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年齢とブランクというハードルを跳びこえて社会復帰! 人材派遣のパソナが“奥さまビジネスインターン”をスタート

2000年09月04日 17時14分更新

文● 服部貴美子 kimiko@oct.zaq.ne.jp

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人材派遣大手の(株)パソナが、新しく“奥さまビジネスインターン”という主婦をターゲットにした派遣プログラムをスタートさせ、去る8月29日に第一期生の入校式が開催された。

“奥さまビジネスインターン”入校式

この日、大阪・北区の大阪本社に集まったのは、30歳代を中心とした主婦約20名(入学者は約30名)。かつてはOLとして働いたことのある人がほとんどだ。

開校の挨拶を行なう、(株)パソナ、関西営業部長の高橋氏
“Welcome to bussiness internship program”という歓迎の言葉とともに、入学証書を受け取る”奥さまインターン”たち。緊張感の中に、ときおり嬉しそうな笑顔がのぞく

今年に入り、各種経済指標は“景気回復”を示しつつあるものの、雇用情勢には、まだまだ厳しいものがある。とくに女性の場合は、”30歳を過ぎると再就職が難しい”とか”子供がいると外に働きに出るのは無理”といった意見が少なくない。さらに、一家の大黒柱である夫も、リストラや残業時間の減少で給与レベルはダウン傾向にあるため、家計は逼迫してきているのが現状だろう。 

「派遣登録を希望される方の声を聞いていると、家計を支えるために、主婦の方々ご自身が働きに出なくてはならないという切実な願いとともに、退職してからブランクが長いため、自信がないという声が多かった」(インターンシッププログラム担当の西島芳子氏)という現場担当者の実感が、今回のプログラムの出発点。

かつて、同社が就職氷河期の女子学生に対して導入した”ビジネスインターン制度”を、就業経験のある主婦向けに組み直している。EQ検査や個別カウンセリングを経て入学した受講者は、必修科目としてビジネスマナー研修を受けた後、パソコン関連の7つの科目(エクセル、ワード、パワーポイントなど)の中から、自分の希望職種やスキルに応じて必要なものを選んで受講する。

「基本操作をマスターしている人がほとんどだが、以前とはソフトなども変わっているため、勘と自信を取り戻してもらうための研修」(西島氏)というわけだ。

入校式の後に、さっそく簡単なカウンセリングとスキルチェック(タイピングテスト)が行なわれた。最年長は48歳だが「予想した年齢層よりも平均年齢は若い」と関係者はいう

一定の研修を終えたところで、同社が派遣業で培った取引先に、受講者をインターンシップとして送り込み、OJTを行なう。実際に働く感覚をつかむことは、家事や育児との両立を考える主婦にとっては重要なポイント。

西島氏は「やってみる前から、フルタイムは無理だとか、職種経験がないといって尻ごみする人が多い。実体験してもらうことが、なによりの動機付けになる」と語る。主婦=パートという固定観念を捨て、「派遣という働き方も選択肢のひとつに入れてもらいたい」というのが、同社の狙いだ。集合研修によって基本的な技術を磨いてもらうことはもちろん、ビジネスコーチが個々の進行状況やスキルレベルに合わせてアドバイスを行ない、必要に応じて自主トレーニングを進めるなど、フォロー体制を強化している。

今回、東京に先駆けて大阪で入校式が行なわれたのは、関西経済の低迷の深刻さの裏付けともとれる。しかし「派遣に関する法律の改正によって、営業などへの職種の広がりができたため、従来の事務職だけえなく、たとえば、もともと銀行に勤めていた女性が、その専門知識を生かす現場に出ることもあるはず。また、ルートセールスやコールセンターといった職種の需要も高まっています」(西島氏)。と、これからの展開には期待がもてそうだ。

入校式を終えたスタッフたちは、「このプログラムによって、ひとりでも多くの主婦の方々が仕事に対する“不安”を“自信”へと変えてご活躍いただければ。またそれとともに、この制度を新しい雇用インフラのひとつとして定着させていけるよう、取り組んでいきたい」と語った。

なお、東京でも今年9月から同プログラムの募集を開始し、10月に開校の準備中。中部地区でも、追って実施する予定になっている。研修費用は3万6000円。

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