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学生でも容易に起業できるような教育環境を――“21世紀の未来教育をデザインする”鶴谷武親のコメントより

2000年08月11日 18時46分更新

文● 野々下裕子

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8月6日にデジタルハリウッド大阪校で“21世紀の未来教育をデザインする”というタイトルのシンポジウムが開催された。1部のトークショーでは話題の15歳CEO、キャメロン・ジョンソン君がゲストに登場。シンポジウムを企画したフューチャーインスティテュート(株)は、そのキャメロン君とアドバイザリーボードメンバー契約を結んでいるが、そのいきさつや理由などについて、同社の鶴谷武親社長にコメントしてもらった。

フューチャーインスティテュート(株)の鶴谷武親社長。フューチャーインスティテュート(株)は、'99年9月にセコムやデジタルハリウッドなどと共同で創立された会社。子供向けのパソコン教室“フューチャーキッズ”の運営教育やティーントレプレナー育成などをビジネスにしている

偉人や有名人だけではなく、ティーンエイジャーと同じ境遇にある人物をモデルに

鶴谷社長がキャメロン君を見つけたのは、アドバイザリーボードにふさわしい人物を検索をしている時に、たまたま彼の記事がヒットしたのがきっかけだという。

「契約した理由は3つあって、1つ目が当社で打ち出しているビジネスのロールモデルになってもらうため、2つ目は当社のカリキュラムチェックしてもらうため、3つ目はさまざまな情報源となってもらうためです」

「けれども一番大きな理由は、彼が自分の人生を自分で選択し、成功してきた人物だからという点です。ティーンエイジャーにとってモデルになるのは、偉人や有名人だけではなく、彼のように自分と同じような環境にある人物なんです。ITを使いこなしているという意味でも、彼以上に影響力がある人はいないでしょう」

もちろん、この影響力の部分には、キャメロン君個人が持っている、人としての魅力もかなり大きいものがあると鶴谷氏は語る。

「仕事で毎日のようにメールをやりとりしたり、チャットをしたりするけれど、本当に情報をよく知っているし、ビジネスに対してもきちんと取り組んでいることがよく分かるんです」

キャメロン君の活躍する姿が日本の学生たちの刺激になればという

詰め込み型教育ではなく、自発的でマルチプルな考え方ができる教育を

これだけ大人にちやほやされれば、不遜な態度のひとつもとりたくなると思うのは大人の浅はかな先入観なのか。当の本人はどんなに周りが騒いでも終始マイペースを崩さない。

「僕はビジネスマンとしては周りが言うほど特別じゃない」というクールな対応を見せる反面、騒がれていることに対しては素直に「うれしい」と答える。少年ならではの素直さこそが、彼の一番の魅力でもあるようだ。

「彼に対しては、日本人はあまりにも騒ぎすぎだと反省している部分もあります。けれども日本ではティーンどころか、20代の若いCEOもまだまだ珍しい存在なんです。そうした社会を変えていくためにも、子供に対しては詰め込み型教育ではなく、自発的でマルチプルな考え方ができるような教育が必要なんです」

学生こそがビジネスに向いていると鶴谷氏は語る。学生は時間がたくさん使えるし、学校に環境が整ってるから、リスクもコストもほとんどなしで好きなだけビジネスに取り組めるというのがその理由だ。

「日本の学校はネット環境も満足にないという、まず基本からアメリカと大きな差があるんです。教育機関も早くそうしたところに気がつかないと、IT革命と言っても言葉だけで終わってしまっちゃいますよ。日本にも15歳で企業したクララオンラインの家本君(※1)という人物がいます。教育環境が変われば、彼に続くティーンが登場して、日本も大きく変わっていくはずです」

※1 クララオンライン:名古屋を拠点したベンチャー起業。代表取締役である家本君は中学を卒業後、'97年5月にオンラインサービス事業を展開するために合資会社クララオンラインを設立。このとき彼は15歳だった。彼が最初に事業計画を立てたのは14歳のとき。親の同意を得られず、自力で貯めた雑誌の原稿料を会社設立のための資金にあてたという。現在は企業向けサーバーレンタルやWebコンテンツ事業など、幅広いビジネスを展開している

1部のトークショーでは、キャメロン君の通訳も務めた鶴谷氏(写真右)。左はキャメロン君と良き相談役の父親キャプション

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