エプソンダイレクトの低価格セットモデル「EDiCubeシリーズ」に、DVのノンリニアビデオ編集に対応した新モデル「EDiCube TP830AV」が追加された。エプソンダイレクトではかつて、IEEE1394インターフェイスを組み込んだPCに独自開発のビデオ編集ソフトをバンドルした、PCベースの低価格DVノンリニア編集システム「CREASENSEシリーズ」を展開していたのだが、今回のTP830AVは、その面影が色濃く感じられる仕様となっている。
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本体背面。DV(IEEE1394)端子は背面に3つで、いずれも6ピン。できれば前面にも1つ用意してほしかったところだが。PCIスロットは空きが1つ。 |
まず、TP830AVのハードウェア構成だが、EDiCubeの現行ラインナップである「EDiCube TP820R」をベースにしつつ、ビデオ編集用途向けにカスタマイズした内容になっている。TP820Rからの大きな変更点は、デジタルビデオカメラ(DVカムコーダー)など外部デジタルビデオ機器を接続するために、IEEE1394インターフェイス(PCIカード)を標準搭載している点だ。さらに、CD-R/RWドライブがCD-RW(10倍速)&DVD-ROM(8倍速)のコンボドライブに変わり、HDDも20GBから30GBにアップグレードしている。
とはいえ、ハードウェアスペックを眺める限り、昨今の主流のデスクトップPCとそう変わらない構成であることは確かだ。では、TP830AV最大のポイントはどこにあるのだろうか? ――それは、付属するソフトウェアにあった。
本格的なビデオ編集に対応!
「DV Symphomovie」をバンドル
TP830AVではDVデータを扱うために「DV Symphomovie(シンフォムービー)」というソフトをバンドルしている。DV Symphomovieはエプソンダイレクトが自社開発したDVデータ入出力/ビデオ編集ソフトで、もともとはCREASENSEに搭載されていたものだ。それが今回、Windows Me対応バージョンに生まれ変わり、TP830AVに搭載されることとなったのである。
DV Symphomovieの特長は「ビデオ機器との連携を強く意識したユーザーインターフェイス」と「強力なビデオ編集機能」の2点に尽きる。タイトルの作成やBGMの付加はもちろん、スクリーンの中に別のスクリーンを子画面として埋め込んだり、スクリーンを左右で分割したりという見せ方も、DV Symphomovieであればごく簡単に行える。
DV Symphomovieは搭載している機能が多いため、作業を円滑に行えるよう「DV Deck」「DV Edit」という2つのモードにそれぞれ機能が割り振られている。ビデオタイトルの作成は、これらのモードを適宜切り替えながら行うことになる。
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DV Symphomovieの「DV Deck」モード。ウィンドウ左中央にあるコントロールパネルの左側は外部ビデオ機器を、右側はPCの中に格納したファイルを操作するためのもの。 |
まず、最初に触れたDV Deckは、DVデータの取り込み――つまりビデオキャプチャと、PCに蓄積したデータの出力(テープへの書き戻し)を行うためのモードだ。キャプチャに関してはあらかじめ指定した開始/終了時点にテープ位置を合わせて自動で取り込む「バッチキャプチャ機能」が使えるので、必要なシーンだけを効率よく取り込むことができる。シーンの指定はプレビューで確認しながら行えるので、初めての人でも迷うことはないだろう。
なお、TP830AVではほかの多くのビデオ編集機能を謳ったPCと同様に、プレビュー映像の展開などをCPUパワー(ソフトウェアCODEC)で行っているのだが、CPUにPentiumIII-800EBMHzを搭載しているだけあってプレビューは軽快そのもの。テスト中もコマ落ちはまず見られなかった。
キャプチャしたビデオクリップは、リストプレイ機能により好みの順序に再構築して再生できる。リストプレイの結果を、そのままDVC(デジタルビデオカセット)に書き出すことも可能だ。DVCのトリミング編集程度であれば、DV Deckモードで十分に対応可能だ。
