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【DIGITAL PERSON24 Vol.1】パーミションマーケティングはここにある――播州ハムほりほり支店ウェブマスター、堀田周郎氏

2000年04月11日 00時00分更新

文● 正月孝広 

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ハムドットシーオードットジェーピー――播州ハムほりほり支店ウェブマスター、堀田周郎(ほりたのりお)氏

昨年より国内で話題になっている『パーミション・マーケティング』(セス・ゴーディン著・阪本啓一訳)。最も新しいインターネットビジネスの(あえて言うなら)哲学書である。これまでのマス的なマーケティングではない、インターネットでの企業と顧客の新しい関係を示唆している。

しかし、国内でいち早くサイトを立ち上げ成功を収めている先駆者たちは、パーミション・マーケティングという理論が米国で体系付けられるよりも前に、既にそれを実践している者も多い。今回紹介する播州ハムほりほり支店ウェブマスター、堀田周郎氏もそんなひとりである。

(有)播州ハム工業所の代表取締役であり、『播州ハムほりほり支店』のウェブマスターも務める堀田周郎氏(有)播州ハム工業所の代表取締役であり、『播州ハムほりほり支店』のウェブマスターも務める堀田周郎氏



手作りの限界とインターネット

「うちのハムは手作りなので限界があるのです」
と堀田氏はまず飾ることもなく、実直に現状を語った。

「商品にもよりますが10日くらいはくん煙の為に釜に入っています。そうすると1ヵ月に生産できる量が見えてきます。行程を減らすことはできませんし、期間を短くすることもできません。いい商品を作るにはそれなりの手間ひまが必要です。逆に設備や人員を単に増やせばそれでいいというものでもない。バランスがありますからそれを崩してもいい商品はできない」

サイトには“骨付きハムの出来るまで”と題して製造工程が紹介してある。半年以上もかかる商品で完全予約制。毎年好評を得て完売しているという。

両わきに手作りの製品を抱え、工場の中での撮影。「手作りの商品は、行程にとても時間を必要とし大量生産には向かないが、お客様にはこれからもより良い品を届けていく」と堀田氏は語る両わきに手作りの製品を抱え、工場の中での撮影。「手作りの商品は、行程にとても時間を必要とし大量生産には向かないが、お客様にはこれからもより良い品を届けていく」と堀田氏は語る



そんな堀田氏にインターネットとの出会いをうかがった。

「'95年の震災がきっかけです。しかし時が経つにつれ毎日使うというものでもなく、離れていた時期もありました。当時はコンテンツも多くありませんでしたし。それからしばらくしてつないでみると、いきなり増えているんですよね。びっくりしました。そんなネットの早さにも刺激され、'97年7月にウェブサイトを立ち上げました」

――その時から既にham.co.jpで運用されていたのですか?

「独自ドメインでの運用は'98年6月からです。ですので1年近くは気にかけていなかったことになります。それまでは正直ドメインの有用性を疑問視していました(笑)」

「大阪のあるオフ会に参加した時、講師の人たちはみんな独自ドメインでURLを伝えて打ち込んでいたのです。それを見たとき、なんて簡単なんだと、あらためて驚きました。紙にメモする必要もないし、~(チルダ)を使わなくてもいい(笑)。帰ったら即、ドメインの取得手続をしました。その時にham.co.jpを取得したのです」

お客様にとって“快適で、楽しく、役に立つ”通販ウェブ

――サイトコンセプトについてお聞かせ願えますか

「通販サイトを立ち上げたのは、もう1つの限界があったということも大きな要因です。工場のある姫路の街だけでは広がりがない。キャパシティーの限界ですね。インターネットを活用することによって国内に広げることができると考えました」

播州ハムほりほり支店。ほんわかして、あたたかみのあるトップページ。リニューアル後、クレジット決済を採用播州ハムほりほり支店。ほんわかして、あたたかみのあるトップページ。リニューアル後、クレジット決済を採用



「そうなると必然的にお会いしたことのない人と、メールでやり取りすることになります。質問に対しては、こちらの商品を理解して頂くようコミュニケートします。クレームにももちろんきちんとお返事します。そうやってお客様の立場できちんと対応していくと、お互いのよりよい関係ができあがってきます」

「また、特に気をつけているのは配送です。製造直販なので送料はこちらが負担します。鮮度が大切な商品なので、細かい配達時間指定ができ、クール便が使える業者を利用しています。お客様のお手元にとどくまで、気を抜いてはいけません」

ホームページリニューアルでクレジット決済の可能性を確信

――3月にホームページのリニューアルが行なわれましたが、そのポイントとしてはデザインの変更とクレジット決算の導入が大きな柱と思います。どう変化がありましたか

「まずデザインですが、グラフィックパーツを外注しました。いままでは全てひとりでメンテナンスをやっていたのですが、時間的にも厳しくなったのと、クオリティー的にも上げておく必要を感じたからです。時間はお客様とのコミュニケーションに使っていきたいので、ウェブのメンテナンスは適宜外注していく方向にあります。将来的にはウェブマスターも含めお願いするかもしれません」

「決済としては買い物かごと、SSLのクレジット決済を導入しました。プライバシーの一般的なイメージもありクレジット決済はまだ少ないだろうと感じていたのですが、思った以上に利用されています。現在は全体の約15パーセントくらいの方が利用されているのですが、かなりの勢いで増えそうです。またクレジットの方は単価が少し高いのも特徴です。手応えとしては日本でもクレジット決済が一般化するのも時間の問題ではないかと感じるくらいあります」

ハムなら“播州ハムほりほり支店”

パーミション・マーケティングには3つの要素があり、そのどれが均衡を欠いても成り立たない。その要素とは“コンテンツ”、“コンテキスト”、“デリバリー”である。企業と顧客のインターネットでの新たな関係では、顧客にとって魅力的なコンテンツ、信頼のおける企業とのコミュニケーション、そして安心できる流通経路の3つが大切となる。

堀田氏は、通販ウェブを立ち上げてから顧客中心のサイト運営を続けてきた結果、パーミション・マーケティングに必要な全ての要素をバランスよく得てきた。何をすべきかそして何をすべきでないか。限界を先に述べることは勇気のいることだが、あえてそれを伝えて相手に理解を求めるところに懐の広さを感じる。

最近はBtoBの連絡をよく受けるという。しかし企業相手でも商品のクオリティーを落とすような大量の受注ならば受けないだろうと言う堀田氏の姿は想像に難くない。これからは顧客が価値を決めるという新しい時代を、すでに身をもって体験しているからだろう。そんな堀田氏に今後のビジョンをお聞きした。

「幅広い問題で捉えると、いまインターネットにつないでいない人たちにどうやって“播州ハムほりほり支店”のブランドを伝えていくかですね。ここは重要なポイントだと思います。今年はどの業界でも販売サイトは勝負の年になるでしょう。インターネットに安泰はありませんのでこれからもチャレンジしていきます。将来的には日本のウェブで、ハムといえば“播州ハムほりほり支店”というくらいに成長したいですね」

播州ハム工業所はJR姫路駅から西へすぐのところに位置する播州ハム工業所はJR姫路駅から西へすぐのところに位置する

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