A4ノートは差別化が付けにくいジャンルだが,「Lavie C LC900/1D」は独自のユニークな機能を付けることにより,ほかの製品とは一歩違った輝きを見せる秀逸なノートである。特にホビーユースで光るその独自機能を中心に,この製品の魅力についてたっぷりと解説する。
キーボード、ポインティングデバイス、液晶パネル部の全景。 |
携帯MP3プレーヤ標準装備
InfoAudioの秘密に迫る
まずはスペックよりも先に,本機が搭載するユニークな特殊機能について紹介しよう。キーボード周辺を見ると,左上にある特殊ボタンのほかに,右上に奇妙な窓枠があるのが分かるだろう。ここを覗いてみると,中は空洞になっており,本体側面から何かしらのデバイスをここへ装着可能な構造になっているのが理解できる。このスロットはメモリモジュール用ではなく,本機最大のセールスポイントである専用のポータブルデバイス「InfoAudio」を利用するためのものだ。
オーディオマネージャは単にSDカードへファイルを渡すだけでなく,CDから音楽を取り込んで圧縮することもできる。 |
音楽圧縮ソフトの「AudioManager」のプレーヤ。音楽CDからAACまたは独自形式の圧縮音楽ファイルを作成し演奏できる。 |
また,256×54ドットのモノクロ液晶を装備しており,曲名やアーティスト情報といったタグ情報を表示することができる。バックライトがないため暗い場所では見づらいが,かな・漢字表示もサポートのほか,プレイリストにも対応するなど,市販のシリコンオーディオプレーヤにも負けない性能だ。そのほかにも,Webやメールを転送して閲覧できるなど,PCとの連携を前提にした機能も持っている。
音質はノイズもほとんどなく思ったよりも良好である。操作性は液晶下の4つの操作ボタンの使い勝手はいまひとつだが,カードスロット部分にジョグタイプのボタンをひとつ装備しており,これでスクロールなどを行なえるので,総合的に見てまずまず満足できる仕上がりとなっている。残念なのは標準添付のSDカードが8MB1枚となっていること。この容量ではビットレートを64kbpsに落としても,約16分程度しか入らない。バリバリ活用するのなら64MBまたは128MBのカードを購入する必要があるだろう。
また,SDカードとは別に,このInfoAudio用スロットに挿して利用する,マジックゲート対応メモリースティックアダプタが付属している。このアダプタは,シリコンオーディオプレーヤとしては利用できないが,すでにメモリースティック用デバイスを持っているユーザーには嬉しい配慮だ。
サウンドは電波で飛ばせ!?
FMトランスミッタで外部出力
InfoAudioのほかにも,本機独自の特殊機能がもうひとつ用意されている。それはFM電波でPCのサウンドを外部に発信する「ワイヤレスオーディオ機能」だ。FMチューナを内蔵するオーディオ機器があれば,お手軽かつワイヤレスに外部オーディオ機器へとサウンド出力できる。音質に不満の出やすいノートPCの弱点を,簡単に外部接続可能ににして解決しようとするこのアプローチは,ターゲット層がホームユースだからできる荒技といえよう。通信距離は約5mと個室で利用する分には十分な距離を確保しており,音質もFMラジオクラスなのでなかなかクリアなサウンドである。FM周波数は88.0MHz~89.2MHzの間でユーザーが設定できるので,既存のFM曲とバッティングすることはない。
InfoAudioやLAN用PCカードなど付属品が非常に多く,ヘッドフォンまでも添付されている。紙マニュアルが豊富に用意されているは嬉しいポイントだ。 |