ATAPIのフラットケーブルを駆逐する使命を帯びた、Serial ATAインターフェイスカードがついに姿を現した。Serial ATAインターフェイスカードとして史上初登場となる、HighPoint製の2ch Serial ATA RAIDカード「RocketRAID 1520」の販売が一部ショップで始まっている。実売価格は1万9800円。
現在一般にATAと呼ばれている規格では、40線フラットケーブルを利用する8bitパラレル(16bit)転送方式を採用する。たとえばUltra ATA/100では8bit(=1Byte)のデータ幅×2をそれぞれ25MHz駆動させることで最大転送速度100MB/秒を確保した。しかし、Ultra ATA/66が一般化した際、信号線の間に40本のグラウンド線を配置することで80芯となった新型ATAPIケーブルの利用が必須となったように、現在のパラレルインターフェイスは高クロック化にともなう同期の難しさなど、仕様上の限界が見えてきてもいる。データ線を増やせば高速化できるものの、その場合には信号線間の相互干渉や、単純に信号線が増えることによるコスト増の問題も生じてしまう。
Serial ATAの規格ロゴ |
それを解決すべく登場してきたのがSerial ATA(シリアルATA)だ。これはSeagateやMaxtorといった主要HDDベンダやIntelなどからなる“Serial ATA Working Group”が策定するATA規格で、1bitのデータ幅を高クロックで転送するというもの。Serial ATA第1弾の規格は“Ultra SATA/1500”と定義づけられており、1.5GHzという、パラレル転送では考えられない高クロックによって、最大データ帯域幅は1500Gbit/秒(=187.5MB/秒)まで引き上げられた。エラー対策のパリティなどを除く実データ転送速度は150MB/秒で、これはUltra ATA/100のちょうど1.5倍だ。ちなみに、将来的にはデータ帯域幅が6000Gbit/秒まで引き上げられる見込みとなっている。
パッケージ同梱のSerial ATAケーブル×2。7芯なのを確認できる。折り曲げは非常に簡単 |
シリアル化によってケーブルも大きく変わっており、フラットケーブルで40あるいは80芯必要だった信号線はグラウンド線を含めてわずか7芯となり、ケーブル幅は1cm程度と劇的に細くなった。ケーブル長の規格も従来のATAの45.72mm(18インチ)に対して1mと長くなったほか、取り付けられるデバイスの数も1ケーブルあたり1つになったため、80芯ケーブルをなんとか細くした、いわゆる“ATAPIスマートケーブル”と比べても格段に取り回しやすさが向上している。
初のSerial ATAインターフェイスカード「RocketRAID 1520」
「RocketRAID 1520」 |
そんなSerial ATA対応としては初の製品となるRocketRAID 1520は、Serial ATAインターフェイスを2つ用意。それぞれにMarvell製のATA‐Serial ATA Bridge“88i8030”を搭載し、Ultra ATA/133対応のHighPoint自社製IDE RAIDコントローラ“HPT372A”と接続し、2chのIDE RAID環境を実現している。つまり、Serial ATAネイティブ対応というわけではないわけで、この点はやや残念だ。ちなみにRAIDレベルは0/1、そしてJBODをサポート。
2個同梱する「RocketHead 100」 |
言うまでもなく、現在のところSerial ATAに対応するHDDは登場していないが、そんな状況に対処すべくRocketRAID 1520がパラレル‐シリアル変換アダプタ「RocketHead 100」を同梱しているのは見逃せないところ。Serial ATAがソフトウェアによって従来のATAをエミュレートできるようになっている仕様をうまく利用したというわけだ。対応HDDはUltra ATA/100/133のみとされている。Serial ATAインターフェイスを用いるからといって、Serial ATAのパフォーマンスを享受できるというものではないが、少なくともSerial ATAインターフェイスを使えるというのは、新しいモノ好きにはそれだけで十分に魅力的と言えるだろう。
RocketHead 100接続イメージ。電源コネクタ変換ケーブルも付属する | RocketHead 100がUltra ATA/100/133のみの対応だとするマニュアル | 一方ですべてのIDE HDDをサポートするというパッケージ。矛盾しているが、おそらく“パラレルもサポート”と言いたいのだろう |
輸入した興隆商事いわく「ベンダの初回ロット品」。そのすべてが現在日本にあるとのことで、史上初のSerial ATA RAIDカードを世界中の誰よりも早く手に入れるなら、今週末が狙い目だ。
価格 | ショップ |
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\19,800 | 高速電脳 コムサテライト3号店 |
\17,480 | クレバリー1号店(19日入荷、予価) WonderCity(19日入荷、予価) |
\17,799 | TSUKUMO eX.(19日入荷、予価) |