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【Seybold Seminars Boston 2000 Vol.6】「紙出版はもはや成長の終わった産業」――2000年、紙の行く先

2000年02月14日 00時00分更新

文● TERO MODA

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2000年2月7日から11日(米国東海岸現地時間)までの5日間、マサチューセッツ州ボストンのMassachusetts Convention Centerにおいて“Seybold Seminars Boston 2000”が開催された。

Seybold SeminarsのGeneral ManagerであるGene Gable氏の報告によると、5日間の動員のうち45パーセントは出版、印刷に携わる人々だった。このうち、グラフィックデザイナーが最も多く、続いて印刷関係者、広告代理店、出版社、オンラインメディアの順。また、動員の97パーセントは、新製品の評価を目的として訪れていた。

会場には、集計をとるための端末が何台も置かれていた会場には、集計をとるための端末が何台も置かれていた



今回のSeyboldでは、Adobe SystemsなどのeBook関連製品、QuarkをはじめとするXML製品など、電子出版をターゲットにした新製品が目立った。しかし、この“Seybold Seminars Boston 2000”最後のレポートでは、紙出版や印刷をターゲットとした新製品とサービスを紹介する。

スタジオ撮影用途の高解像度デジタルカメラ

展示会場のあちらこちらでよく目にしたのが、スタジオでの使用を前提にしたプロフェッショナルユースのデジタルカメラだ。撮影データは、接続したコンピューター端末のメモリーにダイレクトに保存する。解像度は、A4判のカラー版下に十分耐えられる、2048×3072ピクセルが主流。

Sinar Bron Imagingのブースでは、Scitexブランドの新作『Leaf Cantar』などを展示していた。希望者にモデルの撮影をさせていためか、いつも人がにぎわっていた。『Leaf Cantar』は、2048×3072ピクセルのデータ(18MB)をPCのメモリーに直接保存する。キャプチャーレートは、1.2秒。価格は、2万3000ドルからとなる。

モデル撮影に使われていた『Sinarcom』。Sinar Bron Imagingのブースでは、Scitexブランドの『Leaf』シリーズも展示していたモデル撮影に使われていた『Sinarcom』。Sinar Bron Imagingのブースでは、Scitexブランドの『Leaf』シリーズも展示していた



MegaVisionでは、『S3 Degital Camera Back』を展示。解像度は、2048×3072ピクセル。ファイルサイズは、RGB*8ビットカラーの場合に18MB、CMYK*8ビットカラーの場合は24MB、RGB*16ビットカラーの場合に36MB、CMYK*16ビットカラーの場合は48MBとなる。キャプチャーレートは、1.2秒。価格は、2万1500ドルからとなる。

MegaVisionの『S3 Digital Camera Back』。Windows NT 4.0、MacOSに対応するソフトウェアが同梱するMegaVisionの『S3 Digital Camera Back』。Windows NT 4.0、MacOSに対応するソフトウェアが同梱する



Licaでは、『S1』を展示。反射原稿などの至近撮影に適している。『S1 Alpha』、『S1 Pro』、『P1 HighSpeed』の3タイプを用意している。『S1 Alpha』は、最高解像度が2570×2570ピクセル、キャプチャーレートは75秒だ。『S1 Pro』は、最高解像度が5140×5140ピクセル、キャプチャーレートは75~185秒。『P1 HighSpeed』は、最高解像度が4000×4000ピクセル、キャプチャーレートは15~18秒となる。

Licaの『S1 Pro』。紙の撮影や、静止した製品の撮影に威力を発揮するLicaの『S1 Pro』。紙の撮影や、静止した製品の撮影に威力を発揮する



Jenoptik Groupでは、『Eyelike MF』を展示。解像度は、2048 ×3072ピクセル。ファイルサイズは、RGB*8ビットの場合に18MB、RGB*36MBの場合は36MBとなる。データ保存のためのコンピューター端末には、256MB以上のRAMを搭載したMacintoshを使用する。

Jenoptikの『Eyelike MF』。ファッショナブルな青い筐体() (きょうたい)パーツが目立つJenoptikの『Eyelike MF』。ファッショナブルな青い筐体() (きょうたい)パーツが目立つ



ウェブベースでの印刷サービスをする2つの企業

今回の“Seybold Seminars”で本当によく見かけた企業名に、“Noosh”と“Impresse”があった。“Noosh”は、会場となったMassachusetts Convention Centerに入るとすぐに“Noosh”のロゴの入ったゲートをぐぐらなければならなかったし、木曜日と金曜日に配布されたフリーペーパーの表紙には“Noosh”の半ページ広告が入っていた。

Massachusetts Convention Centerの入り口にある“Noosh”のロゴが入ったゲートMassachusetts Convention Centerの入り口にある“Noosh”のロゴが入ったゲート



また“Impresse”は、会場にあったインターネット無料接続サービスや飲み物の無料サービスのスポンサーだった。“Noosh”や“Impresse”では、印刷サービスの売買を合理化するためのウェブベースでのサービスを提供している。顧客は、ウェブページから印刷業者に依頼した仕事を追跡、監視することができる。

“Impresse”の展示ブースに置かれたプレート。ブース担当にどういったパートナーシップなのかを尋ねたところ、Adobeのサイトを“Impresses”がホスティングしているとのこと“Impresse”の展示ブースに置かれたプレート。ブース担当にどういったパートナーシップなのかを尋ねたところ、Adobeのサイトを“Impresses”がホスティングしているとのこと



出版業界の新しい波が訪れる年

2月9日の基調講演において、Seybold SeminarsのAssociate Conference Directorを勤めたThad McIlroy氏は、「紙出版はもはや成長の終わった産業」と発言し、それを肯定するかのようにMacromedia、Quark、Adobe Systemsをはじめとする各企業から、電子出版をターゲットにした新製品が次々と発表された。

日本の書店、駅の売店にならぶ雑誌や書籍を見る限り、McIlroy氏の言葉はそう簡単に納得できるものではない。しかし、ほんの2年ほど前までは、デジタルカメラで撮影したデータが、そのまま版下出力できるようになろうとは、想像はできても、実感することができなかった。いずれにしろ、出版業界の新しい波は確実にこちら側に向かってきている。

次の“Seybold Seminars”は、2000年8月29~31日、San Franciscoでの開催となる次の“Seybold Seminars”は、2000年8月29~31日、San Franciscoでの開催となる

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