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シカモア・ネットワークス、光ファイバーネットワーク事業の説明会を開催

2001年03月01日 21時47分更新

文● 編集部 佐々木千之

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基幹ネットワーク向けの光ファイバー通信機器や管理ツールソフトの開発・提供する米シカモア・ネットワークス社は1日、プレス関係者を集めて都内で事業説明会を開催した。同社の設立者で最高技術責任者のリチャード・バリー(Richard Barry)博士らが説明を行なった。

シカモア・ネットワークス設立者で最高技術責任者のリチャード・バリー博士
シカモア・ネットワークス設立者で最高技術責任者のリチャード・バリー博士

インテリジェント・オプティカル・ネットワークとは

バリー博士によると、インターネットの普及とサービスの多様化によって、ネットワークを流れるデータトラフィックは指数関数的に増大しつつあるが、この増大が現在の光ファイバーベースの基幹ネットワークで多く利用されているSONET/SDH(※1)では負担になっているのだという。

※1 SONET/SDH(Synchronous Optical Network/Synchronous Digital Hierarchy)基幹ネットワーク系で利用されている、光ファイバーを使った高速デジタル通信の国際規格。

SONET/SDHは基本的にリング状のネットワークで、そのリングを複数接続することで大きな基幹ネットワーク系を構成している。しかし、このリング状ネットワークの設置には、非常に大きな初期投資が必要なため、一度設置すると数年間は使い続けることになるという。このため、最初の段階で1~数年先のネットワーク状況を予測する必要があるが、そのような未来を予測することは非常に難しい。また、新しいネットワーク経路を構築するためには人が機材を設置するなどの、物理的な作業が多数発生し、開通までの期間が数ヵ月~半年程度もかかるという。

従来のリング状ネットワークの拡張における問題点
従来のリング状ネットワークの拡張における問題点

これらの理由により、結果としてリング状ネットワークを使う通信事業者は新しいサービスへの迅速な対応やサービスの多様化が行ないにくく、他の事業者との差別化が難しいという状況に陥っているとしている。実際に、顧客の通信事業者に対する要求は多様化しており、通信事業者は顧客の要望に対して、柔軟に、速く、拡張できるネットワークの構築が求められているとしている。

メッシュ状のインテリジェント・オプティカル・ネットワークにおける、新たな経路設定の例
メッシュ状のインテリジェント・オプティカル・ネットワークにおける、新たな経路設定の例。分散型システムにより最適化された経路が瞬時に構成されるという

これに対して、シカモア・ネットワークスが提供する“インテリジェント・オプティカル・ネットワーク(ION)”は、リング状ではなくメッシュ状のネットワークとソフトウェアで統合的に管理できる光スイッチ製品によって構成されている。リング状ネットワークでは、ネットワークの使用効率(物理的なバンド幅に対して、サービスを提供できるバンド幅)が最大でも50%だが、メッシュ状ネットワークでは85%程度にまで高まるため、帯域の増加とともにbit単価の低減が期待できる。また、IPベースの光ルーティングが可能で、耐障害性もリング状ネットワークに比べ高い。そして、新しいネットワーク経路の構築が管理ツールのみで行なえ、ほとんど瞬時(ミリ秒単位)で行なえるので、ネットワークの柔軟性が飛躍的に高まるとしている。

360NetworksとグローバルなIONを構築

また、カナダの光ファイバーネットワーク事業者360Networks社の最高技術責任者スティーブ・ベーカー(Steve Baker)氏が、シカモア・ネットワークスの光スイッチと管理ツールを使って構築中の、世界的なIONによる光ファイバーネットワークについて説明した。

360Networks社の最高技術責任者スティーブ・ベーカー氏
360Networks社の最高技術責任者スティーブ・ベーカー氏

同社は2002年までに南北アメリカ、ヨーロッパ、アジアの100都市を結ぶ14万2000kmにもおよぶ光ファイバーネットワークの構築を目指している。このネットワークは地上および海底に敷設されるもので、現在は北米の8割、ヨーロッパの5割が完成し、3月からネットワーク提供サービスを開始するという。北米と日本を繋ぎ、さらに韓国、香港、シンガポールなどに延びる海底光ファイバー網も建設中で、2002年の第2四半期までに北米と日本の間に毎秒5Tbits(テラビット)の帯域を持ったネットワークが完成するとしている。

360Networksが2003年までに予定している光ファイバーネットワーク網
360Networksが2003年までに予定している光ファイバーネットワーク網(敷設済みも含む)

360Networksは、世界中の電気通信事業者向けに柔軟で拡張性のあるネットワークサービスを、競合他社より安価に提供することを目指しており、そのためにはメッシュ状ネットワークと、シカモア・ネットワークスの提供するソフトウェアベースのIONが必要であるとした。特に新しい経路やサービスを、作業員を現場に送ることなく管理ツールで開始できる点が大きいという。

シカモア・ネットワークス・アジア社(事務局は東京)のビジネスデベロップメントディレクターの西原政利氏によると、日本での事業展開はこれから本格的に開始されるが、現在10名の社員が日本で活動中で、利用している企業名は明かされなかったがすでに稼働中の光ファイバーネットワークもあると述べた。また、現在あるパートナー企業1社と、光スイッチ機器の販売やサポートにかかわる契約を進めているとし、さらにパートナー企業を増やして、日本のリング状ネットワークをインテリジェント・オプティカル・ネットワークに置き換えていきたいという。

シカモア・ネットワークスのインテリジェント・オプティカル・ネットワークのようなメッシュ状システムは、ネットワーク利用効率の高さと、ネットワークを順次増強することが比較的やりやすいことなどを考えると、従来のリング状ネットワークよりも、現在のネットワークの状況により適していることは明らか。従来のリング状ネットワークシステムとの親和性も高いとしており、今後国内で光による基幹ネットワークをもつ通信事業者の中で、インテリジェント・オプティカル・ネットワークへの移行が進むと考えられる。

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