX”と呼ぶことになります。
坪田寛氏エイリアス システムズのマーケティングディレクター坪田寛氏
[ケリー] StudioToolsも今回、バージョンアップに伴って『Alias StudioTools』となります。ただし、例外としてすでにブランドが確立されているMayaはそのままの呼び方になります。
[坪田] 『Alias StudioTools 11』は、スケッチ機能が強化され、迅速なコンセプト開発・評価のためのワークフローができます。また、レンダリング機能も強化されました。『Alias PortfolioWall 1.6』は1.5からのバージョンアップとなります。
『Alias StudioTools 11』の画面イメージ
『Alias StudioTools 11』
[ケリー] 『Alias ImageStudio』は、プレゼンテーション用に高品質なレンダリング・イメージを必要とするユーザーのために開発されました。StudioToolsやMayaなどでレンダリングを行なうには、高いノウハウが必要であり、気軽に3Dレンダリングイメージを手にすることができませんでしたが、Alias ImageStudioはまるでブロックを組み合わせるように、誰にでもレンダリングすることができます。
『Alias ImageStudio』の画面イメージ
『Alias ImageStudio』
[チバ] 製品開発を加速させていく、とのことですが、今回の新製品以後、具体的にはどのような計画がありますか?
[ケリー] 今回、発表した製品以外の将来的な製品開発について具体的な事をお話することはできませんが、製品の方向性についてはお話できます。3DCGはまだニッチな分野と言えますが、使いやすさ“easy to use”を大事にしていくことで、幅広いユーザーに受け入れられるようになっていくと考えています。今回、発表したAlias ImageStudioは、そうした方向性を持った良い例になると思います。
[チバ] それでは、これまでのプロフェッショナル・ユーザーから、よりコンシューマーよりのユーザーをターゲットとしていく、ということですか?
[ケリー] そういうわけではありません。例えば、アドビのAdobe Photoshopも世に出てきた当初はプロフェッショナルに向けたニッチなソフトでしたが、いまでは幅広いユーザーに利用される製品になっています。我々の扱う3DCGの世界でもそういうこと実現していきたい、ということです。もちろん、映画やゲームの業界に対して、高いテクノロジーを提供していくことには変わりありません。

■ 日本のユーザーの声をダイレクトに

[チバ] そのほかに20周年にちなんだ事はありますか?
[ケリー] 本社のあるトロントに“エイリアス・ビジュアライゼーション・スタジオ”が今秋、開設されます。ここはミュージアムとかショールームのようなものではなく、映画、ビデオ、ゲームなどのデジタル・ビジュアライゼーションの将来を定義するために、カスタマーやパートナーとともに、ソフト、ハードの両方のアイデアを共有し、トータルソリューションを導き出すことを目的とした施設です。
[チバ] カスタマーが“エイリアス・ビジュアライゼーション・スタジオ”を訪れて、研修するようなところですか?
[ケリー] そうですね。ここではさらにさまざまな課題に対する解決方法を探っていきます。
[チバ] ゲーム開発の関係者はなかなか外出が難しいと聞きますが、そうしたユーザーに対してのフォローはどうなりますか? 東京にも同様の施設が予定されているのでしょうか?
[ケリー] 同様の施設というのは予定はありませんが、ゲーム関連のカスタマーのみなさまに対しては、今期より専任のコンサルティング担当者を起用し、すでに各カスタマーにおうかがいすることを始めています。東京はカナダ、米国に続いてソースコードにさわれる場所となりました。
[チバ] ゲーム関係者の声を開発にダイレクトに反映させることができるようになったわけですね。今後の製品開発が楽しみになってきました。

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