NECのLaVie TとLaVie Cは,付加機能で他製品との差別化を図っているが,そのため価格競争力でやや遅れをとっているのも事実だ。このLaVie Lは必要な機能を取り入れた上で価格を重視した,同社のA4ノートの中ではもっとも売れ筋となる,汎用投入性の高いコストパフォーマンス重視に仕上がっている。
質実スペックで攻める
価格重視マシン
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キーボード、ポインティングデバイス、液晶パネル部の全景。 |
これ以外にも,モバイル向けの「LaVie Z」「LaVie J」「LaVie M」の3シリーズがあり,全部で7シリーズ構成という大所帯である。この中の「LaVie C」シリーズはすでにレビューしたとおりで,InfoAudioやオーディオをFMで出力するといった付加機能を搭載することで,他社製品の同クラスマシンとの差別化を図ったシリーズであった。
これから紹介する「LaVie L」シリーズは,Cシリーズのワンランク下に位置し,付加機能でなく価格で勝負するオーソドックスな3スピンドルPCである。シリーズ構成は,CPUの種類や液晶サイズなどの違いで4モデルが用意されており,最上位モデルの実売価格が19万円前後,最下位モデルは14万円前後というコストパフォーマンス重視のシリーズにふさわしい価格がつけられている。その中から最上位モデルとなる「LaVie L LL900/1D」の詳細を,他モデルとの違いとともに解説していく。
3種類のCPUで
スタイルに合ったモデルが選べる
今回メインに取り上げる「LaVie L LL900/1D」はCPUにPentiumIII-1GMHzを搭載するが,その他にもCeleron 850MHz,Duron-900MHzと800MHzを搭載するモデルが用意されている。もちろんDuron採用モデルが用意される理由は,どの製品にもまけない価格のA4ノートを送り出すためだ。1月6日付けのMobile PentiumIII-1GHzの価格は321ドル,Mobile Duron-900MHzの価格は100ドル(ともに1000個ロット時の価格)と200ドル以上の価格差がある。もちろん,CPU価格は本体価格にダイレクトに反映されるため,A4ノートで主流になりつつあるGHzノートにするか,一歩抜き出た価格のDuronモデルにするか,ユーザーの選択肢が広がるわけだ。
チップセットは互換チップセットメーカーVIAのApollo Pro 133Aを搭載する。IntelのCPUを使ったマシンはIntelのチップセットを搭載するケースが多い。だが,最新のIntelのノート用チップセット(8830MPなど)はコストの面で不利であり,価格の安い旧チップセット440MXではメモリの搭載上限が256MBになってしまう。VIAの採用はコストと機能の両方を満たすためだと思われる。
メモリは256MBを標準搭載し,ひとつ用意されているSO-DIMMスロットで最大512MBまで増設可能である。HDDは40GBの大容量ドライブを,光ディスクドライブもCD-RW/DVD-ROMコンボドライブを内蔵しており,ホームユースに求められる基本機能はきっちりと押さえている。CD-RW/DVD-ROMの性能は,CD-R/RWが8倍速書き込み,DVD-ROMが8倍速読み込み,CD-ROMが24倍速読み込みだ。HDDは初期状態でC/Dの2つのパーティションに分割されており,Dドライブにはリカバリ用のイメージデータとアプリケーションのセットアッププログラムが記録されている。この容量は約5GBと膨大だが,マニュアルに記載されている手順に従ってCD-Rへ書き出すことでリカバリCDの作成が可能だ。リカバリCDを作成してしまえば,Dドライブのデータは消去できるのでHDDの空き容量を増やすことができる。リカバリCD-ROMがユーザー作成となっているのはコストダウンのためだが,このためにユーザーが行なう手間は膨大だ。やはりリカバリCD-ROMは標準添付で提供してほしかった。
なお,HDD容量と光ドライブの種類は下位モデルになるほどグレードがダウンし,最下位モデルの「LL300/1A」ではそれぞれ20GB,CD-RWドライブとなっているので,価格が最優先項目でこのモデルを狙っている人は注意が必要だ。FDDはUSB接続の外付けドライブではなく本体内蔵だ。利用頻度は低くなってきているとはいえ,緊急時のOSブートなどの際にFDDがすぐに使えるメリットは大きい。
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ACアダプタは標準サイズ。バッテリ駆動時間は短いので,本体を持ち運ぶ際は一緒に持ち出す必要があるだろう。 |
