VAIOノートのフラッグシップモデル「PCG-XRシリーズ」は、高速なCPUや大容量HDDなど基本的なスペックの充実に加え、金属バネを採用した「ステンレスメカキー」や本体の冷却効果を高める「インタークーラーフラップ」といった凝ったギミックも満載する、最上位機種にふさわしい豪華仕様のノートPCだ。3モデルがラインナップする2001年春モデルの中から、最上位機種「PCG-XR9Z/K」を紹介しよう。
CD-RW&DVDのコンボドライブを新たに搭載
ドルビーヘッドフォン機能も盛り込む
2001年春モデルのラインナップにおいて、VAIOノートの頂点に位置するPCG-XR9Z/Kは、現時点で最速のノート用CPUであるSpeedStep対応Mobile PentiumIII-850MHzを搭載する。メインメモリは2つ装備するSO-DIMMスロットの1つに128MBのSDRAMモジュールを装備し、最大で256MBまでの拡張に対応する。HDD容量は30GBの大容量を誇る。ビデオチップは8MBのビデオメモリをチップに内蔵するSavage/IX8を採用し、14.1インチTFT液晶は1024×768ドット/フルカラー表示が可能だ。以上の基本的なハードウェアは従来機種「PCG-XR100F/K」とまったく共通となる。PCG-XR9Z/Kでの進化のポイントは、CD-RWとDVD-ROMドライブの機能を1ドライブで実現し、4倍速書き込み/書き換えのCD-RWドライブとしても、6倍速DVD-ROMドライブとしても利用できるコンボドライブの採用だ。
付属のFDDはマルチパーパスベイに収納(内蔵)できるほか、付属のケーブルを利用して外付けドライブとしても利用可能。 |
VAIOノートの売りの1つにi.LINK端子の標準装備が挙げられるが、PCG-XR9Z/Kはそれに加え、DV動画のノンリニア編集ソフト「Adobe Premiere 5.1 LE」がプリインストールされており、本格的なビデオ作品を編集し、CD-RWドライブを利用してオリジナルCD-ROMを作成できる本格的なクリエイティブマシンである。さらに、今回のコンボドライブの採用により、DVD-Videoの視聴も可能になり、エンタテインメント指向がより一層高まっている。しかも本体に装備するヘッドフォン端子は「ドルビーヘッドフォン」機能を装備し、普通のヘッドフォンを利用して、臨場感溢れるドルビーデジタル5.1chのバーチャル再生を可能にしている。ドルビーヘッドフォン機能を試してみると、ぐるぐると音とが周囲を駆け巡るとまではいかないが、頭の後からも音が聞こえ、音源に取り囲まれた感じが再現されている。単純な2chステレオ再生とは比べものにならないほどの臨場感が味わえた。バーチャル再生の感じ方には個人差もあるが、DVD-Videoを見る楽しみが広がることは間違いない。
そのほか、プリインストールソフトは、これまでのVAIOノートのクリエイティブ&エンタテインメント指向を継承している。動画取り込みと編集を行う「DVgate Ver.2.2」および「MovieShaker Ver.2.0」、音楽・映像ファイルの管理/再生統合ソフト「MediaBar Ver.3.2」、圧縮音楽再生ソフト「OpenMG Jukebox Ver.2.0 for VAIO」といったマルチメディアソフトを始めとするオリジナルアプリが豊富に揃い、PCを使う楽しみを思う存分味わえる。
「ステンレスメカキー」を採用するキーボードの独特のタッチは、ハマると病みつきになる心地よさだ。ジョグダイヤルも使いやすい位置に装備する。 |
実際にPCG-XR9Z/Kに触れてみて特筆すべきポイントは、金属バネを採用したキーボードだ。ピッチ19mm、ストローク3mmと、たっぷりしたサイズが確保されており、クリック感と反力が非常に心地よいタッチを生み出しているのである。またパフォーマンスについても、最速CPUの採用によりDVD-Videoの再生においてもまったく破綻を来すことはなく、ストレスを感じることはなかった。ちなみにASCII Labs. 製バッテリベンチマークの結果は、1時間34分となった。重量3kgを越えるこのクラスのノートPCでは、積極的に持ち運んでモバイルで活用するという機会も少ないと思われるので、高いパフォーマンスを発揮するハイスペックPCの結果としては納得できるものだ。
キーボードを始めとする質感の高いボディに、充実したパーツを詰め込んだハイエンドモデルにふさわしいPCG-XR9Z/Kは、高級なPCを使っていることを実感できるマシンだ。しかもPCをとことん楽しめるプリインストールソフトにより、誰にでもすんなり使い始められる。実売価格はA4ノートの中では高めの35万円程度と予想されるが、これだけのスペックと作りの良さを堪能するには相久しい値段だろう。クリエイティブ指向のハイエンドユーザーなら、十分に検討してみる価値のあるノートPCだ。
液晶パネルを開くと、ボディ後端の「インタークーラーフラップ」が開き、冷却効果を高めるだけでなく操作しやすいチルトスタイルとなる。右側面の「マルチパーパスベイ」に搭載されるコンボドライブは、付属のFDDのほか、オプションのセカンドバッテリ(装着時、駆動時間4~7時間)やセカンドHDDと入れ替えることも可能。 |
本体背面には左から、プリンタポート付きフロッピーディスクドライブケーブル、CRT、USB、電源アダプタの各端子を装備する。オーディオ端子は右側面に、i.LINKとPCカードスロット(TypeII×2)は左側面に用意される。 |
CPU | Mobile PentiumIII-850MHz |
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メモリ | 128MB |
液晶 | 14.1インチTFT |
解像度 | 1024×768ドット/フルカラー |
HDD | 30GB |
CD-RW&DVD | R4倍速/RW4倍速/DVD6倍速/CD24倍速 |
通信 | モデム |
サイズ | 308(W)×261.2(D)×39~45(H)mm |
重量 | 約3.1kg |
OS | Windows 2000 Professional |
Officeアプリ | - |